初めてのダンジョン2
少し早めに更新しました。
俺が今覚えたスキルを確認してる間に滝井によって橋本は解放された。仕事が早いな。
「は、晴海君。その・・・見た?」
「俺の位置からじゃ見えないだろ」
明らかに無理があるが惚けてみる。しかし橋本は信じたようで「よかった〜」と言ってる。
橋本は相変わらず人を疑わないな!俺は事なきを得たと思ったが滝井は俺にだけ聞こえるように耳打ちしてきて
「本当は?」
「・・・・・」
純白のパンツいただきました!バレバレなのだから滝井には開き直ろう。
視界に入ってくるんだからこれは仕方ないよな!とはいえスキルも会得したし、これからはこんな事故はなくなるだろう。2人に今得たスキルを説明する。
「わ、罠感知?罠解除?そんなスキルがあるの?」
「今さっき覚えた。おかげで今は罠がどこにあるかわかる。例えば・・・ここにあるな」
ピンポイントで素振りをして罠を発見する。折角なので解除して罠を回収してみた。
【転移装置:設置系の罠。踏むことで発動する。対象をフロア内の別の場所に移動させる】
「す、すごい!晴海君と一緒にいればもうあんな想いをすることがなくなるんだね!」
橋本が感極まり、大絶賛してくる。恐らく過去にも何かあったんだろうな・・・と考えてたら滝井がコッソリ教えてくれた。
前回は足元から突風が吹き出し、スカートが豪快に捲れあがったらしい。ロングスカートなのにすごいな。っていうか特殊な罠多くないか?
罠スキルを覚えたことにより、俺が先行して罠を解除し、安全になったところを2人が通る。
魔物が出た時は罠の位置を伝えてそこに気をつけて戦う。順調に進んだおかげで昼前までに6階層への階段の前で少し早いが昼休憩をとることになった。
「次の階層も行けそうね。魔物の強さもあまり変わらないわ。もともと罠があるから難易度が上がってるわけだし」
「前にここに来た時は8人だったもんね。魔物討伐組と罠探し組で別れたっけ」
「なるほど。罠が見えてれば少数でも行けるということか」
昼食は持って来たパンを食べる。2人も同じようなパンだった。ダンジョンに入るとあまり碌なものは食べれない。
何日も探索するとなると生の食べ物は持って行けないから保存食オンリーだ。
・・・料理スキルがあれば乾燥の食材を持ち込んで料理するか?いや、調理道具と食材が嵩張るな。何日も探索するわけじゃないし、当分はパンでいいか。
「午後からはどうする?行けるとこまで行って見ましょうか」
「賛成ー!」
「そうだな」
「ただし、危ないと感じたらすぐに引き返すこと」と付け加えて3人は進んでいき、現在9階層まできている。ここまで手強い魔物も罠もなかったが、まとめよう。
【オーク、オーク亜種→怪力だが雑魚】
【ジャイアントバット→動きが早かったが紙装甲なので瞬殺】
【マンティス→カマの動きが単純。カウンターで瞬殺】
【ソードスケルトン→1対1だと厄介。1対2だと1人が隙をついて瞬殺】
【フロッグマン→長い舌で装備を剥ぎ取ってくる。女性が大好き。もちろん瞬殺】
【回収した罠:転移装置、落石、眠りガス、シビレ罠】
あとは持ちきれなかったので解除するだけにしておいた。
「前より順調にここまで来れたわね」
「うん、時間的にもまだ余裕があるよ」
7階層が2人の前回までの到達記録だったかな?前回は8人パーティだが、今回は3人パーティでここまで来れたということは俺も少なからず貢献できたということかな。
「宮古君、ちょっと聞きたいのだけれど」
「ん、なんだ?」
「レベルやスキルを聞くのはマナー違反だということはわかってるけど敢えて聞くわ。今、あなたのレベルはいくつなの?」
「み、澪ちゃん・・・?」
普段の滝井ならマナー違反とわかっているなら聞かないはずだ。そんな滝井に橋本は少し驚いている。
「いや、別にいいよ。さっきも言ったけど2人を信頼しているから隠す必要もないし」
「は、晴海君・・・」
「ありがとう、それなら私たちも教えるわ・・・」
信頼するパーティならステータス情報は共有してるって聞いたしな。俺はステータスを確認する。
宮古晴海:男
LV:19
状態:普通
SP:20
HP:500
MP:0
力:200
守備:200
敏捷:200
器用:200
運:200
スキル:学習LV2、片手剣LV5、盾LV5、カウンターLV3、気配感知LV3、自動翻訳
レベルが4も上がってた!さすがに経験値2倍はすごいな。ステータスをそのまま伝えようとしたら、ギルドカードのほうが早いと教えてくれる。
ギルドカードには俺が今確認したステータス情報がそのまま記載されていた。こんな機能があったのか。早速、滝井と橋本に見せる。
「やっぱり・・・。途中から宮古君との差を感じていたけれど、これで納得したわ」
「これが晴海君のステータス・・・」
予想はしていたが、ダンジョン探索前の俺のステータスは2人より低いようだった。魔物を倒していく中でいつの間にか2人より早く魔物を倒せるようになっていた。滝井もそのことについて疑問に思っているのだろう。
「この学習っていうのが宮古君の固有スキルなのよね?」
「ああ、そうだ」
「効果までは聞けないわ。・・・恐らくまだ複数の効果がありそうだけれど、それがあなたの強さの秘訣だものね。それと、これが私のステータスよ」
「はい、晴海君。これは私のだよ」
2人ともギルドカードを見せてくれた。それがこれだ。
滝井澪:女
LV:16
状態:普通
SP:0
HP:300
MP:0
力:130
守備:90
敏捷:180
器用:200
運:100
スキル:隠密LV2、片手剣LV5、自動翻訳
橋本成美:女
LV:16
状態:普通
SP:5
HP:350
MP:0
力:140
守備:150
敏捷:130
器用:150
運:100
スキル:聖女LV2、片手剣LV4、盾LV3、自動翻訳
・・・やはり俺はいつの間にか2人のレベルを越えていた。
経験値2倍がここまで差がでるとは思わなかった。それにしても橋本が「聖女」で滝井が「隠密」か。
どんなスキルだろうな。ふいに滝井が
「お互いのステータスも知れたことだし、これを機に宮古君に戦闘も仕切って貰いましょうか」
「えっ?」
戦闘を仕切るということはリーダーをやれということか?隣で橋本を頷いている。
「うん、適任だと思うよ。リーダーってことだよね」
今まで罠が見えていたため、戦闘中も指示を出していためか、橋本からも支持される。
いや、かけたわけじゃないからな。
「たいしたことはできないぞ」
「大丈夫だよ。私達も協力するし!」
俺はリーダーを拒否していたが、2人の推しに負けて、やがて
「・・・今までのようなやり方でよければリーダー引き受けるよ」
「うん、ありがとう!よろしくね」
円陣を組もうと橋本が手の甲を前に出してきた。つられて俺もその手の上に自分の掌を重ねる。滝井がさらにその上に掌を重ね
「じゃあ行けるとこまで行っちゃおー!」
「「「おー!」」」
その後「掛け声はリーダーの宮古君がするものじゃないかしら?」と滝井がいじわるにツッコみ、橋本が「あっ!!」と言っていた。
うん、いいパーティだと思う。これなら9階層もいける気がする。俺がリーダーになったのは想定外だが、できる限りのことはやってみよう。
次回、ボス戦