お茶会部
部活動が始まった。
なんとなーく談笑が始まり、なんとなーく時間が過ぎていく。いつもの日常だ。あぁほうじ茶が美味しい。1駅先のスーパーで買ったやつが正解だったな。フフゥ
「みなさーん、今日は事前に予告してたようにイベントを行いまぁす」
「先生、そのイベント長くなります?私予定があるんで時間になったら帰りますよ」
「大丈夫よ豹塚ちゃん。そんなに時間かかるものじゃないわ。美術の授業の時にコースター作ったわよね?それを発表してプレゼント交換してもらいます」
ふむ。確かに美術の時間に手縫いで作ったな。たしか私は、祖父の部屋の壁に飾ってある、インドの神様ガネーシャをつくったんだった。
あれは大変だった。50色ぐらいあったので先生に別注してもらって居残りつづけて出来上がった大作だからな。
「はい、じゃあ自分のコースターをとって席に着いてくださーい」
私は自分のコースターを取りに向かった。
その時、誰かの手とぶつかりお互いのコースターが床に落ちてしまった。
「おっと、すまない」
よく見てみると私のガネーシャはその女性に踏みつけられていた。
「豹塚先輩。」
「キモちわる。なにそれ、そんなの受け取った子マジで可哀
想。あんたなんでこの部にいるの?ウザイんだけど、さったさと辞めてくんない。空気悪くなるから。」
彼女は私のことが嫌いだ。
それは言動、態度でわかるがそれだけじゃない。
私は人の強い感情が色で見えるのだ。
【幸福の感情は黄色】
【怯えた感情は青色】
【怒りを持った感情は赤色】
【ピンク色もあるがそれはよく分かっていない】
豹塚部長から出ている色は、当然【赤】である。
しかし、大きな問題がある。
その色は1人を指すものではなく煙のようなモヤが広くかかる感じで視える。そこから矢印で対象に線で伸びていく。
だから豹塚部長だっ!!と断言できないし
私に怒ってるんだ!!とも断言できない。
つまりカッコよく私の異端な能力の説明をしたがひどく曖昧なので、結局は本人の態度や言動で判断するしかない。
ここで、私がこのお茶会部に入った理由を説明しよう。
入学した日、席に座ってチラッと隣の校舎を観た時、今私が居る洋室が見える。
その時、私は戦慄した。
洋室全体が黒いモヤで覆われていた。
そのとき祖父との最後の会話を思い出した。
「いいかパオ。その能力は便利にも感じるが、お前自身が辛く感じる事もあるだろう。大事なのは使い方じゃ。人は人の感情を理解することはできん。しかし、お前は視る事が出来る。」
「もう1つ、特に強烈な感情はその場に人が居なくてもモヤで残ることがある。楽しいパーティなどをした後は黄色のモヤで満たされるじゃろうて。しかし忘れるな。感情は尖る、どこまでもな。良い方にも悪い方にも。その場面に遭遇したら。パオ、お前が守れ。それが象牙家 代々受け継がれてきた使命じゃ。儂は孫のお前が見えるのを知って安心したぞ。じゃあな。約束じゃぞ」
そう言って祖父は天国へ送られた。
わかっているともおじいちゃん。視えるよ。ハッキリと視える。俺が止めるんだ。何があっても。約束だから。。
黒色の感情。
強烈な殺意である