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『ドドド……! ガガガ……! ガタガタガタ……! ビリッ……ビリビリ……!』


 突如、起こり始めた謎の現象……。時間が増す程、その音は激しさを増していた。そして、その音に混ざるように――


『キンッ! キンッ! キンッ……! ビュンッ……! ビュンビュンビュン……!』


 金属同士のぶつかり合う音……、空気を切り裂くような音……、この現象が始まってまもなく、この音が俺の耳に入ってきていた。


「はぁはぁ……! はぁはぁ……! なぜだ……、なぜ攻撃が当たらん! はぁはぁ……! クソッ! そんなはずがない……!」


 息をきらしながら勇者ユウタは、余裕のない声をあげた。


「おいおい……、何なんじゃ? さっきまでは、余のことを無視して、仲間の娘ばかり狙っておったのに、急に余を狙い始めて、お主は何がしたいのじゃ?」


 勇者とは対象的に魔王アルフは、落ち着いた声で疑問を投げかける。


「う、うるせえ! はぁはぁ……! こ、こんなこと……、こんなことありえるか……? はぁはぁ……! レベル上限99の世界で、俺は200まで上げたんだぞぉ! そ、それなのに……、お、お前は何なんだ? はぁはぁ……、おかしいだろ、その動きは……」


 苦虫を噛みしめるように勇者は、魔王へと投げかける。

 すると、勇者の発言にマーちゃんが声をあげた。


「レ、レベル200!? そ、そんな馬鹿な……、この勇者は、世界のシステムを変えたって言ってるのか……? じゃ、じゃあ、今起きているこの現象は、まさか……? ま、魔王様、た、た、大変です!」


 勇者のレベルに対してマーちゃんは、驚きを隠せないでいた。

 そんなビックリ猫ちゃんに対して魔王であるアルフは、


「ほぉ~、レベル200ってありえないのかぁ、へぇ~知らなかったのじゃ……。勇者たちが登場した時から知っておったが、そんなに凄いことじゃったのか……、ってことは、凄く強いってことなのか?」

「ま、ま、魔王様……? はぁ……、この世界の摂理については何度も教えたじゃないですか……。魔王様、レベルっていうのは、『成長を測る物差し』なのですけど、成長っていうのは生まれた時に全て決まっていまして、それをただ99分割しているだけなのです。ですから、強い弱いっていう話じゃなく99以上は根本的に世界の摂理を変えない限りありえないことなのです。で……、そ、そうなりますと、現在進行系で起きている空間の歪み、謎の振動の現象の原因は、勇者がこの世界のシステムを壊したせいかも……。本当にそうだとしたら、あの勇者を早く倒さないと、この世界は近々消滅するかもしれません……」


 本当に猫なのかと疑問させるマーちゃんは、アルフに対して推測を語る。

 そんな猫に教わる魔王様は――


「えっ? ちょっ? ど、ど、どういうことじゃ……? 世界が消滅するとどうなるのじゃ?」

「すべて消えてしまうかもしれません……」

「消えるって……? マーちゃんも……?」

「もちろん私だけじゃなく、この世界そのものが消えるかもしれません!」


 このマーちゃんの答えが、魔王アルフの雰囲気を変えることになった。

 アルフの声は、一気にトーンダウンしてしまう。


「嫌じゃ……」

「えっ……?」

「マーちゃんが消えるのだけは嫌じゃ……」

「いやいや……、私だけの問題ではなく――、ま、ま、魔王様……?」


 この世界が終わるかもしれない推測は、魔王アルフを本来の魔王へと変えることになる。

 そして次の瞬間――


「嫌じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! マーちゃんが消えるのは、ぜぇぇぇったいに嫌なのじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 このアルフの叫びは、今の起きている現象の音をかき消すほど響き渡った。


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