4話
シャルルとの会話は僕は大抵聞き手になり、シャルルの事や愚痴などを聞いている。メイさんはあまり、喋らない。
「そういえば、シャルル、今日はいつまでこっちにいられるの?」
「今日は、この街に泊まる許可をお父様から頂いているので、夕方くらいまでなら大丈夫です!!」
「そうか。なら、もう少しゆっくり出来るな。」
「はい!!」
シャルルと談話を続ける。
シャルルは、僕の家、子爵家より爵位の高い、公爵家のご令嬢だ。シャルルの父上が僕の父上と王都の学校で仲良くしていた関係でしかも、領地も比較的近いこともあり、良くシャルルは遊びに来ていた。最初に言っていた、幼馴染みとは、紛れもなくシャルルの事だ。
「それで、どこまで話しましたっけ…」
コンッコンッ
突然、ドアがノックさせる。
何も言ってこないと言うことは、たぶん、ユーベル様だろう。
「開いてますので、どうぞ。」
「失礼しますね。」
入室許可を出すと、入ってきたのは、やはりユーベル様だった。
「どうかされましたか、ユーベル様?」
早速、用件を尋ねる。
「イディオちゃんが、こっちに来ていないかと思って。」
「イディオ? イディオなら、魔法書を読むと言っていましたので、自分の部屋では?」
「当然、部屋を見た後に、屋敷を探させたのだけど、どこにもいないので、もしかしてここかと…」
「そうですか。でも、僕たちは、部屋の前でイディオと別れた後からは、会っていないですね。」
「そうですか…」
すると、再びノック音がする。
「お…奥様大変です。」
「どうぞ。」
ユーベル様が入室許可を出す。一応、ここは僕の部屋なのだけど…
次に入ってきたのは、ユーベル様側仕えのメイドだった。
「イディオ様のお部屋をお調べしてたら、机の上にこれが…」
ユーベル様は、メイドから紙を受けとる。それを読んだユーベル様は、紙を落とす。紙は僕の足元まで舞ってきた。
僕はそれを拾い、シャルルと一緒に読んでみる。
魔法の練習をするため、近くの森に行ってきます。
そんなに、遅くならないように帰ってきますので、心配しないで下さい。 イディオ
僕たちは、息を飲んだ。
近くの森と言うと、たぶんあそこの事だ。
「すぐに、調査隊を派遣しなさい。」
「はい、かしこまりました。」
ユーベル様は、落ち着いた口調で、指示を出す。
僕も、イディオの事が心配だ。
「ユーベル様。僕も調査隊に加わっても宜しいでしょうか。」
一瞬、ユーベル様の口角が上がったように見えた。
「そう。ぜひ、お願いするわ。なら、ディーオさんには、調査隊より先に、森の方へむかって情報収集をして貰えるかしら。」
「分かりました。そう言う事だから、シャルル悪いけど待ってて貰える。」
「わ…分かりました… 気を付けて下さい、ディーオ様…」
「あぁ、それじゃあ行ってくる。」
僕は自分で少し前に購入した、皮鎧と剣を持ち、一足先に森へむかう。