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 この世界、全てが光に包まれたように眩く輝いた。オレンジ色に発光した光は真っ白と変わる。音もない何もない静寂を表わすように……。


 幸いにも衝撃波による痛みはなかった。たぶん、一瞬でこの身は消滅したのだろう。少しだけホッとした、魔王になろうが、世界をコントロールできる知る者になろうが、痛いのは嫌だからね。


「これが死か……」


 ワタシはポツリと呟いた。クリスという名を持つ人間は、死ぬのは初めてではないのだろう。しかし、ワタシにとっては初めての死だ。なんとも考え深い体験だ……まぁ、これで良かったのだ。下界をただの実験としか考えてない天界に対して一矢報いたのだから。自分の意思で……そう、ワタシは誰かにコントロールされることなく行動したんだ。


 沸き立つ思いにかられる。満足感、高揚感なのだろうか、こんなに良い気分になったのは初めてなのかもしれない。そして、ワタシはその時を待った。しかし、待てども待てどもその変化がない。


 こういうものなのか……? 意識がハッキリしているが、これが死後の世界なのか……? と、困惑していると――


「ちょっと、ちょっとー! この世界を破壊する気? もう、まったく酷いことするなぁキミは! 知る者だからって全属性反目爆発までする? 自分だって死ぬのによくやるよ!」


 全てが真っ白にしか見えない世界で、聞き覚えのある嫌な大天使カールの声が耳に飛び込んだ。ここは死後の世界じゃないのか、と口から出そうになっていると――


「突然こんなことするから、光に対する『現象キャンセル』が間に合わなったよ」

「げ、現象キャンセル……?」


 カールの訳のわからない発言に、つい聞き直してしまった。すると――


「あぁ、なるほど。知る者のキミとはいえ、『第二層』のシステム干渉について知らないんだね?」


 未だに姿が見えないカールはそう言った。聞いたことのない単語、全く知らない情報、ワタシの唇は震える。


「……だ、第二層?」


 そんな震えた唇から発生した言葉だった。今の現状を冷静かつ正確に見極めようと努めるが無理だった。戸惑う私に対してカールから浮かれた声が聞こえる。


「フフフ……そうか、そういうことか! 知る者の知るところは『第一層』までか! フフフ……これは、いい事を知ったぞ! 知る者に対する情報はとても貴重なことだから本当に有難い! いやー、今日はツイてるなー、特異点アルフは無事に捕獲でき、更に知る者の生態についても新たな発見もできた。もうこれは、ウキヨ様からお褒めの言葉が期待できるぞぉ!」


 興奮冷めやまないカールは、嬉しいそうに言った。そして、『パチンっ!』と指を鳴らす音が響いたと思えば、目の前の光景がガラリと変わる。そこには、反目爆発を起こす前の光景が広がっている。何も変わっていない、爆発が起きた形跡もなかった。何がどうなったのか、わからないワタシは、


「ど、どういうこと……? は、反目爆発は成功したはずなのに……」


 目の前の光景に信じられない声を上げた。すると、口元が緩みっぱなしのカールは、ニヤニヤしながらその口元が動く。


「良い事を聞けたお礼に教えてあげよう! 反目爆発に起きる現象は大きく3つ、光、音、衝撃だけなんだ。そんでもって、僕は『第二層システム介入』によって、その現象を起きる瞬間にキャンセルしただけなんだ! まぁ、突然だったから光の現象はキャンセルできなかったけどね!」


 目の前が違う意味で真っ白になった。


「そ、そ、そんなことができるなんて……」


 頭に浮かんだ言葉をそのまま口にしてしまった。そのくらいワタシの頭は冷静でいられなかった……。


「フハハハ……! 知る者とはいえ所詮下界人。我々、天界人とは違うのだよ! ちなみに一般天使クラスでもキミと同じ第一層まで使えるんだ。そして、この私、大天使クラスなると第二層まで介入できる。更に更に、神、女神クラスとなると第三層まで介入が可能だ! これで理解したかな? キミたち下界人がどう足掻こうと天界人には決して勝つことなんて不可能なんだ! レベルがどうとか言っている次元とは全く違うんだよ天界はっ!」


 大天使カール『様』は、カッと目を見開き、上から物を言うように怒鳴った。天界人に楯突くことが、どれほど恐れ多いことか分からせるかのように……。ワタシは声が出なかった……。黙っているワタシを見て、カールは満足げな表情に変わる。


「ふぅ……スッキリした。キミが僕に対して戦いを挑もうとしたこと自体が間違いなんだ。天界で決まったことは絶対。キミは知る者になった、それは死ななければいけない存在なんだ。抗おうとせず静かにそれを受け入れなさい。分かったね?」

「……分かりました」


 ワタシは、そう答えた……。




 ――そして、ワタシは思った。

 『計画通り』と――。


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