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10話 シンプルが一番だ

10話 シンプルが一番だ


本日はゴールデンウイーク真っ只中の土曜日の夜。明日は水瀬さんとお出かけ。女子と二人でお出掛け、これはまさしくデートである。人生初のデートである。


中身はあんな感じでも、見た目は超絶美人である。そんな子と二人でお出掛けするのだ。今までも二人で放課後にファミレスとか、行ったことはあったけども、流石に少しは緊張するではないか。


「これか?」


そのため服装選びに難航していたのである。女の子はシンプルな服装が好きっていうけど、どうしたものか。あの人、男のファッションにも口うるさそうだ。私の隣をそんな恰好で歩かないでくれないかしら、とか言ってきそうである。


流石にちょっと言いすぎた。そこまでは言ってはこないか。脳内水瀬さんに誤っておこう。


「普通に、シンプルな恰好で行くか」


すると、いつの間にか部屋に侵入していた侵入者が横やりを入れてきた。


「お兄ちゃん、お困りのようだね。そんなに服を並べて、明日の杏葉さんとのデートの恰好を決めかけているんでしょう?」


「あぁ、そうだけど‥‥‥」


「そんなこともあろうかと、お兄ちゃんがいつか女の人とデートでもするときのために、服を用意しといたのさ」


なんてことだ。お兄ちゃん、感激だよ。いつの間にそんな服なんて用意してくれてたんだ。


「そう、お兄ちゃんの誕生日に毎回、お母さんに言ってお兄ちゃん用の服を買ってもらっていたのさ」


ん?、そういえば中学生の頃から親が誕生日プレゼントを急に買ってくれなくなっていた。親が毎年、今年は何がいい?、って聞いていてくれていたのが、急に聞いてくれなくなっていた。


ただ、もう中学生だから買ってくれなくなったのかと思っていたのだ。それがこんな形で判明するなんて、素直に喜べないぞ。誕生日泥棒ではないか。


「あぁ、そうだったの‥‥‥。でも俺に似合う服を選んでくれてるんだよな?」


「もちろんだよ!」


麗奈も年頃の女の子だし、親に聞いた話じゃ、学校でもモテているらしい。そんな麗奈なら、女子受けするようなデート服を選んでくれているに違いない。


「ちょっと待っててね‥‥‥」


そういって自分の部屋に俺用の服を取りに行ってくれた。どんな服なんだろ。俺には無難なシンプルな恰好しか思いつかなかったけど。麗奈の来てる服、いつもオシャレだし、期待が膨らむ。こんな近くに救世主がいたなんて、なんで早く気付かなかったのだろう。


「お待たせ!、はいこれ」


そう言って服がたくさん入った袋を渡してきた。そりゃあ、約三年間分の誕生日プレゼントが入っているんだ。このくらいあって当然だろう。


そして期待を胸に袋の中を覗いてみる。


「どう?、私の抜群のセンスで選び抜かれた服の数々は‥‥‥」


俺は中に入っていた服を見て、絶句した。


入っていたのは、ピチピチのスキニージーンズ、スラックス、ピチピチのTシャツに、謎に先の尖った革靴。眼を疑いたくなる品の数々であった。これではただのヤリラフィーではないか。まともに使えそうなものは白の無地の靴下くらいであった。


これが俺の三年間分の誕生日プレゼントだと‥‥‥。俺は震えていた、その事実に。そして一番は妹のファッションセンスに‥‥‥。


そう、麗奈のメンズのファッションのセンスは壊滅的であったのだ。


「あぁ、助かったよ。今回は着ないけど‥‥‥」


「そんな遠慮しないでよー」


「大事に取っておくよ。その時が来るまで‥‥‥」


その時が来ることはないから安心してくれ。よし、お前ら申し訳ないけどタンスの奥底に眠っていてくれ。


「その服なら杏葉さんもいちころだよ!」


確かにな、別の意味でいちころだな。


「じゃ、明日は頑張ってね~。おやすみ!」


「あぁ、おやすみ‥‥‥」


誕生日詐欺なんて聞いたことなかったな。それにしても麗奈の男の趣味が不安になってきたな。やっぱり、お兄ちゃんが守ってやんないといけないってことか。うん、きっとそうだ。


「やっぱり、シンプルが一番だな」


改めて、シンプルが一番ということを教えてくれた、麗奈には感謝だな。それはそれとして今までの誕生日プレゼント分、請求しようかな‥‥‥。


結局、シンプルなワイドパンツにTシャツにしておいた。一応、使えそうな白の靴下は履くことにした。

【まずは、この作品を読んで頂きありがとうございます!】


 「面白かった!」


 「続きを読みたい!」


 「この後どうなるのっ‥‥‥?」


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