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■第五夜:叶うなら、その心までも


 夜魔の英傑:ユガによって告げられたプロポーズ。


 その申し出に、シオンは即答できなかった。

 言わねばならない言葉はすでに決まっていて、迷うこともためらうことも、なにひとつないはずなのに、喉にものを詰めてしまったように言葉が出なかった。

 ぶるぶる、とそのその唇が震え、やがてそれが全身に伝播した。

 握られた手が、場所が、火をつけられたように熱い。

 

「お、お受けできない」

 ようやく震えながらシオンが言ったのは、随分としてからだ。

「わたしは……わたしの肉体も、心も、あの男──アシュレダウのものだ、すでにそうだからだ」

 子供のように首を左右に振るシオンを見つめて、しかし、握った手を離さずにユガは言った。

「それは──彼が──アシュレダウがいるから、ということか。だから、わたしの申し出は受けられない、ということか?」

 ユガの問いは静かだった。

 

 それが逆にシオンには恐ろしかった。真に心を決めた者の行いは、常に冷然としているからだ。

 つまり、ユガの問いかけは、暗にアシュレを殺害したならば、いや、そうでなくとも、昏睡のうちに留めたならならば──たとえば、このままシオンへの給餌をユガが先延ばしにし、〈ジャグリ・ジャグラ〉による残酷な改変によってシオンを虜囚とし続けたなら、覆るものなのか、と問われたようにシオンには感じられたのだ。


「わ、わたっ、わたしは、アシュレをあ、愛している」

 がくがくと震えながらシオンは言った。

「だが、彼はやがて去る。かならず、だ」

 言葉と顔色を失ったシオンに、ユガは諭すように言った。 

 シオンの恐れ、その源である予測を否定するように。

 

「誇りにかけて、わたしは病床に臥せる彼に手出しはしない。また、その回復には尽力しよう。騎士としての誇りをかけた決闘でならいざ知らず、そのような卑劣な手口に及んだところで、キミの愛を得られるとは到底思えない」

 キミ、とユガがはじめてシオンを呼んだ。愛しいものを見つめる光がそこには、たたえられていた。

 だが、とユガは言葉を続けた。

「だが、シオン、よく聞いてくれ。わたしがそうせずとも、彼はキミとはともに生きられない。生きられない理由があるのだ。それは時間。時間だ。われら夜魔の一族が生きる永劫の時に比べれば、彼らの命など、ほんの一瞬──火花のようなものだ。

 いまは良いかもしれない。彼の注いでくれる愛は、キミにはまるで凍えた夜に現れた炎のように感じられるだろう。

 だが、それはいつまでだ? いつまで、彼はそうしていられる?

 シオン、よく聞いてくれ。ヒトの命は短い。あまりに短い。

 ましてや彼──アシュレダウは騎士だという。それも、祖国を裏切り、かつて属した集団に追われているともキミは言う。

 それは卑怯さからの逃亡ではない。己の信じる正義、仁義、信念のためだ。

 命を懸けて戦ったことのある者になら、誰にだってわかるはずだ、あの傷つき消耗し切った肉体を見れば。彼が、どんな男であるかは。

 彼は勇敢な男だ。恥じることなどどこにもない清冽の騎士だ。だが、だからこそ、わたしには断言できるのだ。彼は飛び込む。飛び込んでいってしまう。

 死地へ、窮地に陥った味方のかたわらへ、護るべきもののために命を懸けて。

 そして、そして──どうなる?」

 

 心臓に突き立った杭を力任せにこじられるようにシオンには感じられた。

 言われるまでもなかった。

 アシュレがその心臓を失ったのは、シオンやイズマ、いや、それだけではない──そこに関わったすべての仲間を救おうとしての行動の末だった。

 集中しすぎた《スピンドル》エネルギーがついに彼の心臓を、その《炉》たる肉体もろとも内側から破砕した結果だった。

 

「キミはそんな彼にだから心奪われた。文字通り、胸を割り断って心臓を捧げた。 

 そして、決して起こるはずがない奇跡を、キミたちは引き寄せた。

 次元捻転二重体──まったく異なるふたつの生命体がひとつの臓器を共有しながら生きること──それはもしかしたら、生命の理想のひとつでさえないか、とすらわたしには思える」

 

 真摯な言葉だった。そこから、シオンはユガがすでにアシュレという男に、騎士として、それ以上に男として、尊敬しうる気質を見出していることを察した。

 いまだ言葉を交わさずとも、その行い、そして、シオンがアシュレを想う姿から。つまり、言葉ではなく身をもっての献身から──ユガの心には敬意が芽吹いていたのだ。

 

「だが、だが、だからこそ、彼は早逝するだろう。わかるはずだ、キミにはそれが。勇敢であるからこそ、高潔であるからこそ、彼は死地へ飛び込んでいく。喪失に怯え、無念に死すことに震えながらも、決断して、必ず──それが、人間なんだ」

