最終話
「――誰だ。コレやったの。」
妙に顔がこわばってる水原。砂雪もここまで怒ってる水原は初めて見た。
その形相に、誰も答えようとしない。
「誰がやったって聞いてんだよ!!」
机をバンッ!と叩く。
砂雪はいい加減ヤバいと思い、
「水原!大丈夫だからもうやめて!!」
そう叫んだ。
砂雪の目にはなぜか涙があった。
その涙は、いじめられた悲しさや寂しさなんかではなかった。
水原に心配されてる、守られてる嬉しさの涙だった。
(何で水原に守られてることが、こんなにも嬉しいの?
何で水原の側にいるとこんなにも感情の左右が激しいの?
近くにいると、心がフワフワして、でも水原が怒ってる時は、すごく悲しい…。何で?もしかして…)
砂雪はやっとこの気持に少し気づいたのだ。
(これが『好き』って気持ちなの?)
初恋…。
恋をしたことのない砂雪には分からなかった。
――わからない。
わからない。
恋ヲシタコトノナイ私ニハワカラナイ…
キーンコーンカーンコーン♪
チャイムが鳴り、皆渋々席につく。
本を読んでいると、途中でメモがはさんであった。
「九月二十一日 今日、放課後屋上で待ってる。水原」
放課後、砂雪は屋上へ行くとメモどおり水原が待っていた。
「あ、あのさぁ、私の話したいこと先に話していい?」
「うん。」
砂雪は妙に緊張していた。
「なんで私を守ったの?」
水原はビックリしていた。
「いや、それについて話そうと…」
少し照れくさそうだった。
「次はああいう事されたら真っ先に俺に言えよ。」
「え…?」
「俺…お前を守りたいから。俺、お前のこと――」
次の言葉が砂雪の心に大きく鳴り響いた。
「――好きだからっ!」
砂雪は、一瞬迷ったが、
「私…、わかんないけど水原のこと好きかもしれないの。
何か一緒にいるとフワフワして楽しいし、会えない日は憂鬱になるの。
だから多分水原のこと好きなんだと思う。」
「えっ、じゃぁ…。」
「水原」
砂雪は微笑んだ。そして、精一杯の想いを込めて――
「私と付き合って下さい。」
すると水原はとびきりの笑顔を見せた。
――1ヶ月後…
「砂雪ィ、悪ィ、遅れた。待ったか?」
「ううん。私も今来たとこだよ♪祐一。」
(祐一。私は貴方を好きだと言う友達を失った。けれど貴方を得た。
貴方は私にとって、何よりも大事な存在。だから私は貴方を失いたくない。
ねぇ、私は貴方に一生の愛を誓うよ…?)
【完】
ついに完結しました。
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