表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校1の美少女の秘密を覗いてしまった結果、「墓場まで持って行け」と脅され、なぜか付き合う振りをすることになりました。  作者: 北川コーリング


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/63

11話 カエル化

11話 カエル化


今俺は、絶賛水瀬さんと待ち合わせをしている。時刻は7時40分。8時に待ち合わせだけど、なんか早めに着いてしまった。別に緊張している訳ではないからね。勘違いしないでよね。ちょっとソワソワしてるだけです。


今の女子は男子のいろんな仕草に敏感と聞く。いわゆるカエル化という奴だ。たとえば会計の時に小銭を使うのが嫌、など理不尽極まりないものだ。というかなんでカエル化っていうんだ。カエルがなにしたっていうんだ。


今回で言えば、なんか周りをキョロキョロ見て、相手を探してるのが無理、という奴だ。中学の時、クラスの女子が言っていた。どいうことだ、それじゃ待ち合わせにならないじゃん。


だが、それが女子という生き物だ。俺はレディーファーストを体現したような男だ。そこは抜かりない。


そう考えつつ、スマホを見ていると、待ち人に話しかけられた。


「おぉ、早いわね、牧野君」


「あぁ、おはよう水瀬さん‥‥‥」


そこには朝からコンビニのおにぎりをムシャムシャ食べる、水瀬さんがいた。


「あ、これ?、朝ご飯食べたんだけど、コンビニに寄ったら美味しそうなおにぎりがあったから、つい‥‥‥」


あぁ、さっきまで考えてた事が全て吹き飛んだ。デートって意識しすぎて忘れていた。カエル化なんて吹き飛ばすような人だったな。相手は水瀬杏葉なんだった。


「それじゃ行こうか‥‥‥」


「あ、ちょっと待って。駅前のたい焼き屋さんのカスタードたい焼きも食べたいの。あそこのカスタードたい焼き美味しいのよ?」


はぁ‥‥‥、これじゃ、いつもと変わらないじゃん。


◇◇◆◇◇


今日も相変わらずの水瀬さん。電車の中でもお菓子のつまみ食いが止まらないご様子だ。


「ところで、今日ってどこいくの?」


この前、私に任しておきなさい、と言っていたので、今回のお出かけは僕の方はノータッチだったのだ。


「えっと、それより‥‥‥、私に言うことがあるんじゃないのかしら」


「今日もよく食べるね、とか?」


「あまり面白くない冗談を言うのね」


はいはい、分かってますよ。わざとですよ。


「たい焼き美味しかった?」


「牧野君‥‥‥次はないわ」


そろそろ怒られそうなのでやめておくか。ここはしっかり女の子の容姿を褒めてあげるのが鉄則だ。そのくらいは俺にでも分かる。


「今日の服、水瀬さんに似合ってるよ‥‥‥すごくね」


「そう、それはありがとう。嬉しいわ‥‥‥」


少し恥ずかしがる水瀬さん。いつも言われなれているのに嬉しいもんなんだな。喜んでくれたなら、それは良かった。だけど、口に出してみると意外と自分も恥ずかしいことに気づく。水瀬さんが相手でも。


「それにしても、意外とオシャレなのね、牧野君。この前のショッピングモールの時も思ったけど」


良かった、水瀬さんが普通のファッションセンスで。麗奈みたいなタイプもいるけど、結局はシンプルが一番なのだ。海外のミニマリストはTシャツにジーンズしか持たない人もいるらしいし、俺もいつかその領域にたどり着きたいものだ。


「牧野君、ドラゴンが書かれた服とか、意味の分からない英語がびっしり書かれたTシャツとか、着ているのかな、って思っていたからなんか残念だわ。偏見だけども」


なんだその偏見は。なんか上げて落とされた気分だ。確かにそういうのがカッコいいって思ってた時期もあったけども、これは内緒にしておこう。みんな通る道だよね?


「あっ、そんなことよりあの雲美味しそうだよ。クロワッサンみたいだよ」


「えっ、どれ?」


よし、話を逸らす事に成功した。ちょろいものだな。


「あれはクロワッサンというより、チョココロネね‥‥‥」


どっちも見た目ほぼ一緒でしょ。


外の光景を眺める水瀬さん。まるで映画のワンシーンのように、絵になるな。こんな可愛い子とお出かけしてるなんて、少し前まで想像していなかったな。この人が俺の彼女なのか、改めて思い知った。


「なに考えてんだ‥‥‥俺は」


「ん?、どうかしたの?」


あっ、思わず、見惚れてしまっていた。水瀬さんのくせに。


「いやっ、なんでもない。それより、あっちにはゆで卵みたいな形のがあるよ」


「確かに‥‥‥。ゆで卵ね」


いやっ、なんでゆでる必要があるんだ。焦って変な事を言ってしまった。それに納得してるし‥‥‥。


「まぁ、今日は私に任せて。牧野君の息抜きプランをしっかり考えてきたのよ」


誇らしげに胸を張る水瀬さん。せっかく俺の為に色々と考えてきてくれたんだ。しっかり今日は楽しもう。二人でお出掛けって言っても、別にいつもと変わらないじゃないか。変に意識することはやめよう。


「それで、どんなプランなんだ?」


「まずは、食べます。次に食べます。そして食べます。簡単に言うとこんなプランよ」


なるほど、簡潔で分かりやすいな。


「つまり、なにも考えてないってことだね」


「いやっ、考えてはいたのよ‥‥‥。でも、どれも決めきれなくて」


「じゃあ、一緒に調べようか」


「そう!、‥‥‥それを待ってたのよ」


虚勢を張る水瀬さん。まぁ、僕の事をちゃんと考えてくれていたこと自体が嬉しい。素直にそう思えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