この世界にもスマートウォッチがあるらしい
言われるがまま、父親の部屋らしき所へやってきた。
「結婚するのか?」
「は!?」
「今日は、なんだか変だぞ?
ここに住んでると言うのに、なんかよそよそしいし、
べっぴんさん連れて来て、今時のアンドロイドちゃん?って感じだし
昨日も、仕事探してくるって言ったきり帰ってこないし
彼女なんだろ?」
みかんをアンドロイド扱いされ、優は何故か頭に血が上った。
「アンドロイドちゃんって、みかんは人間だよ!
事故で身体が少し変わっただけで、中身は普通の女の子だから!」
「アンドロイドじゃないのか?
それは悪かった。
じゃあ、男としてちゃんと責任を取りなさい!」
もし彼女だったとしても、無職の優に
父は何の責任を取れと言うのだ?
「みかんと俺は付き合ってない!勘違いだ」
「勘違い!?」
「そういう時は、連れてくる前に話す事にするよ
あと、みかんは俺の命の恩人だからね!」
気づけば頭に血が昇った勢いで、優は自らを俺と呼んでいた。
「じゃあ、俺はみかんの所行くから」
優は颯爽とその場から立ち去った。
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みかんと母を見つけた。
「いつからうちの優と?」
「昨日からです」
「優の何処が良かった?無職だし‥
息子ながらに顔だけは良いと思うんだけどね?」
「はい、顔立ちは良いと思いますが…」
デジャブか!?
さっきも父親と同じような会話をしたような‥
「みかんさんはどんなお仕事を?」
「すぐ近くの○○ってコンビニで働いています」
「あらまぁ!私もよく行くのよ〜」
みかんが優に気づき、目で訴えている。
《 早く助けろ!!! 》
ガラガラッ、、、
「あら、優。父さんはもういいの?」
「あぁ
なんか、俺とみかんが付き合ってると誤解してるようだった」
「え?違うの?」
「違います!」
「違います…」
またもや声が揃った。
「私もてっきり…ごめんなさいね!」
母は照れているようだ。
「アハハ!実は優くんが迷子になっていたんです」
「うちの息子が迷子!?」
確かに事実だが…
心なしかみかんがニヤニヤしている。
「あぁ、昨日道に迷ったんだ」
「みかんさんが家まで連れてきてくれたの?」
「はい♪」
「ありがとう。息子が迷惑をかけたわね
つい誤解しちゃったわ~」
「いえいえ、優くんとは良いお友達になれましたから!」
「あら、そうなの?
優可愛いお友達ができて良かったわね
みかんさん、散らかってるけどゆっくりしていってね」
「お言葉に甘えさせていただきます」
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母が優の部屋に案内してくれた。
パタンッ…
「ここが私の部屋かぁ」
そもそも元の世界と違って、一人暮らしじゃないんだなぁ。
「男の子の部屋って、はじめてきた!
男の子の部屋と言えば? やっぱアレでしょ♪アハハ」
みかんが何かを探している。
あっ!まさか!!
「エロ本?」
「あったりー!」
「えっ?私がそんな?まさか!」
何故か一緒に探す事にした。
「あっ‥た」
クローゼットの中から、それっぽい物を見つけてしまった。
「早く見せて~!」
「うん」
自分の部屋かと思うと複雑な気分だ。
典型的な、水着を着たアイドルのような人が写っている。
「今時、本を買ってる人が居るなんてね〜
せめて、ネットで見ればいいのに」
「私もそう思う。ってか、こんなの買ってたんだ私は…」
自分でも、ガッカリだ。
コンコンッ!
「誰かきた!」
「私が隠しとく」
「はーい今行く!」
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バタンッ!
優は急いで部屋から出た。
「さっきは悪かったな」
「わかってくれたなら、もういいよ」
…みかん。エロ本早く隠してくれ!と、心の中で願う。
「ところでな?‥ゴホンッ!
優は、今ちゃんと仕事を探してるんだよなぁ?」
「あぁ、早く見つけようと思ってる」
「なら、父さんが良い物を買ってやろう」
「良い物?」
「今時、仕事を探すなら必ず必要だそうだ
優の部屋にある雑誌も必要なくなるぞ!」
「雑誌?」
「俺たちは、親子といえど男同士だ」
父はドヤ顔をしている。
「勝手に見たな?」
「すまん
でも、かあさんには内緒だ。見つかると怖いからな〜」
「呼んだぁ〜?」
「いや!なんでもない!」
まさに地獄耳である。
「優もきをつけろ?」
「わかった…」
ため息が出る。
血は争えないようだ。
「で、本題だ!
今日は良い物を買いに連れていってやろう
さっき母さんの許可も貰ったぞ」
「良い物って何?勿体ぶらずに教えてよ」
「その名もスマートウォッチ!」
あれ?元の世界でも聞いたことがあるぞ?
そう言えば、みかんがスマホに似た物があるって言ってたな〜
「ほんと?」
「あぁ。本当だ!父さんと母さんからのお詫びも兼ねている
好きな物を選びなさい」
さっきの“アレ“のお詫びね?
「なら、みかんにも何か奢ってよ」
「勿論だ!
みかんさんには何か美味しい物でもご馳走しよう
さっき母さんにお小遣いを貰った」
父は母のケツに敷かれているのだろう。
コンコンッ!
「みかんー!」
バタンッ
「はい!」
‥まだ、エロ本見てたな?
「父さんがご飯何でも奢ってくれるって」
「ありがとうございます!」
こうして3人で出かける事になった。