 あるいは、逝く者はそれでも、しあわせのうちに死ねるかもしれない。

「だが、キミはどうなる?」


 ぼろぼろぼろっ、とシオンの瞳から涙がこぼれ落ちた。


 ユガの言葉は真実だった。偽りなど、どこにもない。

 それどころか、その予感をシオンはユガと出会ったあの月の晩、身をもって感じていたのだ。

 

 もし、あと一刻、いや半刻でも──ユガの到着が遅れていたなら、アシュレはシオンの心臓にすべてを吸われ尽して死んでいただろう。

 シオンの心臓はそのあと何事もなかったかのように、主の胸に戻ったに違いない。


 あのとき、シオンは思い知ったのだ。

 いつか、かならず、アシュレはわたしを置いて逝ってしまう、と。

 いや、それどころか、シオンと心臓を共有することで、アシュレという存在が損われるスピードを速めてしまっているかもしれないのだ、と。 

 

「それを免れる方法が、たしかに、なくはない」

 ユガは言った。

 彼を我が眷族とする──ユガの囁きにシオンは飛び出そうになる嗚咽に耐えるため、その牙を食いしばらなければならなかった。

「彼を夜魔にしさえすれば、ほとんどの問題が解決される。キミは孤独ではなくなる」

 できるわけがない。泣きながら、それでもまなじりを固めて言い返そうとしたシオンの言葉より早く、ユガが言った。


「だが、キミはそうしないだろう。永遠性の、その苦しみを知り抜いたキミであるのなら」


 シオンは目を見開いてユガを見た。

 その凍りついた湖面のごとき瞳に、出会ったあの日と同じようにシオンが映り込んでいる。

 

 夜魔がその眷族を生み出す儀式──“血の接吻”──を、シオンは過去に数え切れぬほど体験していた。

 それは真祖の娘であるシオンにとっては必須・必修の経験であった。

 一族の繁栄を支えるための義務であったのである。

 

 だが、だからこそ、それが自身より下級の“下僕”を生み出すものだとも、よく心得ていた。

 同等か、それ以上の存在を生み出すには、人類同様、男女の交合の末に子を授かる以外に方法がなかった。

 だからこそ、ユガは言ったのだ。

 

「彼を──アシュレダウを──キミは、キミの都合のよい“下僕”になどできない」

 なぜ、オマエにそれがわかるのか、という顔をしたね? そう、ユガが笑った。寂しい笑みだ、とシオンは思った。

 

「言わなかったか? わたしは三人、妻を娶った。そのすべてが、ヒトの娘であった。そのすべてを、深く愛した。キミがアシュレダウを愛しているように。離れ離れになどなれないと思い、願った。だが、それ以上に彼女たちの尊厳を、わたしは穢せなかった」

 わたしは、妻の誰をも、夜魔にできなかった。

 なんども望まれた。いくども懇願された。ともに生きたい、永劫でもかまわない、ともに歩みたい、と。

 ユガは続ける。 

「だが、だが、わたしはそのすべてを拒否した。ヒトは、死を避けられない。避けられないと知りながらも、懸命に生きるからこそ──困難を克服し、なにごとか成し遂げんと欲し、命を燃やすからこそ──美しいのだ、と。炎は、氷によって留め置くことはできない存在なのだ」

 もし、なんらかの詐術を持ってそれを可能としたと思えても──それは炎の残骸を留めているに過ぎないのだ。


 知っていた。シオンは、そのことをすでに、充分すぎるほど知っていた。

 

「夜魔とヒトは違うのだ。愛の証し、その証明としての、子どもを授かることすらできない。我々は、姿形は似ていても、決して相容れることのない存在なのだ」

 ともには、行けない。

 ユガの言葉はいつしか、シオンへの懇願に変わっている。

 

「シオン──キミから、アシュレダウを奪おうというのではない。遠ざけようというのでもない。ただ、わたしが、キミを愛することを許してくれまいか? ひとりの男が、ふたりの女を妻とすることは、ヒトの世ではまま、あることだという。事実、アラム教圏の国家のなかには、制度的にそれを認めている国がいくつもある」

 その逆がいけないなどと、どうして言える?

