パラレル両親が居た
「この先どうしよう」
優はこれからの事を考えていた。
「まず仕事を見つけないと」
そういえば、元の世界のお父さんお母さんは元気かなぁ?
元の世界では別々に住んでいたから、今まで何とも思わなかったけど、
いざパラレルワールドに来てみるとすごく気になる。
「元の私は元気にやってるのかなぁ」
私の意識が世界線を移動しても、元の私は多分生きている。
これではまるで、アニメでよくみる異世界転生だ。
「いつまでもみかんに甘える訳にもいかないし、
今後住むところも考えないと…」
やる事は山積みだ。
みかんが戻ってきた。
「おかえりー」
「何ブツブツ言ってるの?」
また独り言を聞かれた。
「この先どうしようと思ってね!
みかんは寝なくても大丈夫なの?」
「私は見ての通りこんな身体だから大丈夫!
たまに、OS更新の為に眠ったり、目をつぶってテレビを見たりするけとね!」
「まるで夢を見てるみたいな感じ?」
「そう!見たい夢を選べる感じかな?
優は何悩んでんのさー?」
「この世界の私の親って何処に住んでるのかなぁ。とか」
「それなら、私が今ネットで調べてみようか?」
「本当に?」
「まかせて!わかる範囲で優や家族の事を教えて」
優は思わず前のめりになる。
「私の名前は、木之本優
家族は父と母のみで、両親共に和歌山に住んでるはず
父の名前は木之本健太
母の名前は木之元紅葉」
「あっ。見つけた!
2人ともこの近くに住んでるみたい」
「ほんと?」
「アハハ!ほんとだよ〜。朝になったら行ってみる?」
「いいの?」
「もちろん!バイトも休みだし、丁度暇だったんだ~」
「ありがとう!」
「あ!でも一個だけ注意して?」
「なに?」
「ここでの優は男の子!
どんな生活をしてきたかわからないから、
とりあえず周りにあわせた方がいいよ!」
「なるほど、ありがとう」
「じゃー朝までに、この世界の事いっぱいお話ししとこっか!」
「みかん先生〜!ありがとう」
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みかんの話でわかった事はたくさんあるが、主に耳を疑ったのはこの3つ!
1 )魔法が存在する事
生身の人間なら誰でも使えるらしい
2 )スマホが存在しない事
よく似たモノはあるらしい
3 )仕事は魔法さえ使えれば、見つけるのが難しくない事
特に冒険者は危険だが面接もないらしい
いよいよアニメっぽくなってきた。
優は少しワクワクしていた。
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RiRiRiRiRiRiRiRiRiRiRiRi!
あれ?目覚まし時計の音?
気づけばまた眠ってしまっていた。
「よし!朝になったよ〜
優、はやくお父さんとお母さんの所へ行ってみよう!」
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「ついたよ~!」
「えっ?ここ?」
「アハハッ、ここみたいだね
今時珍しい古民家って感じ!見るの初めて〜」
「ここに、この身体の親が居るの?ドキドキする」
トントンッ!
優がノックすると…
ドスドスドス…ガラッ!!!
「おまえ!昨日帰っても来ないで何しとんねん!」
男の人が急に出てきて大声で怒鳴ってきた。
「すみません」
この人が父親?
後ろからひょこっと女性も出て来た。
「あら、可愛い女の子連れてきたのね」
「はじめまして」
「まず、あがって下さい。優もはやく家に入りなさい」
この人が母親?
「お邪魔します」
「お邪魔します」
優とみかんの声が揃った。
父親らしき人が不思議そうにみている。
「優、ちょっとこっちおいで」
「はい」