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 ワタシは、人間が大嫌いだ――。


 クリスと名付けて頂いたワタシは、『マト様』によって素晴らしいチカラを身につけた。誰にも負けないチカラ……どんな勇者が来ようが……どんな強者が来ようが……絶対に負けないチカラ……。そう、『魔族の救済』という、崇高な目的を達成するために……。


 最初の目的は、『アルフ』という魔王の抹殺である。史上最強の魔王という立場でありながら、魔族のためには何もせず、天界側に組みし人間のための世界作りに手を貸していると言う、史上最悪の裏切り者である。マト様の話では、この魔王を殺さないと魔族の未来は無いと言う。そして次の目的は、天界人の殲滅だ。天界人は、魔族を不遇な立場に追い込んだ張本人である、絶対に許してはいけない。自分の使命を果たすため、魔王ゴウマの体を借り転生した――。


 この世界にやって来て、まず最初に取り組んだ事は、借り物の体ゴウマの強化であった。魔王アルフを知らないワタシは、その実力を知るため、確実に殺すため、自分のチカラは隠さなければいけなかった。それは、戦いにおいての鉄則である。そこで、身代わりの指輪を駆使し、魔王ゴウマを次々と増やし、経験値を上げる鎌を使いひたすら倒し続けレベル350まで引き上げた。レベル限界の解放は、ワタシを転生した女神がやってくれた。この後、自分たちが狙われる事も知らずに……。


 その後、必ず通ると言われていた洞窟で待機していると、この世界の勇者一行と出会う。強化したゴウマの腕試しと思い、その勇者と戦う事にした。時空間魔法には、少しだけ驚いたが大したことはなかった。そんな戦闘の中、勇者パーティの中にいる場違いな人間の少女が気になって仕方がなかった。透明化魔法、結界魔法に、いち早く気づいていたからだ。そして、発覚する。この少女こそが姿を変えた史上最強の魔王『アルフ』だという事に……。


 勇者を倒し、魔王アルフと対峙することになった。そのチカラを探るため、あの手この手で挑発するが、そのチカラを見せようとしないアルフ。どうすればいいのか分からなくなり焦ってしまったワタシは、思わず手を出してしまう。まだ相手の作戦もチカラも分からずまま……しかし、不用意に出した攻撃だったがダメージは通った。それどころか、致命傷になるダメージだった。もしかしたら、姿を変える際に、その『チカラ』も失っていたのかもしれない。そう確信したワタシは、歓喜する。しかし――それは違った……。


 トドメを刺そうとした瞬間だった。アルフと一緒にいた人間の少年が彼女を助け出す。ワタシにも見えない速さで……。信じられなかった、潜在能力を測るスキルで勇者パーティは全て見ていた。少女になっていたアルフだけは分からなかったが、『あの少年』は低レベルで間違いない。それに、潜在能力も普通の人間よりも低かった。ワタシに見えないほどの動きができるわけない。混乱したワタシは、無我夢中にトドメを刺しに向かった。


 筋力倍増魔法を自分に付与し、思いっきり鎌を振り下ろした。手応えがない……立ち上る土煙の中、目を凝らして見てみると……レベル350まで引き上げた魔王ゴウマの会心の一撃を指だけで止めているアルフの姿があった……。どんなに力んでもビクともしない。ワタシは、すぐに悟る。レベルが違う……いや、レベルっていう概念の話ではない……根本的に何かが違う……これが、本当のアルフのチカラ……。


 本物のチカラを目の当たりにしたワタシは、握り締めていた鎌から高レベルの『幻術魔法』を流し込み、直後その手を放す。物理がダメなら精神攻撃という流れでやったが結果は分かっている。ただ、その耐性があるか知りたかったからだ。案の定、幻術にはかからず、ケロッとした顔をしている。普通ならそれで完全なる八方塞がりである。しかし、ワタシにはマト様から与えられた『チカラ』があった。ワタシは、偽装を脱ぎ捨てる決心をする。


 魔王ゴウマの体から立ち込める蒸気、その姿の存在を消し去るように消えてゆく。ゴウマのままでは『あのチカラ』は使えない。ワタシは本来の姿になった。


 少しづつ晴れてゆく蒸気の中、魔王アルフと対峙した――。


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