 

「このままでは、キミは間違いなく、半世紀の間に──独りになってしまう。キミがアシュレダウの尊厳を重んじれば重んじるほど、この言葉は確実な予言となるだろう。そのとき、キミのかたわらに、キミの支えにわたしがなれるように……してくれないか」

 もう一度、言う。

「キミを愛してしまった」


 はらはらと流れ落ちる涙をシオンは止められない。

 

 眼前の男をシオンは憎んでよいはずだった。

 仁義によって、やむをえない事情によって、アシュレの生命を優先するがゆえに、あの暴虐、あの陵辱、あの強奪に──尊厳の──シオンは耐えたはずだった。

 眼前の男を、シオンは少なくとも罵倒できるはずだった。

 

 懐に迷い込んだ窮鳥を眼前の男は君主の道義にもとる劣情でもって玩弄した──そう自ら認め、告白したのだから。

 己の欲望によって汚したのだと。

 

 たとえ、いまここで聖剣:〈ローズ・アブソリュート〉をもって、恥辱と屈辱を雪ぎ、名誉を回復させたとて、それは正当な権利であったはずだ。

 それなのに、そのどれもできなかった。


 憎めなかった。

 ひどい男であると知ってなお、憎めなかった。

 それどころか、シオンは動揺していた。


 これまでの受けた拘束と束縛、そして、改変──ユガから加えられたそれら一切が、愛に似た感情をシオンに植え付けていたことを、自覚してしまったからだ。

 

 そう、ユガがシオンに注いだものは、まぎれもない愛だったのである。

 そうでなければ、シオンはこれほど動揺しなかっただろう。

 

 シオンを苦しめたのは、だから嫌悪ではなく、アシュレへの愛とユガへの感情の間で板挟みにされた胸が、早鐘のように打ったからだ。

 シオンの脳裏に、一瞬、ほんの一瞬にしても、このまったく気質の違う男たちに板挟みにされたまま奪い合うようにして愛される幻視が飛来しなかったといえば──嘘になる。

 こう言い換えても差し支えない。

 シオンはこのユガディールという男のなかに、己の望む英傑としての、そして、運命を共に闘う者としての理想を見出してしまっていたのだ、と。

 それを振り払うように、シオンはユガの手を一度強く握り返した上で、指を解こうとした。

 

「お受けできない。わたしは、アシュレダウのものだ」

「わたしへの愛は……微塵もない、とキミは言うのか?」


 その言葉は、シオンにユガによって施された〈ジャグリ・ジャグラ〉を用いた改変の内容を思い出させた。

 愛もなく、キミは──あれほどわたしを感じたのか、と問い詰められている気がした。

 すまぬ、とシオンは言った。

 

「どうあろうと、貴方の申し出を受けることは、できない。できないのだ」

「それは……アシュレダウから正式の求婚を……受けた、ということか。妻として……すでにキミはある、ということか」

 解きかけた指を、ユガがもう一度、強く握った。

 シオンは胸に槍の穂先を受けたような痛みを味う。

 だが、その痛みを顔には出さない。

 

「そうだ」

 嘘を吐いた。

 アシュレはともにある、とは誓ってくれた。

 だが、アシュレはシオンの夫ではない。婚約の事実もない。

 なぜなら、アシュレには──いまは離れ離れだが、すでに誓い合い、愛の証しを授かった娘が──イリスベルダがいるからだ。

 それでも、シオンは、いま己の心の内を正直に吐き出した男を謀ってでも、アシュレのもとに帰りたかったのだ。

 

 そっ、とシオンの手から、ユガのそれが外された。

 長い沈黙が訪れた。雪の屋根から落ちる音だけが、ときおり聞こえた。

 切り出したのは、ユガだった。

 

「すまなかった。キミを困らせるつもりはなかった。不躾で、一方的な望みをぶつけてしまった。どうか──忘れてくれ」

 はじめて、ユガが頭をさげた。

 そして、面をあげたとき、その相貌にはあの穏やかな笑みが戻っていた。

 

 それから言った。

 アシュレは、ほどなく目覚めるだろう、と。

 ふたりのために別邸を提供しよう、と。

 ただ、目覚めて後も、しばらくはここに留まったほうがよい、と。

 シオンは丁寧に礼を言い、しかし、最後の申し出についてのみ、訂正した。


「アシュレの目覚めが確実になりしだい、居を移らせてもらいたい」

 その申し出を、ユガはしばしの沈黙の後、受諾した。

 

 シオンが馬車に揺られ、居を移したのは、二日後のことである。


          ※


 だから、シオンはアシュレが目覚めた、あのときのことを忘れない。

 歓喜と裏切りに対する罪の意識とが白と黒との渦を巻いて、心のなかを荒れ狂い、あらゆるものを打ち倒していったあのときを。

 わたしは破滅してもしかたがないのではないか。

 そんな予感に震えた。

 

 伝えるべき言葉があったはずだ。語るべき話があったはずだ。

 だが、そんなものすべてが脳裏から消し飛んだ。

 

 アシュレが手ずからのスープを飲み干し、二杯目を給仕しようとした瞬間、互いの手が触れた。

 

