初めまして。パオと申します。
「お前さぁ、せめて寝グセぐらい直してこいよ。清潔感カケラないし、女子から笑われてるぜ?」
まただ。教室に入るなり「犬飼なくる」の声が飛んでくる。
小学校からの付き合いだけど、失礼なことしか言わない。
ほんと、うるさいやつだ。
「関係ない。私にとって必要なのは世間からの評価では無い。揺るぎない意志だ。」
私は見た目より中身を重視してる。それだけだ。
でも、なくるはそういうのを理解しない。理解できない。
「うーん、よくわかんねぇなぁ。めちゃくちゃ頭良かったり、才能に長けたやつが言うんならわかるけど。パオは何も取り柄ないじゃん?よくそのキャラ貫けるよな。」
・・・また好き勝手に言ってくる。
こいつの言葉はいつも軽い。
だけどなぜか女子にはモテる。
正直、腹が立つ。
私の名前は「象牙 鼻高」
でも、なぜかみんな「パオ」と呼ぶ。
気に入ってはいないが、もう慣れた。
「なぁ?聞いてるパオ?お前今日も部活いくの?」
「無論だ」
私は今日もお茶会部に行く。
男性がお茶会に?と思われるかもしれないが、理由はまたのちほど
「じゃあさ!!部長の豹塚先輩オレに紹介してくれよ!!前から気になっててさぁー。めちゃくちゃ人気だしキレイじゃん?お茶会部の男子部員お前だけだし、きっかけないんだよ。頼むっ!」
自分じゃ話しかけられないから、私を利用したいらしい。
でも――
「ふむ。。」
「なくるの気持ちはわかったが、残念なお知らせがある。」
「んん?」
「部長とは話したこともないし、なんなら目もあった事ない。一昨日の部活終わりに、私が部長の茶器を下げようとしたら結構強めに断られた。だから私が紹介するなど無理だろう。」
「そうだな。なんかごめん」
これが現実だ。
それ以上でも以下でもない。
ということで作品「ミエナイトコロデ」のはじまりです。
作者は才能などなく、とにかく勢いで書いてるので暖かい目で見てやってもらえれば幸いです。