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学校1の美少女の秘密を覗いてしまった結果、「墓場まで持って行け」と脅され、なぜか付き合う振りをすることになりました。  作者: 北川コーリング


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16話 「少年よ、大志を抱け」

16話 「少年よ、大志を抱け」


「水瀬さん、良かったね。まだ来ないみたいじゃん」


「なに言っているの。逆に勿体ぶられた分、転校してきた時のインパクトも大きいでしょ。まずいわ‥‥‥」


そういうものなのか。全然分からん。


「今日のお昼ご飯、珍しく普通の量じゃん」


今日のお昼ご飯は、普通のお弁当箱だった。女子からしたら少し多い気はするけど、このくらい食べる人も全然いるだろうってくらいだ。


「ダイエットよ。一気に食べるんじゃなくて少しずつ間食とかを食べる事で痩せれるのよ。一日の食べる量が減ってる訳じゃないから安心して頂戴」


何に対して安心すればいいんだろうか。朝からゼリーを飲んでたのはそういうことか。まぁ、痩せれないだろうからそこだけは安心しておこう。


「ちなみにそのダイエットはいつから?」


「今日からよ。ゴールデンウイークで食べすぎたから、少し本気を出すことにしたのよ」


「確かに食べてたね、たくさん」


「食べてばかりの私じゃないのよ?」


ドカ食いする水瀬さんが見られないのは少し寂しいけど、応援してあげるか。


「というか、転校生ってどこのクラスなんだろうね」


「知らないわよ。ま、うちのクラスに来たら、私がいるから存在が霞むんじゃない?」


「だからなんでそんな敵対視してるんだ‥‥‥」


「敵対視なんて物騒な言葉、やめて欲しいわね。‥‥‥まず敵にならないから、敵ですらないのよ?」


来る前からこんな人に目をつけられるなんて、可哀そうに‥‥‥。というか、水瀬さんがいるこの学校で可愛いって噂されるレベルなら、相当美人なんじゃないか?


「モデルやってた時とか、私より美人だなって思う人とかいなかったの?」


「いないわね」


即答するのか‥‥‥。でも、このくらいじゃないとモデルなんて務まらないんだろうな。


「というか、彼女の前で他の女の話なんて、なかなかやるようになったじゃない」


「いや、偽のでしょ。女の話って、まだ転校すらしきてないじゃん」


「女心っていうのは難しいのよ?、覚えておくように」


もう黙っていてくれ、ほんとに。


◇◇◆◇◇


「じゃあ、この対策テストの中から結構でるから、勉強しといてね~」


午後から中間テストの対策テストなんて受けさせられるなんて‥‥‥。国語はまあまあ得意だから7割は取れたけど。勉強しないとなぁ‥‥‥。


昔から、親からの教えで勉強はそこそこ頑張っていた。私たちみたいなブラック企業に就職することになる、って小さい頃から言われていた。子供相手なんだから、もっと夢のあることを言ってくれよと今になって思うが、勉強に困っていないのは親のおかげなので、感謝している。


「牧野~、お前どうだった~?」


「まあまあだよ」


「うわっ、79点って、すごいなお前。予告なしだったっていうのに、相変わらず勉強は、できるよな」


「勉強は、っていうのが余計だ。お前何点だったんだよ?」


「自慢じゃないが‥‥‥、35点だ」


「ほんとに自慢じゃないじゃん‥‥‥。勉強しとけよ」


「俺は今バスケが忙しいんだよ。最近練習から帰ったら疲れてなんもする気が起きないんだって」


「バスケじゃ飯は食っていけないぞ」


「夢がないやつだなー、少年は大志を抱くっていうだろ?」


少年よ、大志を抱け、だよ。


「ま、困ったら中学の時みたいに牧野に教えてもらえばいいしな!」


「自分で頑張れ、まだテスト来週だし」


「ひでーな~。‥‥‥てかよ、水瀬さんも頭いいし、秀才カップルじゃん」


どうせあの人のことだから俺の点数を見て、バカにしてくるんだろうな。水瀬さんには言わないようにしておこう。俺のテストを見て、あざ笑ってくるのが容易に想像できてしまう。俺の中での水瀬さん、どんどん酷い扱いになってきている気がするな‥‥‥、うん、あの人が悪いな。


◇◇◆◇◇


「じゃ、ホームルーム終わるぞ~。ゴールデンウイーク明けだけど中間テストあるから、少しずつ勉強しとけよー。赤点で補修のやつは掲示板に張り出されるから、恥ずかしい思いしたくなかったら頑張れよ~」


うん、なかなかにエグいシステムしてた。担任もにやにやしている‥‥‥、朝から酷いなこの担任。大人はみな、こうも意地悪くなるんだろうか。


「赤点って張り出されるのかよ」


「おい、今日勉強会しようぜ」


みんな焦っているようだ。和彦の方を見ると、絶望の表情をしていた。日頃から勉強しといて良かったと思えた瞬間だった。


焦るみんなを横目に、教室を出て、いつものように校門に向かおうとしていた。いつも校門で待ち合わせて、水瀬さんと帰るのが放課後のルーティンになっているのだ。


「水瀬さん、勉強教えてよー」


「ほんとだ、今日私たちと勉強会しようよー」


「お、それなら俺らも一緒やっていい?」


「水瀬さんいるなら俺らも!」


今日はみんな勉強しないといけないって気持ちになっているらしい。水瀬さんに勉強を教えてもらおうと必死の様子だ。流石のカリスマ性だ、クラスメイトがどんどん集まってきている。


「あの~、えっとー」


困った様子で俺の方を見てきている。俺に申し訳なく感じているのかもしれない。ここは俺に構わずに勉強会に出席してもらうのが良いだろう。久しぶりに一人で下校できるし、駅前にできた新しい本屋に行くとでもしよう。


そして俺は水瀬さんに気にするなと、ジェスチャーをしておいた。よし、これで帰れる。


「ええ~っと、あっ、今日は、ちょっと牧野君と予定があって、ごめんなさい」


ん?、どうしたんだ。気にするなってしたのに。しかも予定なんてないけど。


「また牧野かよ~」


「みんなの水瀬さんなのにね~」


「牧野くんわがままだねー」


なんで俺が攻められてるの‥‥‥、流石に可哀そうじゃん俺が。そしてこっちに来る水瀬さん。


「いや、みんなと勉強会行っ‥‥‥」


「いいから、帰るわよ」


強引に俺の腕を引っ張ってくる。


「それじゃあ皆さん、私は行けないけど、勉強会頑張ってくださいね~」


「じゃあねー水瀬さん~」


「羨ましい‥‥‥」


「牧野、死ねばいいのに」


そして俺は水瀬さんに連行された。羨ましいなら変わるよいつでも。てか、一人俺に暴言言ったやついただろ!、出てこい説教してやる。だから水瀬さん一回落ち着こう、冷静に話し合おう。みんなの前でそんな引っ付かないで‥‥‥、恥ずかしさで死んじゃう‥‥‥。

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