1話
僕は、子爵家の第2夫人の子供として生をうけた。
もともと体の弱かった母上は、僕が生まれたと同時に亡くなってしまったそうだ。そのせいで、僕は母上の愛を知らずに育った。
だけど、僕は不貞腐れる事なく、逆に母上への恩に対する為に、勉強や剣術など様々な事を精一杯頑張って生きてきた。それが、唯一の母上への親孝行と信じて…
そのおかげで、僕は神童などと言われていた。
僕の家族は、父上、第1夫人のユーベル様、そして、第1夫人のユーベル様の実子で僕と同じ歳の弟がいる。僕たちは偶然にも、同じ日に生まれた。僕の方が少し早かったのようで、僕が兄となった。だけど、弟と言っても、同じ歳のせいか、弟と言うよりどちらかと言うと、幼馴染みと言った方が、しっくり来る。まぁ、僕たちには、一応、ちゃんとした幼馴染みもいたので、その関係もあってか、だから弟とより、幼馴染みの方がしっくり来るのかもしれない。
◇
僕と弟…イディオも今日で、8歳になった。
「おめでとう、ディーオ、イディオ。」
「「ありがとうございます、父上。」」
父上のそんな言葉の後に、朝食が始まった。
今日はこの後、幼馴染みのシャルルが遊びにやって来る予定だ。
朝食を食べ終えると、父上は、仕事があるようで、街の方へ行かれた。
「それじゃあ、私は仕事に戻る。後は、任せたぞユーベル。」
「はい、あなた。」
そう言って、父上は、使用人をつれ、街へむかった。
「イディオちゃんついでにディーオさん、こっちへいらっしゃい。」
「「はい。」」
僕たちは、ユーベル様に呼ばれ、席をたちユーベル様の元へむかう。
メイドに持ってこさせた、プレゼントを手渡す。
「はい、イディオちゃん。プレゼントよ。」
「ありがとう、母さん。開けていい?」
「ええ、いいわよ。」
イディオが、中を見てみると、
「僕が欲しかった魔法書だ!!」
イディオのプレゼントは、どうやら魔法書のようだ。
「ディーオさん、こちらが貴方の分よ。」
僕は、小さな小袋を投げ渡させる。
「ありがとうございます、ユーベル様。」
中身は、いつも通り、お金だろう。
ユーベル様は、僕の事があまり気に入らないようだ。
自分で言うのもあれだが、僕はイディオより、能力が高い。
勉強面も、剣術訓練も僕の方が上だ。唯一負けているいうなら、僕はまだ魔法は使えないが、イディオは、威力は弱いがすでに風の魔法を扱う事が出来る。
それに、一応僕がイディオより領主後継者の確率が高いのも理由の1つだろう。実のところ、僕は余り領主に興味はない。イディオが継いでも良いさえ思っているくらいだ。
そんな事を考えていると、メイドが慌ててやって来た。