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プロローグ

 俺の名はユビキタス。

 【異世界】ノースウッドで勇者として活躍している。 

 そして今日、魔王を倒すため俺は5人の仲間と、各国で頭を下げて集めてきた500名の精鋭兵士と共に最終決戦に臨む。

 対する魔王軍は1万を越えている。

 中にはワルキューレやオーディン、トゥアハ・デ・ダナーンといった強敵もいる。


 俺の仲間は、魔法使いの妻ルビー、パラディンのジャバ、旅芸人のスイフト、僧侶のパイソンだ。


「ジャバ、そろそろ準備はいいか?」

「問題はない」

 彼はパラディン最大奥義『トールハンマー』を放つため両手首を合わせて手を開き、体の前方に構えた。

 体内の全エネルギーを凝縮させて一気に放出させる技で、使用できるのは1日1回。それくらい消耗が激しいのだ。


 ジャバは、腰付近に両手を持っていき体内の気を集中させた。手に光の玉が出来始める。

 両手を完全に後ろへ引き、気を更に満たす。

 

 どうやら気が満たされたようだ。彼は魔王軍へ向け両手からそれを放った。

 途轍もない質量のエネルギー波が大地を抉り魔族共に迫った。

 それを見た奴らは恐れ戦き逃げ出したが後の祭りだった。トールハンマーが彼らに届く直前、それはサンダーフォールシーリングに形を変え彼らを消し去ったのだ。

 

 眼前にいた1万の魔王軍は全て消えていた。勇者ユビキタスは500名の兵士とともに魔王を破った英雄として後世に名を残した。


 はずだった。

 

 ユビキタスが、500名の兵士を向き勝鬨をあげようとしたその時、激しい痛みが全身を襲った。

 彼が痛みを堪え背後を見ると、妻ルビーが剣でユビキタスを刺していた。隣に視線を移すと、スイフトとパイソンは既に絶命しており、力を使い果たし動けないジャバも口をパクパクさせているだけだ。

 

 妻に視線を戻すと、ルビーの面影を少し残したサキュバスになっていた。ユビキタスはこの時、妻に裏切られた事を理解する。


「お前は一体…」

「クククク、私は魔王ウィラメット」 

「な……、んだと」

「驚くのも無理はなかろう、私は用心するタイプでな、万一に備え人に化けお前に近づいたのだ」


 ユビキタスの視力は、失血の影響で殆ど奪われ、体も冷え重くなっていた。


「俺の負け…なのか…」

「ごめんなさい。でもね、昨夜の激しいあなたはまさしく勇者だったわよ」といい、耳たぶに口づけをしてきた。


「さようなら」

 別れの言葉を聞いた直後、俺の意識は途絶えた。

 

 ◇ ◇ ◇


 ユビキタスが目を覚ますと、そこは見慣れた転生ルーム、アーキテクチャだった。

 

「お帰りなさい、ユビキタスさん」

「ルビー!これはどういう事…って? 俺、死んだの?」

「今回は比較的長く頑張りましたね。惜しかったですね」


 女神プレスコットは笑顔で話しかけてきた。


「俺は魔王に負けたのか?」

「これが今の戦場です」

 

 彼女が水晶玉を見せてきたので見てみると、魔王が500名の兵士を屠り勝利を宣言していた。

 

