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俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。  作者: 閃幽零×祝百万部
第二章 名字が……田中になる!

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サイド 田中アシュラ視点1


 サイド 田中アシュラ視点1


 吾輩わがはいの名は田中アシュラ。

 栄えある地下迷宮センエース第19階層のガーディアンである。


 偉大なる王は本当に素晴らしい。

 とてつもない力で、異世界の侵略者を殲滅してしまわれた。

 あれほどの王の配下になれて、吾輩はなんと幸運なのだろう。


 王に関しての文句は何一つないのだが、

 正直、職場に関しては異動を願いたい……


 ★


 秘密の会員権を手に、傾国部隊は超高級服飾店へと乗り込んだ。

 一見様お断りの高飛車な店だが、会員権を見せれば問題なく通れた。

 ……まあ、会員権がなくとも、傾国部隊の面々が凄めば、普通に通れると思うが。


「こ、こちらでよろしいでしょうか……」


 店員が、緊張した面持ちで頭を下げる。


「なんか選ぶのだりぃな、ヒック。……アシュラ、酒!」


「カグヤの言う通り……確かに面倒だ。おい、店員。店にある高いもん、全部もってこい」


 クレオパトラの命令に、店員が目を丸くした。


「そ、相当なお値段になりますが」


「このクレジットカードで900億まで使える。たりねぇか?」


「い、いえ! お客様! ぜんぜん大丈夫でございます!」


 最初こそ警戒していた店員たちだったが、めちゃくちゃに金を使ってくれるとわかると、みるみるうちに態度を変えていった。


「麗しのお嬢様方、こちらもお似合いになられるかと、おほほ」


「いいから全部もってこい」


 ランジェリー店、宝石店……行く先々で、同じことが繰り返された。

 試着室から、そのまま着替えるところまで撮影していく。


「思いっきり下着姿が全世界配信されているのだが……よいのか?」


 吾輩が控えめに尋ねると、


「ばぁか、アシュラ。その方がバズんだろ、ヒック」


 カグヤが酒の缶を片手に、呆れたように返す。


「…………わらわたちに見られて恥ずかしいところはない」


 ダッキが、いつもの淡々とした調子でそう言うと、


「それはそうだけどぉ、ある程度の慎みはあった方がいいんじゃなぁい? あ、ダッキ、だめよ。さすがに陰部は隠しなさぁい」


 フジコが慌てて割って入る。


 まったく、この五人は……


「よっしゃ、戦闘態勢、ばっちり。じゃあ、本格的に暴れにいくぞ」


 クレオパトラの号令に、全員が勢いよく返事をした。


 ★


 やってきたのは、国の暗部が運営している違法風俗店。

 政治家や、その他の上級国民しか使えない。

 どんなプレイが行われても、ここでの秘密は絶対に守られる……とのこと。


 クレオパトラたちは、帳簿を調べたり、男性従業員への聞き込み(暴力)を駆使して、無理やり働かされている娘たちがいないかを徹底的に調べ上げた。

 もちろん、すべて配信している。


「アシュラ、女の聞き込みはてめぇがやれや。童貞だけど得意だろ」


 まったく口の減らない……やれやれ。


 吾輩は、震える娘たちの前に膝をつき、努めて穏やかな声で事情を尋ねていく。

 ……我ながら、拷問より、この手の仕事の方が性に合っている気がする。


 調査の結果、やはり、何人かは無理やり働かされていた。

 彼女たちを解放するついでに、ナメたスタッフたちをボコボコにする。


 やつらはなぜか、吾輩を『優しい人』だと勘違いしたようで、

 クレオパトラたちの拷問の途中、何度も、吾輩に助けてと懇願してきた。


「貴様らへの拷問……クレオパトラたちがやっていなかったら、吾輩がやっていただけのことであるが?」


 と普通のことを言っておく。

 吾輩は、この悪女どもに振り回されているが、

 別に、優しい人間とかではない。


 ★


 ある程度、粛正が終わると、今度は町ブラを開始する。

 山ほど買い物して、きらびやかな衣装になった傾国部隊の面々は歩いているだけで耳目をあつめる。

 周囲では、彼女たちをスマホで撮影している者の人だかりができていた。


 吾輩は、大量の荷物を両手に抱えつつ、そっとスマホをチェックしてみる。

 同接もかなり伸びている。


 途中、あほな男がクレオパトラに絡んできた。

 クレオパトラは、取れ高が飛び込んできた……みたいな顔で、男を蹴り倒すと、


「てめぇの相手してるほど暇じゃねぇんだよ。次、余の視界に入ったら、その時点で殺すぞ、カス」


 あらんかぎりの暴言を吐き散らかし、蹴り飛ばし、最後に中指をたてて思いっきり殴り飛ばした。


 ……そこまでする必要は絶対にない……

 が、視聴者は喜んでいた。

 あと、殴られた男も、ドMだったのか知らんが幸せそうな顔をしていた。


 変態の思考はわからん。



 ★



「じゃあ、最後に、みんな……目的の場所に行くぞ」


 クレオパトラの一声で、吾輩たちが向かった先は、街外れの廃工場だった。

 シャッターの下りた敷地に、何十台ものバイクが乱雑に停められ、けたたましいエンジン音と怒声じみた笑い声が響いている。


 ヘッドライトの逆光の中、革ジャンを着た男たちが、こちらに気づいて振り返った。


「あん? なんだ、てめぇら……うお、めちゃくちゃいい女じゃねぇか」


「って、こいつら、傾国部隊じゃね?」



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― 新着の感想 ―
拷問より、この手の仕事の方が性に合っている気がするというアシュラの妙な人間味が出ていて笑ってしまいます。
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