異世界召喚
オリジナルの連載小説初投稿です。作業は全てスマホでやっております。
「ふっ・・・はは!やったぞ!ついにやってやったぜ!!」
「これで目標に一歩近づくな!」
「あ、ああ。その通りだ!」
薄暗いダンジョン内で響く勝利の声。今しがた彼等は目的を達成したのだった。
「おい、見ろよコイツ。結構溜め込んでやがるぞ」
「へへっ、ついでに装備も貰っておこう。悪く思うなよ」
戦利品として、もうピクリとも動かなくなった彼等の「敵」から装備品、金、アイテムなどを奪っていく。
「おお!すげぇ!!コイツ殺ったら経験値すげぇ入ったぜ!SPも奪えるみてぇだ!」
「マジかよ!おお、経験値も分配されずに100%入るな。おい、お前らも忘れず奪っとけよ!レベルが面白いぐらいに上がるぞ」
「な、なぁ。さすがにマズかったんじゃないのか?」
「何を今更ビビってんだよ?ダンジョン内で殺れば証拠は残んないんだろ?『コレ』も自然消滅するらしいし」
「コレ」と称されたもの、そう彼等の敵とは魔物ではなく・・・人間だった。
「ククク、お前が悪いんだぜ、宮古晴海」
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最期に見た光景は俺こと宮古晴海が仲間の1人に背後から剣で貫かれ、抵抗する間も無く崩れ落ち、それを他の仲間は笑みを浮かべたまま見ていた。
まるで作戦が成功したと言わんばかりに。この瞬間になり、俺は気づいたのだ。
ーー仲間に裏切られて殺されたーー
事の始まりは異世界に召喚された日に遡る。
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「ごめんね、急に呼び出したりして」
「別にいいよ、それで話って何?」
ある日の昼休み、晴海はクラスメイトで学校一の美少女といわれている橋本成美に校舎裏へと呼び出されていた。しかも登校して教室に入るなり
ーー大事な話があるの。昼休みに校舎裏までお願いできるかな?ーー
と、クラスメイトが割といる中で言われてしまい、断るに断れなかった。
普段、クラスでもあまり目立つというよりかは、目立たないようにしている晴海は、呼び出すなら手紙やメールなどでコッソリとやってほしいと思った。
おかげで校舎裏には目に見えて野次馬が来ている。隠れているつもりなのか、木の陰や柱からすごくはみ出てるのでバレバレだ。
ちなみにメルアドは教えていないのでメールは無理なのである。
「その・・・晴海君は今、付き合っている人はいる?」
「いや、いないな」
「じゃあ・・・好きな子、とかは?」
「特にいない」
「そ、そうなんだ・・・」
そこまで言って橋本が黙ってしまう。ぶっちゃけ俺は顔とか性格がいいわけじゃない。中ぐらいだと思う。だからこの状況がわからない。
橋本が俺に告白?そんなフラグは立てた覚えはないが・・・。
「晴海君!」
「お、おう」
黙ってた橋本が急に大声を出したので驚いてしまった。そして意を決した表情で橋本が次の言葉を言おうとした瞬間。
「あなたがす・・・えっ?」
「な、なんだコレは!?」
急に空が暗くなり、足下にブラックホールみたいな渦が出現し、2人はなす術もなく飲まれていった・・・。
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「ようやくお目覚めになられましたか?」
「ん・・・ここは・・・?」
ベッドに寝かされていた俺は上体を起こす。
「まだ意識がはっきりとされていないようですね。無理もありません。あなたもどうやら別世界から召喚されたようですから、少なからず身体に影響が出たのでしょう」
「別世界?影響?何を言って・・・」
晴海はそこで気づく。先ほどまで校舎裏にいたのにいつの間にか豪華な部屋の一室のベッドの上にいて、部屋の中も見たことのない置物や機械のようなもの、しかもコスプレのようでコスプレではないガチのメイド・・・。ここは
「マジで異世界に来てしまったのか」
異世界に来たのは俺だけか?いや、橋本も同じ様にあの渦に飲まれていたのを見ていたから来ているはずだ。メイドさんに尋ねてみよう。
「俺と同じ様な格好した奴は見ませんでしたか?」
「ええと、あなたと同じ様に来られた方達でしたらこの城に何名かはいらっしゃいますよ。ただ人数が人数だけに全員は把握しきれておりませんが・・・約500名はいらっしゃるかと」
「500!?と、いうことは全生徒数ぐらいか・・・」
俺も学校の全生徒数は知らないが、1〜3年生を合わせるとそれぐらいだろう。ちなみに俺は2年生だ。
「もう、身体は大丈夫なようですね。安心致しました。あ、私はここでメイドをさせていただいております、マリアンヌと申します」
「俺は宮古晴海です。いろいろ聞きたいことがあるんですが」
「晴海様でございますね。申し訳ありませんが、晴海様が目を覚まされましたら王様の方へ案内するように言われております。ですが、向かう途中で答えられることでしたらお答え致しますよ」
「助かります」
とりあえず基本的なことから教えてもらったことをまとめてみた。
ここはクルセイド王国で冒険者が最初に立ち寄る国として有名らしい。
その理由は周辺地域の魔物が比較的弱いからである。また、商人の出入りも盛んになっていることから国自体も栄えている。
「この奥が謁見の間になります」
「わかりました。いろいろ教えていただいてありがとうございございます」
「私でお役に立てたのなら光栄です。では、私は仕事に戻りますね」
マリアンヌさんは一礼してから元来た通路から戻っていった。俺は謁見の間の扉を開けると、兵士に呼び止められる。
「王様にどのような御用件で?・・・ああ、もしかしてあなたも召喚された方ですね?」
「ええ、そうです。メイドのマリアンヌさんから言われて王様に会いに来ました」
「少々お待ちを!王様を呼んで参ります!」
程なくして王様が入ってくる。玉座に座り、こちらに向き直る。
「まずは楽にしてくれ。堅苦しい挨拶はなくてもいいだろう。わしはこの国の王、ライアン=クルセイド13世じゃ!」
「俺は宮古晴海といいます」
「ふむ、そなたの境遇はだいたいわかっておる。別世界からこちらへ召喚されたのであろう?状況、タイミングからして魔王の仕業とみえる。他の者にも説明したが、改めてしておこう」
さっきマリアンヌさんがしてくれた説明に加えて王様がしてくれた話はこうだ。
まず、こちらの世界に召喚したのは魔王の仕業である可能性が高いとのこと。
理由は同時期に勇者が魔王に殺害され、この世界に勇者がいなくなってしまった。魔王は勇者の持つ生命力、所謂「生きる活力」「圧倒的なエネルギー」を糧としているため、いなくなれば当然エネルギーを搾取できなくなる。
そこで異世界から勇者を召喚して力を蓄えたところを狙うつもりであると。幸い勇者として約500人程の学生が召喚されているので、皆で協力すれば魔王を倒すことができるかもしれないということだ。
そして魔王を倒せば元の世界に戻れるのではないか、ということだった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。投稿した後で「ティン!」と閃く場合がほとんどです(´・ω・`)更新は不定期ですが、これからもよろしくお願いします。