「お分かりですか?」

「いや、分かりたくないです」


「あなたの妻は魔王だったのですね。彼女はとても用心深いのです。こんな事もあろうかと妻になったのです」


 なんてこった。昨夜、寝所で妻と愛を確かめ合ってしまった…。

 モテる要素がない俺があんな嫁をもらえるなんて、世の中捨てたもんじゃないって思ってたのに。


「さてユビキタスさん」


 女神は慈悲深い表情となり俺に話しかけてきた。


「次は100回目の転生です。そろそろ天国に行くのもいいかも知れませんよ?」


 天国か…、確か娯楽は無いけどのんびりとした世界らしいな。

 そろそろいいのかな。天国。

 今までロクな事なかったしな。


 モンスター転生の時は、いきなり冒険者に踏まれて即死。

 冒険者に転生したら、ニュービー専門の詐欺にあい裸で荒野に放置&モンス死。

 商人に転生したら、狼女と出会い一緒に旅をするが異端審問に捕まり…略。

 姫に転生したら、3日で国が滅ぼされギロチン台に送られる。


 もう潮時かも知れないな。


「さぁ、ユビキタスさんお時間です。転生リストから天国をお選び下さい」


 俺はリストを眺めながらプレスコットに尋ねた。


「俺のユニークスキル、キーピングメモリーは天国に持って行ける?」 


 それはスキルを得て以降の記憶を全て転生先へ持って行けるレア物で、大昔俺が最初の転生をする時に、ランダムスキルを選択した時に貰えたものだ。


 バラ色の新人生が待っていると思っていたのに…。

 どうしてこうなった…。


「もちろん持って行けます。ただし天国へ行ったのち転生する場合は原則赤子からスタートになりますので、スキルもリセットされます」 


 なるほど、幼女が異世界で戦ってるアレは例外ってわけか。


 ユビキタスは、改めてリストを眺める。

 そしてある事に気づいた。


「おや?この転生リストいつの間にかタッチパネル式なってますね?」

「そうですね、天界にもデジタル化の波が押し寄せているのです」


 天界にデジタル化ってなんだよ!しかもこのメーカーロゴ見た事あるぞ!

いつのまに天界進出してたんだ?


 いかん、今は世界の選択だ! ユビキタスはパネルを再びみた。


▲【異世界】ティラムーク          (チートアイテム進呈中!)

 【異世界】クラマス

 【異世界】カトマイ            (無双になれる剣進呈中!)

 【真面目なファンタジーの世界】プレストニア(エルフと旅に出れます!)

 【異世界】カッパーマイン

 【異世界】ティムナ            (今ならスキル2つ選べます!)

 【異世界】プレスラ

 【正統派ファンタジーの世界】ポトマック  (今日なら姫とデートできます!)

 【異世界】ネハーレン

▼【極楽浄土】アランデール          (今なら私の僕にしてあげるわ)


 しかし、もう面白そうな異世界もないし天国を…。おや?現世?


▲【天国】

 【現世】

 【異世界】バニアス            (努力次第でハーレムできます!)

 【異世界】カスケイズ           (Tポイント進呈中!)


 ユビキタスがパネルを見ると天国のすぐ下に【現世】というのがあった。


「プレスコットさん、この【現世】ってなんですか?」


「チッ」


 今 チッって言ったよな、お約束のパターンだよなこれ?

 確か見られたくないものを見た時にする反応だったよね?


「ユビキタスさん、それはバグです。気にしないでください。さぁ天国を…」


 これは現世で【現世】だな。コレしかない。きっと知られたくない天界の秘密でもあるんだろうな。


「そうですね、では押します。っと手が滑った」


 ユビキタスは【現世】を押した。


「おいユビキタス!テメーわざと押しただろ!」


 女神め本性を出しやがったな!

 100回目の正直。今度こそ…。今度こそ…。

 ユビキタスは淡い光に包まれると【現世】へ旅立った。


「ユビキタスめ!覚えてらっしゃい!」


 彼女は顔に青筋を立て怒っていた。


「まぁ、あなたの幸運値ならすぐこのルームに戻って来るかしら?ユニークスキルって代償が必要ですからね…フフフ」


 女神プレスコットは、タブレットで彼のステータスを眺めて笑みを浮かべていた。


――― ユビキタス ―――

転生数:100   ▲

種 族:人間(雄)

職 業:無職(転後・未選択)    

レベル:1    

STR:60

DEX:50

INT:15

幸 運:-100

知 性:A

速 さ:C

防 御:C

魔 術:C

ユニークスキル:

キーピングメモリー ▼

――――――――――――

本作の登場人物や町、世界の名称などは、パソコンのCPUなどのパーツ類やプログラミング言語の名称を多く使用しております。少々分かりにくいかも知れませんがご了承ください。


4/12プロローグを変更しました。


●登場人物

ユビキタス

【異世界】ノースウッドでは勇者として活躍、魔王戦の際嫁に裏切られ死亡。

ユニークスキル「キーピングメモリ」の数少ない保持者。

これは転生前の記憶を全て持つレアスキル。


女神プレスコット

【転生ルーム】アーキテクチャで案内係をしている1人





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