39話 キャットファイト開幕戦
39話 キャットファイト開幕戦
この人しっかり泥棒猫って言ってたよね?、これからなにが起こるか予想もつかない。水瀬さんの顔が怖くて見れないぞ。
こんな状況の割に悠木は如何にも気にしてませんって感じの顔してるし、こいつは危機管理能力が足りていないようだ。
「あ~、水瀬さんも一緒だったんだ~」
まずい、今この状況で一番発言しちゃいけない人が、一番言ってはいけない事を言ってしまった。もうだめだ、おしまいだ。こんなの宣戦布告と変わらないじゃないか。キャットファイトの開幕だ、衝撃に備えろ。
一応水瀬さんが殴り掛かるという最悪のシナリオを想定して脳内シュミレーションをしておこう、後ろから水瀬さんが飛び掛かってくる訳だから‥‥‥。
俺が脳内シュミレーションを行っていると、水瀬さんが俺の横を通り悠木の目の前に出て行った。
終わった‥‥‥、このパターンだったか。一見なにも無い風に近づき、相手が油断したところにボディブローで沈める気か。
そして、俺はなにかにすがるように首元のネックレスを握りしめた。
「朝日奈さんの帰還祝い、私も混ぜてもらっても構わないかしら?」
「えっ‥‥‥」
あまりに予想していなかった水瀬さんの発言に思わず驚いてしまった。掴みかかってから、この泥棒猫!、じゃないのか。でも、さっき泥棒猫って言ってたのは本音だよね?
「全然いいよ~、人数多い方が楽しいしね。私は構わないよ、麗奈ちゃんもいいよね?」
「私はもちろん、杏葉さんが我が家に来てくれて嬉しいです!、ささ、上がってください」
「ありがとう、朝日奈さんに麗奈ちゃん。お邪魔させてもらうわね」
なんて事だ、こんな組み合わせが実現するなんて。こんなのただの女子会じゃないですか。俺完全にアウェイなんですけど。
それにしても意外と水瀬さんと悠木は仲いいのか?、あんまり話している所を見たことないんだけど。
そして俺は暑さのせいなのか、緊張からなのか分からない汗をぬぐい、家に上がった。
◇◇◆◇◇
「今日のこのカレーいつもと違くないか?、今日のカレー中々美味しいな」
本日の帰還祝いのご飯はなにかご馳走でもあるのかと思いきやただのカレーだった。俺がいつもカレーばかり作るから麗奈がカレーを作る事はあまりないんだけど。
でも今日のカレーはいつもと違う気がする。
「そりゃそうでしょ、今日はゆうちゃんが作ったんだよ?」
「そうなんです、私が作ったんです」
滅茶苦茶食い気味に悠木が言ってきた、なんかドヤ顔だし。確かに美味しいって言ったけども。
「このカレー確かに美味しいわね、バターが効いててまろやかだわ」
「水瀬さんありがと~、バターとか色々入れてるから普通のルーを溶かしただけのカレーとは一味も二味も違うんだよ」
食にうるさい水瀬さんがうなっているだと。確かにこのカレー、クセになる味だ。相変わらず悠木はドヤ顔だけど。しかしこのカレーは認めざるえない。
「というか、悠木って料理出来たんだな」
「なに失礼なこと言ってくれてるのさ圭太。これでもいち淑女ですから」
「お兄ちゃん、それはないわ」
えっ‥‥‥、麗奈まで言う?
「そうよ牧野君、女の敵みたいな発言はやめてちょうだい。彼女の私まで恥ずかしい」
「なんかごめん‥‥‥」
いや、水瀬さんはそっち側じゃないでしょ。女子側が謎の団結力を見せている。さっき泥棒猫とか言ってたのに、何言ってんだこの人は。猫かぶるのは良くないと思います。
「まあでもカレーしか作れないんだけどね、あはは~」
「ふっ‥‥‥」
おい、今完全に水瀬さん鼻で笑ってたよね。他の二人は聞こえてなかったみたいだけど、俺には聞こえてたからね?、見逃さないよ?、さっきまで仲良さそうにしてたのは全て嘘ってことで大丈夫ですか?
「いや、なんだよそれ。このレベルのカレー作れて他の料理作れないなんて事ないだろ」
「圭太そんな褒めてもなにも出ないよ?、他の料理もチャレンジした事あるんだけど、なんか最後はカレーになってるんだよね」
なにその軽いポルターガイスト。気が付いたらカレーが出来てましたって夢遊病かなにかですか。
てか別に褒めてはないけどね?、いや褒めてはいるのか、カレーに関してだけは。うん、なんか難しいね。
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