1本の木の下で
洋室についた
「先生、お待たせしました。何を手伝えばいいでしょうか」
「パオくーんこっちこっち。奥の給湯室にきて」
給湯室へ向かう
八木先生が1本指を口に当て、静かにこっちにこいと手招きをする。
給湯室の窓の方へ誘われ、外を見るように指示される。
そこの窓からは校舎裏が見え、人気のなく暗い道に1本の木が立っていた
気づけば先生は私の耳元に近づいており、そっと囁く
「木の下をよーく見てごらん」
!!!
そこでは女生徒と女生徒が唇を重ねていた。
目の前に広がっている光景を理解出来ずにただ立ち尽くしていた。
「ほら見て、あんなに一生懸命にキスしてる。エッチだねぇエッチだよねぇ。もう10分はああやってるのよ♡」
「せ、先生は止めなくていいのですか?こ、これは正常な関係では。。」
「え?なんで?女の子と女の子が恋をしたらダメなの?私はいいと思うけどなぁ。ほらあの子、相手の首をペロペロ舐めてるわ、あんなに一生懸命に」
「あああ最高っゾクゾクするわ。先生まで興奮してきちゃう」
「すみません!!私には理解しかねます!失礼します!」
声が裏返った。足が勝手に後ずさる。
「いいこと教えてあげる。」
??あの優しい声のままだった。なのに、背筋が凍る。
「お茶会部の部員は総勢12名。あなたを入れてね。部員全員が誰かとあんな風に恋をし合ってるの。」
!! 理解が追いつかない。いや、理解したくなかった。
何を言っている。そんなの、聞いたこともない。
「私はそんな恋をする子たちをまとめて見守ってるの♡あんなに美しい光景が毎日毎日、学校のどこかで行われてるの」
声は甘やかで楽しげだった。なのに、どこか狂っている。
「ただし、ここからが本題。」
「私はその中で最高に気に入った子を。食べてめちゃくちゃにするの。その恋人の前でね。」
時間が止まった気がした。吐き気が込み上げてくる。
この人は何を言っているんだ?!いつもの八木先生ではない。それに言ってることもめちゃくちゃだ。
ただ八木先生からはとてつもないモヤが掛かっている。
色はオレンジ。オレンジ色のモヤが広がって圧力すら感じている。それは外で密着し合う2人に向かって流れていた。
「絶対許せない。私を置いてあんなに愛し合うなんて。めちゃくちゃにしてやる。めちゃくちゃにしてやるわ。」
言葉が出ない・・・・
「あなたの家にコースターが届いたわよね。あれは1つのラブレターみたいなもの。私をあのデザインの様にして欲しいって言う懇願なのよ。」
頭が真っ白になる。あれを、欲望で? 自分が手にしたものが、誰かの狂気の告白だったと知った。
「そう、あなたのパートナーを教えてあげようか?」