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6話 客寄せパンダの気持ち

6話 客寄せパンダの気持ち


結局、水瀬さんと話せずに昼休みを迎えてしまった。クラスメイトにあることないこと聞かれ、身動きが取れなかった。水瀬さんの方も、俺と同じ状況みたいだったけど。この状況じゃまともに話をすることもできないな。


というか、休み時間のたびにほかのクラスの奴らも野次馬で集まってきていた。噂を聞きつけた上級生なども来ていたし、みんなからの視線で落ち着くこともできなかったぞ。


これじゃあ、まるで動物園の客寄せパンダだ。俺がパンダだったらストレスで死んでいるところだったぞ。


俺がパンダに生まれなくて良かったと感じていると、女子達に囲まれた水瀬さんがこちらに目配せをしてきた。美術室に来い、ということだろう。その後、水瀬さんはすぐに教室を出て行ってしまった。


俺がすぐに水瀬さんの後を追いかけたら火に油を注ぐことになる。ちょっと時間を空けてから行くか‥‥‥。


「おい、牧野、まさか、水瀬さんとご飯食べるから~、とか言い出さないよな?」


一番めんどくさい奴に捕まってしまった。


「和彦、頼むから今回は見逃してくれ‥‥‥、頼むよ」


「俺ら友達だよな‥‥‥?」


ここぞとばかりに友達と言ってくるな。さっきまでボロクソに言っていただろ。まぁ、ここは穏便にすませとくか。


「すまん、許してくれ‥‥‥」


俺はそう言い残し、教室から逃げ出した。すまん和彦、今度一緒にラーメンでも食べに行こうな。


◇◇◆◇◇


「お待たせ、水瀬さん」


「あら、意外と早かったのね」


相変わらず大きな弁当を食べている水瀬さん。今日は大きめのタッパー二つにご飯とおかずを分けていれているようだ。ほんとにその食べた分はどこに消えているのだろう。これで太らないのが不思議でたまらない。


「まだ、ご飯たべてるところなのよ。ちょっと待ってくれない?」


うん。そんなの見ればわかるよ。というか、しっかり今日も焼きそばパンまで食べるんだね。


よく見ると弁当が昨日より小さい。ちょっと気にしてるのかな?、可愛いところもあるじゃないか。


「俺お昼まだなんだよね。購買で買ってこようと思ってたけど、忘れてたよ」


さっきは和彦に捕まって、お昼ご飯のことをすっかり忘れていた。すると、水瀬さんがバックの中をゴソゴソ漁りだした。


「これ‥‥‥、よかったら食べて‥‥‥」


と言って、大きめのメロンパンを差し出してきた。どうやら今日は焼きそばパンだけではなかったらしい。


「あっ、ありがとう。いいの‥‥‥?、お腹空かない?」


「私、今日はいつもよりお腹空いてないから大丈夫‥‥‥」


ちょっと顔が悲しそうだ。メロンパン楽しみにしていたのだろう。申し訳なくなってくるじゃないか。その量でいつもよりお腹空いてないのか。


俺もお腹が空いたのでメロンパンにかじりつく。おぉ、砂糖が凄いなこれ、だいぶパンチ強めだぞ。


「というか、休み時間のたびに大変だったね。俺の方は当たり障りないようにみんなに説明したけど‥‥‥」


「私からは牧野君とのラブラブカップル生活について、みんなに説明しておいたわ。みんな、他にいい人いるってとか、なんで牧野君なの?、とか聞かれたから、蹴散らしておいたわ」


何言ってるんだこの人は‥‥‥。たまに冗談か本気か分からないことを言ってくるのが怖いな。


「付き合ってるふりなのになんでそこまで‥‥‥」


「昨日言ったでしょう、私完璧主義者なの」


「そのせいで、今日はみんなからの追及がきつかったけどね」


クラスの連中、休み時間のたびに俺と水瀬さんの方を行ったり来たりして。あることないこと聞いてきていたのは、水瀬さんが発端になっていたのか‥‥‥。完全にこの状況を楽しんでいるな。


「というか、一つ気になってたことがあるんだけど‥‥‥」


「なにかしら?」


「どうして俺が遅刻するって分かったの?」


すると、顔を赤くする水瀬さん。なんだ、この反応‥‥‥、なんかドキドキする‥‥‥。


「あなたと学校に登校したくて、ずっとあのコンビニで待ってたの‥‥‥」


うぅ、だめだ。可愛すぎる。本当に付き合ってはないから本物の彼女じゃないけど。破壊力抜群だ。


ん?、というか今二人しかいないからカップルのふりをする必要ないよな‥‥‥。


「今カップルのふり、する必要ないよね」


すると水瀬さんは恥ずかしがってる素振りをやめ、いきなり素に戻った。


「ふんっ、ノリが悪いわね。ただ、みんなにカップルってとこ見せるために一緒に登校しようと思っただけ。で、来るのが遅いからちょっとは心配してたのよ。私の恥ずかしがってる演技に可愛いの一つでも言ったらどうなのよ」


いきなり怖いな。可愛さで思わず騙されるところだった。それでも、心配して待っててくれたのか‥‥‥。


まぁ、遅いかもだけど期待に応えておくか。


「可愛かったよ、今の。思わず本当かと思っちゃた」


「えっ‥‥‥、あっ、えっと、たまにはやるじゃない。少しは女の子の気持ちが分かったようね」


また恥ずかしがる演技をする水瀬さん。忙しいなこのひと。


「それなら、明日からも一緒に登下校するってことでいい?、牧野君‥‥‥」


みんなを騙すために必要だしな。まぁ、水瀬さんと一緒にいると楽しいし全然いいけど。


「いいよ、明日からもよろしく」


「そう‥‥‥、それならいいのよ」


その日、水瀬さんとRINEを交換した。


アイコンが次郎系ラーメンの写真だった。

【まずは、この作品を読んで頂きありがとうございます!】


 「面白かった!」


 「続きを読みたい!」


 「この後どうなるのっ‥‥‥?」


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