みかんの想い
挿し絵追加、文章変更。2023/11/23
「そんな顔しないで、さあ~どうぞ♪」
どうやら、顔に出ていたようだ。
「うわっ」
「どう?」
どうと言われても広すぎる。
前の部屋も高級マンションだったけど、
この部屋は何処からつっこみをいれるべきかすら、もうわからない。
「みかん、実はお嬢様だったりするの?」
「アハハ!私がお嬢様?ブッブー!ハズレ♪
私は脳内ネットワークを駆使して、
転売や、FXをホニョホニョして常にお金稼ぎをしてるのです!」
「さては…違法な事を?」
「それは多分大丈夫♪」
「じゃあ、なんでコンビニでバイトをしてたんだ?」
「脳内ネットワークで生身の人間に戻る方法を検索しながら、
コンビニで人間観察してたんだ~」
あまりの真実に声が出ない。
「なんだか暗い雰囲気になりそうな話だから
言い出しにくくて、ごめんね~?」
「そうだったんだ
俺、わかったようで何もわかってなかった」
みかんは毎日、どんな気持ちで人間観察をしていたのだろう。
「そう言えば、冒険者には依頼しないの?」
「依頼は一応出してるよ?
けど、年々冒険者は減るし依頼を受けてくれた人は今まで居なかった
似たような案件をネットで見た事はあるんだけど、
未だ解決した事はないんだ~」
「少し気になってたんだけど、
事故でその身体になったなら、その身体にしたのは病院?」
「そう 病院だよ?
でも病院じゃ、もう私のことを診察してくれないの」
みかんは目に涙を浮かべているが、涙を流すのを必死で堪えているようだ。
「病院に行けば、私はアンドロイド扱い
修理は電気屋さんに行かなきゃね?」
「そんな酷い事あるか!!」
優は思わず声を荒げる。
「これも、この世界の常識の一つなんだよ
こう言う話は人権侵害としてタブー扱いなの」
優は何も言わず、そっと抱きしめた。
いつか俺が!なんとかするんだ!!
心の中で改めて決意するのであった。
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気づけば夜になっていた。
さっきの事がまるでなかったかのように、みかんは笑顔に戻っていた。
「さぁ、部屋の紹介だよ」
「え?家の中に噴水が!?」
「次はお風呂」
「うわー!露天風呂!五右衛門!?」
「窓の景色や、壁紙はスマートウォッチで
こーやってフォログラムを変えられるんだよ」
「さすが、パラレルワールドの科学力!」
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みかんと楽しく過ごすうちに、その日はいつの間にか朝になっていた。