目覚め①
(今の夢は一体何よ!・・・縁起が悪いわ!)
美沙は頭を押さえながら、ベッドから起き上がった。
周りには服や飲み物が散乱している・・・そういえば、昨晩も《お楽しみ》をしたのだ。
(調子に乗りすぎたのかしらね・・・)
邪魔者を追い出した為、好きにやり過ぎたのか身体のあちこちが痛い。
「ハニー、起きたのかい?じゃあ、目覚めのコーヒーを用意してよ」
お手洗いに行っていたのだろう、愛人の竜斗が声をかけてきた。
「・・・春樹!・・・コーヒーを用意して!早く!」
そう声を掛けたが、反応は無い。
「春樹!モタモタするな・・・さっさと出て来い!」
しかし、何の反応もない。
「・・・奥様、旦那様なら居らっしいませんよ?」
家政婦の女性が現れ、そう告げて去った。
「何で居ないの?・・・本当に使えないヤツね」
そう怒鳴ると美沙は、立ち上がった。
「ダーリン、待ってて!今、アイツにやらせるから・・・」
美沙は竜斗に微笑むと、寝室を後にした。
客間に居るだろうと美沙は思い、やってきたが春樹の荷物一つ無かった。
(あれ?ここで寝てたんじゃ?)
その時、ふと夫婦の寝室を竜斗の為に、春樹を追い出した時の会話を思い出した。
同じ空気を吸うのも不愉快だ!・・・そう言って、元は家政婦が寝泊まりしていたボロ小屋に竜斗と笑いながら追い出したのだった。
(まったく手間が掛かる男ね!)
「綾さん、あの部屋って何処に有るの?案内して・・・アイツを引き摺り出さないと気が済まないわ!」
そしてココに座らせて、夫の役割を放棄した春樹を土下座で謝らせるのだ。
「奥様?さきほども申し上げましたが、旦那様は会社に行かれていて居ませんよ?」
その言葉に、美沙は慌ててスマホを覗いた。
そこには、今日の午前中に社内会議が有る事が書かれている。
しかも、それは数日前から通知が入っていた。
(ここ数日、まともにコチラのスマホを見てなかったわ・・・誰も通達しないなんて!)
だが、ふと思い返すと、ここ数日は竜斗と一緒に居て、他の社員と声を交わしていない。
(竜斗が私に伝え忘れた?そんな訳ないわよね・・・)
竜斗は、美沙の代わりに表だって行動してくれて、『美沙は、社長室でドンと構えていれば良いんだよ』と言ってくれていたのが、竜斗に惚れた理由の一つでもあった。
春樹は確かに補佐はしてくれるが、最終的には美沙が表立ってやる事に不満があったのだ。
(えっ?父達も来る会議なの?)
もう一つのプライベート用のスマホにも、その件に対するメッセージが入っていた。
(そんな重要な会議を言わないなんて、春樹はどういうつもりなのかしら?)
おそらく自分と竜斗の関係に嫉妬して、わざと伝えなかったに違いない。
(帰ったら、仕置きが必要ね・・・立場を分からせな・・・)
とその時だった。
また何かが頭に過った。
数日前の出来事が走馬灯の様に浮かんだ。
春樹が説明しているのに、自分達はイチャイチャして聞いてなかっただけだった。
どうせ、私が居なければ中止に成るだけだと・・・




