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言葉を重ねるしかないんだ(一日一詩(あくまで目標)

ぐるぐるすます

クリスマスの残り滓を食べている12月25日に

フェルトのハンバーグが欲しかったんだよ

ジングルベルも聞こえない箱の中

箱の中


耳鳴りは今日も蝉の声のまま夏が井戸の底

誰が時計を回しているのか

誰が時計を回しているのか

かちりかちりとあの死者のカウントアップも


数字が進むのが大好きだね

みんな撒かれた豆の数を数えなきゃいけないもののけみたいに

あれは脳に響くようになっている

それだから、ねえ、壊れているの、楽しいねえ、楽しいねえ


耳鳴りは今日も夏の声のまま蝉が井戸の底

時計が誰を回しているのか

時計は何を回しているのか

かちりかちりと終末時計が、まるで、楽しいねえ、楽しいねえ


見捨てられている

だから天使が来てくれる

壁の模様だけがひどく饒舌な箱の中

箱の中


ベツレヘムの星が降り注いでバケツいっぱいのミルクの銀河

凍った蝋燭にいつまでも消えないトナカイ殺しの火

ヒイラギの赤い実を啄んで鳩は砂になるよ

爪先立ちの雪で火傷をしながら裸足で踊らされている


サンタクロースはただぬくもりを求めた少女を抱き締めて逮捕されたよ

あたたかさを誰もあげられなくなったから、そう、あの数字がまた跳ね上がる

切り離してくれ、はやく見捨ててくれ、僕は天使を待っているんだ

画面に表示される数字でしかなにも知ることのないこの箱の中


まるでプレゼントボックスなんじゃあないかって

ふと思ったんだ誰かに捧げられるためだけの箱の中

もうそれでいいよはやくあけて、はやくあけて、はやくあけて

はやくあけて、それで、


ひと目見てがっかりして捨ててくれればそれでいいだけなんだから

進む数字は煮込まれてスープになっているだろう

もしかしたらもうどこにも誰もいないのかもしれないんだって

小さな画面に死体は表示されないだろう


引き千切れそうになっているのは自分もただの数字の1に過ぎないからだ

それでいて丸められるだけの1でいることを許されないからだ

おしゃべりな壁の模様も人を殺す雪も耳鳴りの中の蝉もたぶんゼロなんだ

そんな一対多の指を差し伸べられる神様は偉いね


祈る言葉より繁殖行為をしなければ人類は滅びるだろう

そうしてランク付けでもすれば満足もするだろう

後付けの愛が追いかけっこをしてなにかの数字を回す

そんなものに振り回されてぐるぐるしては仕方がないから耳を澄ます


ああ、耳鳴りしか聞こえない

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