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情報収集

少しづつ物語が動きます。

 昨日、橋本達とダンジョンに行ったおかげでお金のほうに余裕ができたため、今日は情報収集をしようと城までやってきた。


 魔王を倒すためにはこの国だけじゃなく世界の情報もいる。

 そこまで詳しいとなるとやっぱり王様?ってことになるな。早速行ってみるか。


「申し訳ありませんが、王様は不在です。3日後には戻りますので、それまでお待ち願います」


 兵士にやんわりと追い返されてしまった。王様がいないとなると・・・。


「父上に何か用だったか?ボクでよければ代わりに聞こう」


 振り向くと王様によく似た顔立ちと服。もしかして


「ああ失礼。ボクはこの国の王子、ルイド=クルセイドだ。年は多分君達と似たようなものだと思うから、敬語などは必要ない」


「えっと、それじゃあ。俺は宮古晴海だ。王様にはこの世界と魔王の関係について聞こうと思ってたけど不在だったんだ」


「そういうことならボクの知ってることでよければ話そう。さすがに国の情勢までは教えれないが」


※世界について

 国は4つある。


人間族の国:クルセイド

エルフ族の国:リーフイット

亜人族の国:ドルマイン

鬼人族の国:ストーレン


 現在国同士の仲が良くないため、商人、もしくは特定の冒険者しか立ち入りが許されていない。

 だが魔王と戦うにはそれぞれの長に認められなければならないとされている。


「ボクが知ってるのはこれぐらいか。どうだ、参考になったか?」

「ああ、だいぶ参考になった。魔王を倒すためには仲が良くない国の王に認められろ、ということか。かなり難易度高いぞ」


 話し終えた王子がこちらをジッとみていた。な、何かしたか?


「いや、ハルミは魔王討伐について考えてくれていると思うとつい、な。本音をいうと今回召喚された勇者は自分が強くなることだけに重きを置いているようだからな。

魔王討伐など眼中にないと思っていたのだ。ある程度の富や名声を手に入れれば戦いをやめてしまうとさえ思っていた。だが、お前のような奴がいてくれてボクは嬉しいぞ!」


 いや、多分俺の他にも精力的に魔王討伐に勤しんでいる奴もいると思う。まだ会ったことないけど。

 王子はかなり話好きなのかもしれない。

それから他愛のない会話を続けていたが、そろそろ剣の鍛練の時間らしいので切り上げることにした。


「そうだハルミ。他国の情報が欲しいなら、冒険者よりかは行商人に聞くといいだろう。今は他国も冒険者の風当たりが厳しくなっているみたいだ。行商人なら商売ついでにいろいろ情報を持っているだろう」

「わかった。ありがとな」

「気にするな。ではまた近い内に話を聞かせてくれ」


 王子と別れ、俺は行商人の集まる市場へと向かった。驚くことに、何人かの生徒が普通に働いていた。

 店番をしている奴もいる。ダンジョンに行くために新調したショートソードもこの市場で購入したものだ。

 ただ、今回は買い物目的ではなく行商人だ。店に卸す人だとなかなか捕まらないが、露店だと買い物したら情報を聞けるかもしれない。

 さっそく探してみるが、見つからない。すぐに見つかるだろうと思っていたが甘かったようだ。どこか適当な店に入って聞いてみるか。


「いらっしゃいませ!」

「えっと、ちょっとお聞きしたいことが・・・」

「ってアンタ宮古じゃん!雑貨店にくるなんて意外だね」


 記憶を辿る。同じクラスの女子で名前は確か・・・


「沢田・・・?」

「そうだよー。ってかなんで自信なさげなのね!去年も同じクラスっしょ!」

「悪いな。人の名前を覚えるのは苦手なんだ」


 こんなところでクラスメイトにバッタリ会うなんてな。クラスの連中とはあまり話したことはないので、用を済ましてさっさと出よう。


「それで聞きたいことがあるんだが」

「いいよ〜。たださー、雑貨屋って物は溢れているけど売り上げはイマイチでさー」

「・・・・・」

「ここで優しいクラスメイトが売り上げに貢献してくれたらー?みたいなー?」

「・・・わかったよ、何か買えばいいんだな?」

「毎度ね!愛してるね!!」


 調子のいい奴だ。とりあえず店内を見てまわろう。この際だからダンジョンで使えそうな物を買うか。

 例えばこの携帯調理道具一式。これなら小さいので場所をとらないし、食材を持ち込んでダンジョンで調理できるな。

 値段もそう高くないので購入を決める。


「ありがとね。ってかアンタ自炊できるんだったね。家庭科の調理実習ではクラスの女の子が聞きに来てたぐらいうまかったね」

「毎日家事してるからな。それにしてもよく覚えてるな。去年のことだろ?」


 言われて思いだす。あの時は班ごとで調理をするのだが、俺の班では男子は女子に任せっきりで、あまり手伝おうとはしなかった。

 女子達は包丁を持った事がないらしく、かなり危なかしかった。

 見かねた俺が盛り付け前まで1人でやってしまった。おかげで時間がかなり余ったのだが、女子から質問攻めにあい、もう何度か作るハメになった。

 あの人のために料理に関しては妥協したくなかったからな。


「まぁ、私もその内の1人だったんだけど、さすがに覚えてないよねー」

「あの時は女子のほとんどが来てたからな。ハッキリとは覚えてない」

「うん、まぁいいね。この話はおしまい。それで?聞きたい事って?」

「行商人の知り合いか、行商人の出してる露店を知らないか?」

「行商人の露店かぁ。それならこの辺りには出さないと思うね。ここは店がありふれているから出しても目にとまりにくいからね。よし!売り上げ貢献のお礼に行商人達の穴場、教えてあげるね」


 だいたいの場所を教えてもらったが、俺の泊まっている宿の近くだった。灯台下暗しだったのか・・・。


「ありがとう沢田。行ってみるよ」

「ちょい待ち宮古。アンタ・・・やっぱりクラスで孤立してるね?」

「・・・パーティ組んでないところを見てもわかるだろ?でも別段困ってるわけじゃないし、俺もこのままでもいいと思ってる」

「原因は・・・橋本さんよね」

「否定はしない」


 会話が途切れたので店の出入り口のドアに手をかけた


「ま、まぁ男子はあんなんだけど、女子の中にはアンタを嫌ってる奴なんかいないと思うね!うん、間違いないね」

「・・・沢田・・・ともこか?」

「はいね!?」

「いや、急に思い出した。その様子だと合ってたみたいだな。じゃ、ありがとな。また来るよ」


 俺は店の外に出て、沢田に教えてもらった行商人の穴場へと向かう。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 晴海が出て行った後の雑貨屋では


「私の名前、覚えてたのね。全然話した事もなかったのにね・・・。ああ、橋本さんの気持ちがちょっとだけわかる気がするね」


 同じクラスメイトに少しだけ嫉妬する女の子がいた。

次回、晴海のクラスメイトのダンジョン探索。

時系列的にはこの話で晴海が情報収集している間での出来事です。

あと、晴海のいう「あの人」が語られるのは

ずっと先になりそうです。

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