美沙①
「で、美沙!お前はどうするつもりだ?・・・承認したのは、お前の『大罪』だぞ?」
そうだ・・・いくら竜斗に全面的な信頼を寄せていたとしても、確認もろくにせずに勢いで承認印を押してしまったのは間違いない。
「近頃のお前は、こんな事が続いていると報告が有ったのだが・・・」
たしかに最近は、社長室に籠り、竜斗に渡された書類に印を押し、後は2人で会話したりイチャイチャプレイをしていた。
「さきほどの特定の社員を優遇する事もだが、これが会社の社長のする事か?・・・それなら・・」
「それ以上は『お嬢』を責めても仕方がありません・・・僕の管理不足ですから」
その父親の言葉を止めたのは、なんと春樹だった。
(えっ?春樹が私らの『行為』に腹を立てて、父に密告したんじゃ?)
だから、こうして両親は急遽にココに現れたのではないのかと思っていたが・・・
「ワシがココに来たのは、春樹と連絡が取れなくなったから、何事かと慌てて来たのだよ」
(マズイ、もし私ら2人が、春樹を精神的に痛め付ける為に、逃げ場を求めない様にする為に、彼のスマホを破壊したと知られたら・・・)
それこそ両親は激怒して、もしかしたら自分と縁でも切ってしまいかねない・・・
たしかに自分より信頼されている春樹には憎たらしいとは思うが、だからといって縁を切りたい訳では無い。
ただ両親に自分の頑張りを、春樹よりも評価して貰いたいだけなのだ。
ここは正直に言うべきか・・・と美沙が口を開こうとした時だった。
「会長、申し訳ありません・・・バタバタしていて直してる間が無かったものでして、ご心配をお掛けしました」
何か言いたげな重役達も押し退けて、春樹はそう答えて会長に謝罪する。
(何でよ!言っちゃえば良いでしょ!私と竜斗が笑いながら壊した。って)
その方が気持ちが楽になると思ったが・・・
「・・そうか、でもよかったよ・・・春樹が何かが有って、美沙の元を離れたのならば・・・この会社は閉じなければいけなかったからな」
そう苦笑いを浮かべながら、美沙の父親は爆弾発言を落としていった。
(えっ?どういうこと?)
思わず、美沙は春樹と父の顔を交互に見てしまった。
「まさか美沙・・・起業した時の約束を忘れたのではあるまいな?」
その言葉に、美沙はかろうじて首を横に振り『覚えてますよ』アピールをするしかなかった。
「自宅もだが、もし春樹が出ていくならば、持ち主が居なくなる為、売りに出さねばならない契約になっているのだよ・・・」
その父の発言に、美沙は青ざめてしまった。
(どういうこと?てっきり私が『持ち主』だと思っていたけど・・・)
そう思い込んでいたから、美沙は好き勝手をしてしまっていたのだ。
真の持ち主は、なんと春樹の方だったのだ。




