第五話
――さぁ、水原と生田の対戦。
砂雪は水原が面をかぶる直前に言った。
「水原ー!!負けんじゃねーぞ!頑張れよ!!!」
すると水原は、少し笑い、
「オイオイ、女言葉はどうした??」
と言って、面をかぶった。
試合が始まる。
砂雪は精一杯応援した。
しかし…、水原が面を打とうとしたとき、
生田がよけた瞬間、足をかけて水原を転ばせた。
しかし、審判は気づいていなかった。
「――ッツ!」
水原は足をひねってしまったらしく、小手をはずし足を痛そうに押さえてる。
砂雪は水原の所に駆け寄った。
審判は
「水原。負傷により、生田の勝ち。」
見ると、生田は見下した目でこちらを見ていた。
そして砂雪に近づき、 耳打ちをした。
「お前コイツの彼女か?コイツに言っとけ。真剣勝負なんて言葉ねぇんだよ。
ズルしねぇと世の中渡っていけねぇんだよ。ってな」
と――。
砂雪は思わず大声を出して怒るとこだった。
しかし、騒いだところで、言い訳されたら何もならない。
だから睨みつけた。するとニヤっとされた。
砂雪はかなりイライラしていたが、とりあえず水原を保健室まで連れて行った。
*
――保健室。
先生が出張でいなかった。
「もういいよ。俺一人でやるから。…悪いな。勝てなくて。」
「ううん。私がやるよ。それと…水原は悪くないよ…。
悪いのは生田、足を駆けたの気づいたでしょ?」
このとき砂雪は、はじめて水原を守りたいと思った――。