検定三級
ネクロマンサー検定三級を手にいれた。
知識の量を試すだけの簡単な筆記試験だが難易度は高い。年に数人受かるかどうかというほどの代物だ。
三級を取った人間だけが、三か月後におこなわれる準二級の試験を受けることができる。
筆記試験の難易度は倍加し、さらに実技試験も加わる。まさに針の穴よりも狭き門となる。
私の年齢で三級を取ったというだけでもすごいことなのだ。
だが、私の兄はすでにネクロマンサー検定一級を取得している。いまの私よりも若いころ、それこそ幼少とも言えるころに。
我が家は先祖代々、祈祷師・拝み屋・イタコ・陰陽師のタグイを生業にしていた。
外国からの技術流入や需要の低下や時代の流れやにより、いまでは一族そろってネクロマンサーをしている。
しかし、似ているとはいえ、同業多種への参入はやはり難しいモノがあった。
そこへ現れた才能ある兄の存在は家族を超えて、一族全体から重宝された。
最近は会わなくなってしまったが、兄はいまも現場へ出て手腕をふるっているだろう。
私も同じように期待されていたのだ。
兄が一級を取得した年齢のときに、私も一級を受けさせられた。
興味もあった、勉強もした、兄からも手ほどきをうけていた。
結果は散々なモノだった。
それ以後しばらくのことは記憶にない。
嫌な思い出を二度と思いださぬように封印してしまったのだと思う。
わかることは、私がいま、ダレからもなんの期待もされていないということだ。
本当ならこんなもの、とらなくてもよかったのだ。
それでも、私は受けた。
そして、三級だが取得できた。
そんな喜びをだれにも伝えることができない。
喜んでいいことなのかどうかもわからない。
そんな話を、木の枝先に突き刺されてミイラとなったカエルに聞かせていた。
『モズのはやにえ』と呼ばれるものだ。
すでに風が冷たい季節である。モズは、はやにえを残して暖かい地方へ旅立ってしまっただろう。
近くには地縛霊となっていたどこかの飼い犬の魂があった。
電柱に首輪でつながれ、その場から離れることができなくなっていた。
人が通るたびに立ち上がって期待の目を向けるが、すぐに落胆して座り込むを繰り返していた。
そんな飼い犬の魂をモズのはやにえに吹き込んで生き返らせた。
はやにえも犬の魂も、ダレのモノでもないのだ。
刺さったままのカエルのミイラは、話しの序盤ではピクピクと反応していたが、終盤に差し掛かると徐々に鈍くなり、話し終わった時には元の通りにうごかなくなった。
そして、いま、半透明の白い魂が抜け出た。
この魂は犬のモノなのだろうか、それともカエルのミイラのモノなのだろうか。
すくなくとも私のモノではない。




