セルフサービス方式
握りしめた十円玉を
スリットに投げつける
いちまい
にまい
さんまい
強引に与えられた温もりが
引きつった笑顔のままでモノクローム
そんなものがほしくって
今まで手に汗をかいて
一生懸命走ってきたわけじゃない
雨の中を
ただの暖かさに救いを求めて
見つめていたわけじゃない
次第に薄くなっていく白と黒の境界線
そのうちはっきりとしない薄紙だけが吐き出される
手渡してくれたのは誰だった
握りしめたのは何のためだった
互いにどんな思いのままですれ違ったかも
わからない
手書きを受け付けない機械的な光の往復
焼き上がった目の色は
まだ少しだけ熱を残してる
動かないくちびるは
何も話をしない
値下がりして、今は一枚五円だって。
昔はワクワクしたのにな。
ありがとうございました。