コースター交換
そうして俺はお茶会部に入った。
誰が誰に。
何が原因で。一切分からない。
ただひとつ分かることは
この洋室で過ごす人間に強烈な殺意をもった者がいるということだ。
_時は戻って今_
「早く行きなさいよ。」
「はい。申し訳ありません」
豹塚部長は明らかな二面生を感じる。
普段は、クラス、いや学校中で注目の的になっており
声も2トーンぐらい高くてなよっとしている。
不思議なのは男女共に同じ量の人気があるところである。
私のクラスではファンクラブがつくられており、それは女子がつくったようだ。
「パ、パオくん、大丈夫?」
「月兎さん。」
彼女は私と同じクラスの「月兎ルイ」さん。
いつも大人しく、お茶会部でもあまり人と喋っているのを見たことがない。
「コースター大丈夫?壊れてない?」
「問題ありません。ガネーシャがこれしきの衝撃で壊れることはないです。」
「そうなんだ。そういえば話すの初めてだよね。お茶会部楽しい?」
「無論です。勉学に疲れた後にきなこ棒をほおばり、ほうじ茶で流し込む快感たるや。。フフゥ」
。。。
「大丈夫?と、とにかく楽しく過ごしてみてるみたいで良かった。お茶してる時落ち着くよね。私も好き」
「あ、ああそうですね。月兎さんはなぜお茶会部に?」
「えっ?私は。。。その。。。」
月兎さんは黙り込んで洋室の奥を眺める。
どこか赤らんだ顔で視線を送る先に、先程私に罵詈雑言を浴びせた豹塚先輩が座っていた。
「月兎さん?」
「え。。あっ!ごめんね!私もお茶飲んで落ち着くのが好きで、友だちに誘われて入部したんだ。その、今まで話しかけなくてごめんね。なかなかそんなタイミングなくて」
「ふむ。どうやら私はお茶会部のみなさんに歓迎されていないようですので。その空気は1年間ビシバシと感じておりました。その中で月兎さんだけが話しかけると何かと都合がわるいでしょう。」
「いや!そういうわけじゃないんだけど。。その。。」
「ルイ!!」
突然、豹塚先輩が大声で呼びつけた。やっぱり2トーン低い。
「後でいつものところきなさい。」
「は、はい。」
いつもの所?下校の時に待ち合わせているのか?
まぁ、初めて部員の方に声をかけていただいてどこか暖まる気持ちになった
「ありがとうございます。」
「いや、お礼だなんてそんな。これからもよろしくね。」
「はーい!!それじゃあコースター交換して行くわよー。もう一度前に回収してからランダムに配っていくから、それで美味しいお茶飲みましょ♡」
ふむ、私のガネーシャは誰の手に渡るのだろう。
できれば豹塚先輩の手には渡って欲しくない。叩き割られそうだ。もしそうなっても耐えるんだガネーシャ。きっと良さは分かってもらえる。
「はーいパオくん。」
コースターを受け取る。
むむっ?!
これは、動物か。。?
それどころじゃない、これを作った人はだれだ?!なにをモチーフに。。
それは、兎が縄で吊るされた絵柄だった。