「どうであったか?」

「空腹は最高の調味料というけれど……ほんとうだね。おかわりをもらえる?」

「そなた……それはわたしの最新作にして、生涯最初のスープだぞ?」

「……おかわりは、あしたに……しようかな」

 アシュレの返答は、相変わらずだった。

 その変わりのなさに、シオンは涙がこぼれそうになる。

 うれしかったのだ。泣き笑いに言った。

「美食家ぶりというわけだ」

「小市民だよ、ボクは。すくなくとも、味覚的には」

「では、そなたの家の味を教えてもらうとするか」

「あー、うちのマンマ(ソフィア)は、そういうことに限って教育ママに変貌するんだよなー」

 アシュレは、はにかんだように笑った。

 

 そのあと──どうして、そうなってしまったのか、シオンにはわからない。

 

 気がつけば、食卓で脱がされ、壁際で確かめられ、階段で追い詰められ──陽光に溢れた寝室で愛されていた。

 

 ヴェールのような真っ白い天幕に寝台は覆われていた。

 注がれる陽の光が布と部屋の白壁に乱反射を起し、柔らかな光に変えられながら室内を満たしていた。余計な装飾を完全に省いたそこは、上下の感覚さえ失いそうな光の球体に包まれていた。

 夜魔である自分が、まるでヒトの子であるように陽のもとで愛されることに、シオンは熱病を患ったように震えた。

 そして、同時に、ここがかつてユガとその妻たちが暮した場所であることを思い出し、胸を締めつけられた。

 

 この光に満ちた部屋は、ユガディールの《夢》だったのだ。

 ヒトのために戦い、ヒトの娘を愛し、ヒトと夜魔とがともに光の下にあれることを望んだ。

 だが──彼の愛した者たちはことごとく、時の帳のむこうへ、去って行ってしまった。

 だから、ここは《夢》の残骸──廃虚なのだ。

 

 ぽろぽろ、と涙がこぼれた。

 どうしたの、と問われた。

 なんでもない、とシオンは答え、アシュレに言った。

 

「そなたとで、よかった」

「今回も、なんとか帰ってこれたよ」

 キミのところへ。アシュレが言い、シオンは頷いた。

 

 そのとき、それ以上の語らいを遮るように、シオンの肉体のあちこちから、〈ジャグリ・ジャグラ〉がその邪悪な芽をのぞかせた。

 この場におおよそ不釣り合いなその器具な、暗いオーラを発しているようにアシュレには思えた。

 

「シオン──キミを、変える」

 アシュレの宣言に、シオンの身体がぴくり、と痙攣した。頷いた。

 それから、耳まで朱に染めたシオンがほとんど聞き取れない声で──けれどもはっきりと、アシュレに告げた。

 

 拘束して──逃げられないように。

 束縛して──なにも隠せないように。

 残酷にして──言い訳できないように。

 烙印して──忘れられないように。

 

「躾けて……あなたの……ものに、完全にして──ください」

 それは、互いが相手を慮るための言葉ではなかった。

 

 シオンの本心から出た声──《ねがい》だった。

 その《ねがい》をアシュレは叶える。

 

 シオンは自分の秘密が文字通り白日のもとにさらされていくのを見る。

 それはユガによる刻印の傷痕をアシュレに知られることでもある。


 アシュレはまだ、知らない。

 それがユガディールによって刻まれた彫刻であることを。

 すべてが〈ジャグリ・ジャグラ〉による暴虐であると信じている。

 だからこそ、自分がその暴虐からシオンを救う──最初・・の騎士であると信じている。

 芸術的なまでに高められた美意識が生み出した造形、感性の結実がそこにはある。

 

 残酷だが、極まった美だ。シオンを確かめ、アシュレは思わず感嘆する。

 

 この美と相対するには、捨て去らなければならないものがあった。

 それは優しさや思いやり──そういった心地よい糖衣だった。

 峻厳しゅんげんで極まったものに相対する者には残酷さが要求される。

 

 それは相手に自らの理想を強いる行為だからだ。

 それは間違いなく非人道的要求だ。

 

 だが、極限の美とはその果てにしかない。

 そして、残酷さは同時に──王たるものに要求される資質でもあったのだ。


 シオンは射込まれたアシュレの愛に意識を灼かれ続けていた。

 

 それまでユガにパーソナライズされていた〈ジャグリ・ジャグラ〉は、主人以外を拒む軍馬のように暴れた。

 だが、そのことごとくをアシュレは《スピンドル》の──《意志》の《ちから》でねじ伏せ、乗りこなした。

 

 もちろん、それは凄まじい反発を生み、シオンは閃光を伴った衝撃に狂わされた。

 絶息するほどのそれに果てなく責め立てられた。

 

 いや、むしろそれをシオンは望んでいた。

 息が止まるまでアシュレに愛される実感が欲しかった。

 

 そうして、アシュレにシオンを構成するあらゆる部分・感覚を制圧してほしかった。

 望み叶うなら、その心までも。





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― 新着の感想 ―
[一言] 唐突なNTRの波動に脳が破壊されそうです しかし、それでも読むのがやめられない
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