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 暗闇の中、音だけを頼りに、どの位の時が経ったのだろう……? 


『カンッ! カンカンカンッ! キンキンキンッ!』


 と、子供がフォークとスプーンを叩き合っているような金属音が先程から鳴り響いている。


「キサマ! どういうつもりじゃ? 余を狙わず、この娘ばかり狙いおってっ! お主の仲間ではないのか?」 


 音のみでしか判断できない俺は、アルフの発言で状況を判断するしかない――勇者ユウタは、仲間でもある魔法使いクリスばかり狙って攻撃しているらしい……。


「うるせぇ! 俺の仲間なんだから俺の勝手だろ! そもそもソイツと敵であるお前が、何さっきから守ってるんだよ! 邪魔すんじゃねぇ!!」


 声を荒げて言う勇者。

 眼前の魔王を無視して仲間を狙う勇者に対して、魔王であるアルフがクリスを守っているらしい。


 ユウタの行動に困惑していると、クリスは泣きながら――

 

「ひっく……、ひっく……、うぅぅ……、ユウタ……、そんなに私が邪魔なのですか……? そこまで死んで欲しいのですか……? うぅぅ……、分かったのです……、殺したいのなら私を殺して下さい……。魔王よ、もう私を守らないでいいのです……」


 全てを諦めるようにクリスは、泣きながら弱々しくそう言った。


 一人の少女を、そこまで追い込んだ張本人は、


「ははっ! やっと諦めたか! 聞いたか魔王? もう守らなくていいってよ! だからもう邪魔するなよ!」


 悪魔のような勇者は、笑いながらそう言った。

 すると、魔王アルフは――


「余はのぅ……、魔王をやっておるが、お主らのような仲間がずっと欲しかった……。余はこの力のせいで、生まれてきてずっと一人じゃった、家族も友達も何もいなかった……。そこにいる猫のマーちゃんと出会うまで、ずっと一人ぼっちじゃったのじゃ……」


 と、突然アルフは悲しそうに言った。


「ハハハッ! なんだよ急に! 魔王がボッチでウケるんだけど! なんだ? 羨ましいのか? ハハハッ!」


 勇者は魔王をあざ笑いバカにするが、魔王はそれを無視して続けた。


「それによぅ、余はとりわけ人間が嫌いってわけではないのじゃよ。ただこの世界の人間と魔族は、ただ生存競争によって殺し合っているだけじゃ。じゃから余の命を狙う人間は、身を守るためだけに今まで殺してきた。じゃがな、お主はなんなのじゃ……? 人間同士、仲間同士で殺し合う……? 邪魔になったから殺す? お主を信じ愛した女を殺す? はぁ? 今までのぅ……、こんな感情を持ったことはないのじゃが……、お主が憎いのじゃっ!!」


 今の感情を言い切ったアルフの言葉は、正直カッコいいとも感じ取れた。

 そんな魔王に勇者は、


「はぁ? それは、クリスを守るのをやめないってことか? ああん? 魔王のくせに勇者に説教か? なめんなよ、クソが!」


 と、ユウタは癇癪を起こすように叫ぶ。




 そんな魔王と勇者の言い争いの中、物事は急激に動き出す――


『ガタンッ! ガタガタガタガタ! ビリッ! ビリビリッ!』


 地鳴りような音、放電した電気がスパークするような音が立て続けに鳴り響く。


「なんじゃ……?」


 急な展開にアルフがそう口にすると、


「ま、魔王様ッ! 見てください! く、空間が歪んでます!」


 と、マーちゃんが声が聞こえ、


「な、なんなのです? この揺れは……、何が起きているのです?」


 続いて、クリスの驚く声も聞こえてくる。

 そして――


「チィィィッ! もう始まりやがった! クソッ! 時間がない!」


 ――ユウタの焦る声が俺の耳に飛び込んでくるのであった……。


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