第一話 出会い
「う~ん、もう朝か・・・。ずっと夢の中で過ごしていたいな~」
そう言って背伸びをする蒼華。
今日もなぜか学校に行くのが憂鬱だ。特に何の変哲もない日常、まず初めに朝だ。
朝は毎朝きちんと朝食をとり、歯を磨き学校へ行く。ちなみに今日の朝ごはんは、オムレツだ。
中身が少しトロっとして半熟のオムレツは実においしかった。付け加えればその付け合わせのレタスやトマトも昨日買ってきた新鮮な野菜だったのでとてもフレッシュな感じがした。
まぁ、そこはどうでもいいか。休日でも同じことだし、話を進めよう。
次にもちろん平日なので学校に行く。学校には自転車と電車、徒歩の順番で行く。
そして、電車はいつものごとく通勤ラッシュで大混雑。できることなら乗りたくはない。
ただ、一回家から自転車で学校に行ったら事故を起こしたことがあったので、それ以来自転車のみで学校に行くのは親から禁止が出て自転車ではいけなくなった。それで仕方なく電車を使う。そして押しつぶされながら痴漢に合う。一応ここは女性専用車両なのだが、どうやらそっち系の趣味の人が紛れ込んでいるらしい・・・。実際そういうのは同人誌とか妄想の中だけで納めてもらえると助かる。とにかく人様に迷惑はかけないでほしいと切実に思う。
あとついでに言っておくが、この私が乗っている車両は関東でも珍しい車内に防犯カメラがついている列車だ。後から調べれば犯人が誰だかつかめなくはない。けど、それを言って電車が遅れるのもさらに申し訳ないので言ってはいない。第一女性専用車でそんな事態が起こってもだれも信用しないだろうし。
と、日頃の鬱憤が出てきてしまった・・・。こんな私ですみません・・・。
さて、これ以上話しても鬱憤しかないので次に行くとします。
次は駅から学校に行くときの道だ。この間は、できるだけ目立たないようにいつも心掛けている。
理由としては、毎朝好機の目線で見られるからだ。もうこれには疲れた。小学生から中学1年生ぐらいまでは何ともなかったのだが、その次年度、ちょうど中学二年生になったころから先生や男子生徒と喋るだけでいじめの対象になってしまったからだ。しかも、それがクラス内等で問題に取り上げられるわけだ。
当然のことながら悪化する。当たり前だ。いじめの元凶の部分である男子生徒や先生が私の味方をしたのだから。
これが悪化しないわけがない。さらに不幸は続く。その男子生徒たちがほかの女子の味方をし始めたのだ。
理由は簡単。
『女子に好かれたい』
そんな欲望が男子にはあるからだ。それは仕方ない。仕方ないが元凶を作り出した責任は取ってほしいものだ。その具体的なプランは一切ないし、逆に拍車ばかりかかるプランしか出てこないが、せめて私の話題になりそう、もしくはなったらその話に乗るのではなく別の話にもっていってほしいものだ。
それがせめてもの償いだと思う。
まぁ、「女子に好かれたい」と思うことは確かにこの少子高齢化社会にとってはとても重要なポイントではあると思うが、まずは女子のというか人の気持ちを理解し、常にそれを念頭に置いて生活してもらいたいものだ。そうすれば、この日本はもっと安全により良く過ごせるはずだ。そして、離婚もきっと少なくなっていずれかは少子高齢化も改善されていくだろう。
・・・うん、なんか話がずれた。
きっとこれだから嫌われるのだろう・・・。
よし。
気を取り直して話を元に戻すが、確か駅から学校に行く道の続きだが目立たず登校する必要があるのはもう一つある。学校に行く前に目立ってしまうと今日もまた悪口、いじめの対象になってしまうからだ。
それだけは避けたい。何としても。
極論、それをしたいのならもっと朝早く学校に行けば何の問題もないのだが、朝は朝練が始まる頃にしか開かない。加えてその時間帯から基本的に登校する人数は基本変わらないのでいつ学校に行ったとしても最終的には何も変わらないのだ。
と、そうこうしている間に学校に着いた。
白い6階建ての校舎に2階建てのグレーの立派な体育館、室内プールを完備しているかなりのお金持ち学校。
ここに来れば何か変わるかなと思い必死に勉強したが、結局私の嫌いな性格人見知りが出てしまって結局ぼっちになってしまった。ただ、変な虫は時たまやってくる。それを良しとしない女子ももちろんいる。
そして結果、さらに他人と話す機会を失うという災難な事態になる。
話を最初に戻すが、誰とも話す人がいないかつ、何の変化も生じなかったこの場所に行く意味を感じなくなるのは当然の結果であろう。なのでよく私は学校に行くのが「憂鬱」になる。
うん、相当鬱憤が溜まっているようだ。
普通の女子高生はここまで学校を嫌がるのはおかしいし、こんなに悪口をたたかない。
自分が心底嫌になる。
だが、相談する相手もいないので暇つぶしに大学受験の勉強でもしよう。
「ギィーー」
ファスナーが開く音がする。それにつられてあるものが入っているのに気が付いてしまった。
やばい、コスプレ雑誌家に置いてくるの忘れてた!!
