５０話 カレーにマヨネーズって合うよね？
５０話 カレーにマヨネーズって合うよね？
「こんなとこで何してたの一人で？」
「いや、なんとなく座ってた」
「公園で黄昏るのカッコいいって思っちゃってたなら、邪魔だったかしら」
「そ、そんな訳ないだろ」
その通りです。
「それで補習はどうだった？」
「ん～、疲れたわ。みんな不思議がって私の事見てたわね」
そりゃ優等生（偏見）の水瀬さんが期末テストの補習に居たらみんなビックリするだろうな。
「でも牧野君がクラスで見事な三文芝居を披露してくれたおかげで、クラスの子たちが別のクラスの子たちに勝手に説明してくれてて何ともなかったわ」
「それならあんな芝居をした意味があったよ。ごめんね、三文芝居で」
俺がそう言うと少し黙り込む水瀬さん。なにか考えてると思ってたけど、真剣な表情をしてこちらを見る水瀬さん。
「牧野君‥‥‥ほんとうにありがとう」
「そんな改まってお礼されたら恥ずかしいからやめてよ」
真剣な眼差しでこちらを見つめながら、ありがとうだなんて。いつもの水瀬さんらしくないな。
「私さっきはどうしたら良いのか分からなくて動けなかったの」
やっぱりそうだよな。ホームルームが終わってじっと動けなくなっていた感じだったし。流石にあそこで何もしないのは男が廃るって奴だからな。
「でも、牧野君が助けてくれて本当に助かったの」
急にめっちゃ褒め倒してきてるけど、なにこれ。そういうドッキリなのかな、愛してるよゲームみたいなノリのやつなのかな。
「そしてなにより、嬉しかったのよ‥‥‥」
「あぁ、うんそうなのね‥‥‥」
ほんとにいつもらしくないな。これじゃあ完全に水瀬さんに話の主導権を握られてる感じだ。あと顔近くない？
「私の彼氏ってこんなにカッコいいんだって思っちゃったし」
「いや彼氏って‥‥‥」
「好きな男の子に助けてもらえるってこんなに嬉しいものなんだって思っちゃったの」
いやほんとにどうしたんだ、水瀬さん。まるでこれじゃ本当に水瀬さんが俺の事が好きみたいだし。それと恥ずかしすぎて死にそうだから、これ以上はほんとに‥‥‥。
「って感じかしら」
急に真顔に戻る水瀬さん。
「どう？、助けてくれたお礼」
完全にハメられた‥‥‥。
「私みたいな美少女にあんな事してもらえるなんて一生誇って良いわよ？」
「それ、可愛くない人が言ってたら痛い奴みたいになるよ」
「じゃあ私は可愛いってことね？」
「そりゃ美人だけどさ」
「あら、それは嬉しいわね。ほんとうよ？」
もう水瀬さんの言う事すべてが嘘だと思えてくるから喋らないでもらって良いかな。
「そんな冗談ばっかり言ってないで、帰ろうか水瀬さん」
「ふふっ、そうね。もうこんな時間だし」
ほんと水瀬さんに弄ばれてばっかりだな。いや、水瀬姉妹にだな。
「でも、ほんとにありがと」
ベンチから立ち上がろうとした瞬間に水瀬さんが急に俺の耳元で囁いてきた。
「うぉ、びっくりさせないでよ」
「あら、ごめんなさい。こうでもしないと信じてくれないと思って」
「はぁ、俺に感謝してることは信じたから大丈夫だよ」
そして、水瀬さんは困った顔をして俺に聞こえるどうかくらいの声で囁いた。
「それだけじゃないのに‥‥‥」
今、それだけじゃないって‥‥‥。
「今それだけじゃないって言った？」
「そんな事より、最近はカレーライスにマヨネーズを掛けるのにハマっててね」
「そんな事よりって‥‥‥」
「カレーにマヨネーズって私も最初は半信半疑だったんだけど、意外と食べてみたら美味しいのよ」
絶対言ったよな、それだけじゃないって。それだけじゃないって事は‥‥‥。
てかカレーにマヨネーズってなんだよ。もうマヨネーズ最強じゃんかよ。マヨネーズのせいで意識を持ってかれてしまったじゃないか。
そこからの帰り道、水瀬さんのマヨネーズトークを延々と聞かされてしまった。術中にハマる、ならぬマヨネーズにハマるって感じであった。
【まずは、この作品を読んで頂きありがとうございます！】
「面白かった！」
「続きを読みたい！」
「この後どうなるのっ‥‥‥？」
と思われた方
下にある☆☆☆☆☆から、この作品への応援をお願いします。
面白かったら星５つ、面白くないと思われたら星１つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です！
ブックマークもいただけると本当に嬉しいです。制作の励みになります。
何卒よろしくお願いします。
