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俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。  作者: 閃幽零×祝百万部
第二章 名字が……田中になる!

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10話 猛田、ナイスですねぇ!


 10話 猛田、ナイスですねぇ!


 一番下まで降りると、猛田が、問答無用で、巨大な扉を押し始めた。


 基本的に、猛田は勝手で、一番乗りをやりたがる。

 みんな、もう、よくわかっているので、勝手にやらせている。


 扉があくと、そこには、


「ぉお……」


 広大な草原が広がってた。

 地下なのに、空には夜空が広がっている。


 ……なんて、初めてきたみたいに描写しているけれど、

 俺、ダンジョン魔王だから、この地下2階にも、何回か来たことあるんだよね。

 ちなみにあの夜空はただのプラネタリウム。

 この地下二階のど真ん中に、でっかい投影装置があって、それで天井いっぱいに夜空を映している。


 猛田が、周囲を見渡しながら、


「……1階よりも、かなりモンスターの量が多いみたいだな……あちこちから、こっちをにらんでいやがる……」


 その声に、田中ユウトくんが、少し伏し目がちに、


「……それも、1階よりかなり強そう……全体的に、レベル20ぐらいは上がっている感じかな……」


「へっ、なら大したことねぇな。1階の雑魚どもは50が精々だった。ここは70が精々ってこと……話にならねぇぜ」


 意気揚々と草原を歩き出す。

 

 と、そこで、


「ずぁああああ!!」


 突如、ただの草原だった地面から生えてきたトラバサミが猛田の足をガシっとつかんだ。

 激痛でもだえている猛田。


 さらに追い打ちをかけるように、地面から無数の触手がはえてきて、猛田の口や耳や鼻などに侵食していく。


「うぼぼぼぼぼ!」


 ナイスですねぇ!

 いいよぉ!

 俺は猛田の様子を、最高の角度からとらえようと、必死に画角を調整する。

 もっと、猛田のゆがんだ顔が映えるポジショニングを維持しなきゃ(使命感)。


『猛田の顔w』

『そのまま引き裂いちゃえ』

『猛田くん、大丈夫?』

『ワナくらってんの、猛田だけなの草』


 俺はダンジョン魔王の権限で、ワナを配置することができるわけだが……

 格が上がったことで、前とは比べ物にならないぐらい大量のワナを仕掛けることができるようになった。


 1階の時は、急にワナが増えるのも変かなと思い、手加減してやっていたけど……

 ――ここからは、遠慮せずに行くから覚悟してくれたまえ、猛田くん。


 さらに、この2階は、一階よりもモンスターの数が圧倒的に多い。

 そして、俺はダンジョン魔王。

 普段はテキトーに戦う雑魚モンスターにひそかに指示を出して、適切に運用することも可能。


 大量のモンスターを一斉に動かし、猛田をおそわせる。


『おいおい、なんかモンスターが異常なぐらい連携してねぇか?』

『どこかに指揮官でもいるのかな?』


 ここにいるんだよ。

 俺は別に大した指揮官じゃないが、いるのといないのとでは、やっぱり雲泥の差!


「ぐ……ぐぉお! ナメんな、ごらぁああ! 爆王剣!」


 絡みつくワナと、襲い掛かる無数のモンスターを、

 まっすぐな暴力で粉砕していく。


 低レベルモンスターとワナだけじゃあ、このぐらいが限度かな。

 まあ、いいけどね。


 もう、十分、撮れ高は頂いた。

 人類が初めてみる地下2階に、猛田の触手プレイ。

 最終的に、同接は3億を超えた。


 ネットニュースをチェックすると、さっそく『前人未到のダンジョン地下2階に、時空ヶ丘のスーパースターたちが挑む!』と記事が踊っている。

 

 広がる草原、地下なのに広がる夜空、大量のモンスター、猛田の触手プレイ。

 バズる要素は無限にある。


 そして、最後に、もう一つ……


「ようこそ、地下2階へ」


 歓迎してくれる意味深な案内役、

 絶世の美女、アダムさんの登場だ。


 前回、色々と世間をお騒がせしたのち、

 大して説明もしないまま、地下に帰ってきているから、

 地上の面々の中では『あの美女は何者か』という論争で、けっこう持ちきりになっていた。


『傾国部隊のリーダーとか?』

『もしかして、ダンジョンの女神?』


 など、色々と憶測が飛び交ったが、当然、答えにはたどり着かない。


 アカシア軍を殲滅したボーナスとして玉座の間に配属された最上級配下である……なんて真実に到達できるわけがない。

 自分で言っていても意味不明だし。

 なんだったら、俺だって彼女の正体を正式には理解していない。

 なんだよ、ボーナスって。 


「勇者たちよ。あなたたちには真実のカケラを伝えよう」


 アダムの言葉に、猛田が、眉間にしわをよせ、


「カケラじゃなく全体を教えてほしいんだが?」


 その言葉をシカトして、アダムは、


「もうすぐだ……」


 あえてたっぷりと間をとって、意味深さを増大させながら、


「もうすぐ……はじまる」


「なにが?」


 と、猛田がイラつきながら尋ねた。

 猛田、シャラップ。

 今は、アダムの時間だ。


 彼女の美しさに世界が見惚れるターンだから、

 お前は、しばらく、あっちで便器でも拭いてろ。


「世界はもうすぐ、選択を迫られる。終焉しゅうえんか、あるいは開闢かいびゃくかを」


 キャー、アダム、かっこいい!

 意味深なだけで、意味ないけどぉ!

 俺がテキトーに書いた台本を読んでもらっているだけだけど、

 役者の素材がいいから、とってもえるぅ!

 コメント欄も大賑わいで、よきかな!


『終焉? え、世界おわるの?』

『かいびゃくってなに?』

『考察班、はよ』

『アダム、エロすぎだろ。顔だけでご飯3杯いけるわ』


 同接5億達成。

 パーフェクツ!


 ★


 みんなの配信や、切り抜きなど、全部含めて、今回は77億までのびた。

 ……やっぱり、『地下2階』というコンテンツは大きかったね。

 とはいえ、もう、地下2階をうつすだけじゃ、数字は伸びないだろう。

 今後も、色々と考えないとね。


 ……とにもかくにも、これで、合計89億ポイント。


「次にくる異世界軍大将のレベル10000は、アダム投入で確実に殺せる……異世界軍を撃退すれば、俺の格が上がって、ポイントで購入できるものも増える……」


 玉座の間で、大事な前提を整理していく。

 近くで、アダムたちが平伏しているけど無視。

 もう、何言っても聞かないから、好きにさせることにした。


「もうポイントは残しておくか……ガチャは魅力的だが……もしかしたら、次に『より強力な人権ガチャが100億でひけます!』みたいなことになる可能性だってあるしな……」

 


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― 新着の感想 ―
ガチャを我慢してポイントを温存したトウシくん。 いよいよ迫るの強敵との戦いがどう描かれるのか 次回も楽しみすぎます!
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