バレたらどうしよう・・・。
絶対ネタにされてまた笑われる。
よし、これは内ポケットにしまっておいて、ばれないようにしておこう。
そして、今日は平和に過ごそう。
きっと、高校2年から大学受験の勉強やってるやつに声をかけてくる奴はそうそう居ないだろうし。
そう思いながら、数学Ⅲのセンター入試の解説本を読む。
と、すぐに変化が起きた。もちろんいい変化ではない、悪い変化だ。
「失礼します」
その変化というのは、男子生徒が私に向かって歩いてくるということだ。
「え!なんでこの教室に!?」
そんな女子が騒ぐ声がする。
しかも、次第にその足音は大きくなって聞こえてくる。
そして、私のすぐ前でその足音は止まった。
「ねぇ君、柊さんだよね」
声の発音からして、振り向かなくてもその男子生徒は私とは住む世界が違う住人だとすぐに分かった。
そして思う。
なぜ、立っている。なぜ、私の前に来た。頼みますから、これ以上衆目を集めさせないでください。
「ちょっと話があるんだけど少し付き合ってもらえるかな」
爆弾発言ありがとうございました。私もう動けないです。そして今すぐ帰りたい・・・。
「それと、さっきバックの中に入っていた雑誌ってもしかしてコ・・・」
刹那こう思った。
『人生終わりました』
そして、体もいつの間にか動いていて机をも押しのけて、その男子生徒を押し倒し口を押えていた。
・・・私何やっているんだろう。
「柊さんって意外と度胸あるんだね」
どこからかそんな声が聞こえてきた。
どうしてこんなことになったんだろう・・・。
もういい、いつもなら適当な理由つけて話とかするの断るけど、こいつだけはどうにかしないと行けないみたい。
「ちょっと来て」
そういって、手を掴み人気のない場所へと連れていく。
だが、自分のお気に入りの場所以外は男女が大抵いちゃついている場所なので、学校の外に連れ出し学内の人には気づかれないかつ、変なことをされそうにない人目に付くところに連れてきた。
「聞きます。どうして私のバックを覗いたのですか?」
「はぁはぁ、ごめんね。見るつもりはなかったんだけど見えちゃって気になったからつい『同氏』かなって気になっちゃったもんで本題より先にそれを聞いちゃったんだよね。」
「そうだったんですね。(それならもう少し小声で言ってくれればいいのに)」
「ごめん、最後のほう小さくて聞こえなかったからもう一度いいかな?」
「それは、気のせいでしょう。そういえば、あなたの名前聞いてませんでしたね。お名前はなんていうんですか?」
うん、今すごくうれしいのにどうしてこんな上から目線からしか話せないんだろう。今の自分を形成したすべてに恨みたい。
「そうだね、本来俺から名乗るべきだったね。俺は「村野 小滝(Otaki Murano)」この学校、林桜慈学園(Rinouji High School)の生徒会長を勤めていてこの学園の3年生。君の一つ上だ。」
やはり、住む世界が違うようだ。早く口止めをして元の席に帰ろう、机も戻していないわけだし。
まぁ一瞬いいなと思ったけどここまで違う世界の人と関係を持つのはリスクが大きすぎる。
それに、いつ中学の時みたいに裏切られるかわからないし、裏切られるなら初めからかかわらないほうが傷が浅く済むから、早く終わらそう。
よし、そうしよう。
「話は戻るけど、その君が持っていたコスプレ雑誌に載っている○○さんってもしかして君」
うん、私のコスプレ時の名前熟知してやがる。
そして言葉遣いも汚くなり始めました。
加えて多分もう口止めも手遅れかもしれない。
とりあえず否定しておこう。そうすればきっとどうにかなるはず。
額に汗を流しながらそう強く願った。
「すみません。その人の名前は聞いたことがありません。もしかしたら、私と似ているのかもしれませんが本人では残念ながらありません。」
「そうなのか・・・。残念、そっくりだと思ったんだけどな。」
そうなんです!!
ですけど、そう思ってくれないとこっちが困ります!!
「でもそしたら、なんでコスプレ雑誌を持っているの?」
ギクり。へま打った。だめだ私、今日に限って頭働かない!
「友達から預かってそれで持っていたんです」
よし、これで詮索してきたら男の恥だ。生徒会長ならそんなことしないだろう。
「でも、なんで友達から預かる必要があるの?」
クズだ。こいつはクズだ。これからクズとでも呼ぶとしよう。
「私もよくわからないんですけど預かってもらいたいって渡されました。なので持っています。それでは、私はこれで。これから予習しないといけないので。」
こういえば、止めることは無いだろう。
それと、もう朝礼まで5分だ。無駄に話を延ばしまい。生徒会長ならね。
「うん分かった。それじゃあ、また放課後生徒会室に来てもらえるかな。話したいことあるから。」
絶対に嫌!!
「すみません。今日の放課後は塾があるので難しいです。ですので、また機会がございましたらお話をいたしましょう。では」
かなり強引だがもうこれでいい。これしかない、人見知りの私がここまでやるのは奇跡だしよく頑張ったんだから許してください。
「えぇ・・・」
私は相手が顔を少し困らせているのを知りながら足早にその場所を後にして自分の教室へと向かった。