象牙は高く売れる象
「豹塚 クラリ」部長は、学校内でとてつもなく人気があり(ほぼ男子)高嶺の花として不動の地位を確立している。
男子たちはいつも彼女に目を奪われている。ため息まじりに名前を呼ぶ声もよく聞く。
だが、私は部長を尊敬はしているが美しいなどと思ったことは1度もない。
理由は自分でもわからない。ただ、そう感じないのだ。
ーーそういえば、父親が私に昔言ってた格言がある
「いいかパオ、能ある鷹は爪を隠すって言葉があるぐらい、女性は別の顔をもってるんだ。そこん事気をつけろよ。」
意味がわかるようでわからない。けど、父の言葉はなぜか頭に残る。
よくわからん。どういう意味だ?
鷹じゃないし。豹だし。
たぶん、動物が違うとかそういう話ではないのだろう。
親父は酒浸りで賭け事ばかりする象だった。見習う点は一つもないが、言葉に一貫性があり周りくどくない。
嫌いなはずなのに、記憶に残っている。だから母も未だに支えているのだろう。
先程も言ったが私はお茶会部に所属している。
お茶会部とは、洋室に長机が置かれ、部員が思い思いの菓子を用意し談笑する部である。
誰が決めたルールでもない。けれど、そういう雰囲気のある部活だ。
私がお茶会部に入った理由は。。。それはまた次の機会に。
お茶会部入って1年経ったが、私は未だに誰ともお話をしたことがない。部活動が始まって終わるまで、持ち込んだほうじ茶ときなこ棒をモシャモシャして過ごしている。
話しかける理由も、話しかけられる理由もなかった。ただ静かに座っている。
ーーー16:00 部室に向かう
「あらパオちゃん。いつも時間ピッタリね。今日もきなこ棒なのかしら?」
顧問の「八木 メイ」先生だ。お茶会部で唯一、私に話しかけてくれる存在。
女性口調だが、男性であり外見も女性物を召している。
私から見ても違和感はなく。男女から人気のある先生だ。
「無論です。私は卒業するまできなこ棒以外を食べる気はありません」
「その気持ちはきなこ棒ちゃんも喜ぶと思うけど、お茶会部はお菓子を共有してお話に花を咲かせることも大事なのよ♡」
先生の言葉にはトゲがない。でも核心はついてくる。
「ふむ。。。しかし、こいつの良さを伝え切れるかどうか。。生半可な気持ちで食べて欲しくないので。その覚悟が部員にあるのならシェアしますがきなこ本来の味を更に究極のレベルにまで押上げ、食感に着目しv2ratvj」
「うん。うん!わかったから1回落ち着いて。シェアってよりプレゼンになっちゃってるわね。まぁ、その純粋さもパオちゃんの良さだものね。」
笑われたわけじゃないのに、少し恥ずかしかった。でも嫌な感じはしなかった。
「さ、中に入って準備手伝ってちょうだい。」
今日は――特別なイベントの日だから。