私が救世主?
「お客さん…悪いけど、
うちは冒険者専用のグッズしか取り扱ってないのよぉ
そこらへんの農具兼用品とは訳が違うから危ないわよ」
「俺は冒険者の装備を探しに来たんだけど」
「あら、他県の人かい?
和歌山には冒険者が居ないから、
引退した人たちの装備を買い取ってネット販売もしてるわよ~
新品から中古品まで色々あるから、何でも聞いてちょうだい」
カウンターからでてきたお兄さんは、距離が異常に近い。
「ありがとう」
「買いに来てくれるお客さんは滅多に来ないの、嬉しいわぁ~」
ふぅ~
「ぎゃっ!」
今、明らかに耳に息をかけなかったか?
「そんな声出して、どうしたの?」
「いえ…そういえば、俺は他県の人じゃなくて
和歌山の冒険者にさっきなったばかりなんです」
それで、装備品を探しに来ました」
優は今日あった事を説明した。
「何!?
和歌山でギルドが再開したぁ!?
すぐ調べてみるわ
…ちょっとぉ~
一面のニュースになってるじゃないのよぉ!
優くんって言うの? あ・り・が・と・う」
チュッ
ほ、ほっぺにキスされた!!!
「何故俺の名前が?」
「ほら」
お兄さんが見せてくれたスマートウォッチには
しっかり、名前と顔写真が浮かび上がった。
見出しはこうだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
“和歌山ギルドに救世主現る!“
キルド活動再開の立役者
木之本 優
後日、取材予定!果たして応じるのか?
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「……取材!?」
魔法やレベルじゃないから、顔は勝手に公開されるって事?
ギルの仕業か?
実際のところ、みかんのお陰だろ?
優はもう訳がわからない。
「まぁ、いいじゃないのよぉ~
それより救世主さん! 私からもサービス♪
今日は商品全品半額~ これで店舗にも活気が戻るってもんよ!」
優はやけになり、さっきのネックレスと、装備用の服、靴、鞄、怪しい薬など、、、
気になる物は全て購入した!
「いい買いっぷりだわぁ 優くん♪
サービスで、購入してくれた物は私の魔法でちょちょいと...」
買ったばかりの物が瞬時に装備された。
魔法を見るのは初めてかもしれない。
「うふふ♪
更に、私のとっておきの魔法で髪型も私好みに染めとくわねぇ〜!」
頭に違和感を感じる。
「髪型を勝手に変えたの!?」
「そうよ♪仕上がりは後の、お・た・の・し・み♪
もし気に入らなければ、また来てちょうだい」
優の全財産はすっからかんだ。
「疲れた~帰ろう」
チュッ
キス魔お兄さんまたキスしやがった!
「君おもしろいね」
疲れすぎて幻聴が聞こえた?
優はやっとの想いで家路についた。