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第104話「勝利と覚醒」

 俺はソフィアの魔法障壁の発動と同時に雑木林を飛び出すと大きく迂回。

 奴等の背後を衝く為だ。

 

 前面からの攻撃に気を取られており、奴等は全く俺に気付いていない。

 音を立てないよう、俺は身を伏せて回り込んで行った。

 イザベラの火弾で相手方の戦士とシーフは出鼻を挫かれたばかりか、相当混乱してている。

 それが背後からでもはっきり分かる。

 こちらからはアモンが出張っていったので、相手の戦士も盾役として対抗して直ぐ前に出た。

 

 しかし、格が違い過ぎる。

 

 大剣を振り回す戦鬼アモンの破壊力の前に全く動けず、周囲を索敵していたシーフらしい男が慌てて戦士のフォローに動いている。

 つまり今が俺の思惑通り、僧侶と魔法使いを叩く絶好のチャンスという事だ。


 瞬時に状況を把握すると、俺は気配を殺して神速で奴等の真後ろに回りこんだ。

 その時、魔法使いはイザベラと同様に火弾の魔法を発動したが、威力があまりなかったのであろう。

 ソフィアが発動した強力な魔法障壁に弾かれて、あっさりと霧散したのである。


 目の前には、俺に対して無防備な背中を晒している魔法使いと僧侶。

 魔法使いの使った火弾の魔法が、ソフィアの魔法障壁により俺達に全く通じなかったので、とても落胆しているようだ。

 

 俺はすかさず背後から打ち込み、ふたりを戦闘不能にしてやった。

 いわゆる峰打ちという奴だ。

 前衛で戦っている戦士とシーフはアモンの攻勢に対応するのが精一杯であったから、後衛の仲間を気にする余裕は一切無い。


 そのまま俺は、無防備に背中をさらす戦士とシーフを攻撃した。


 後ろから攻撃なんて、凄く卑怯だって?

 不意打ちなんて神の使徒として失格?

 

 そんな文字は俺の辞書には存在しない。


 アモンと言う脅威に晒され、防戦一方だった彼等を倒すのは簡単。

 魔法使いと僧侶が援護してくれるという前提があった上での戦いだったので、それが崩れた今、彼等クランの作戦はあっけなく崩壊したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 襲って来た冒険者クランを締め上げて白状させた所……


 奴等の正体――それはダックヴァル商店にガルドルド魔法帝国の魔法の鍵(マジックキー)を売りに来たクラン大狼(ビッグウルフ)であった。

 

 俺はリーダーの魔法使いを問い質す。

 最初は不貞腐れていて無言だったリーダーも脅したり、なだめたりしてやっと話を引き出す事が出来た。


 何とこいつらはダックヴァル商店襲撃事件の犯人でもあったのだ。

 

 先日襲われて大怪我をしたダックヴァル商店の店主サイラス・ダックヴァル。

 彼から魔法鍵を売ったクランを聞き出して襲い、俺達が手に入れたであろう『隠されたガルドルドの財宝』を手に入れようと画策したそうだ。


 魔法使いは「ふん」と鼻を鳴らし、俺を睨みつけた。


「ついてねぇ! サイラスによ、あの鍵を売らせて、そのクランがガルドルドのお宝を手に入れる。お宝を手に入れたクランを襲って全てを手に入れる……こんな絵を描いていたのによ!」


 はぁ!?

 こいつら……

 お宝を持ち帰ったクランが自分達より強くて返り討ちになるとか考えなかったのか?

 今回みたいにさ。


 ここで魔法使いが悔しそうに言う。


「だがよ、サイラスがどんな奴等に売ったか白状しなかったんだ!」 


「白状しない?」


「そうさ! そんな事は教えられねぇと抜かして、全然白状しやがらなかった……だからヤキを入れて何とか最後にゲロさせたんだよぉ!」


 成る程!

 先日の強盗事件の真相はそういう事か!


「ようく分かったよ、さてこいつらの処分……どうする? 皆」


 俺はクランのメンバーの意見を聞いてみた。


「当然、首をちょん切って始末するんじゃないのか?」これはアモン……


「こいつら……また同じ事をするよ。私はアモンに賛成だね」これはイザベラ。


(わらわ)もアモンとイザベラに賛成じゃ。ガルドルドの秘密を知り、このような性悪の者共を生かしておいても仕方なかろう」これは――ソフィア。


 そして最後に黙っていたジュリアに意見を求めたが……


「もう少ししたら……あたし達が手を下さなくても処理出来るよ」


 これから起こるであろう、彼等の行く末を意味ありげに言ったのである。


 何が? 起こるのか……

 

 そう言えばこちらに近付く反応がある。

 敵意は無いが、何か警戒しているような魔力波(オーラ)を発している一団だ。

 ジュリアはすかさず一団の正体を言い当てる。


「多分、地区警護の騎士隊か、キャンプの衛兵隊のパトロールさ。こいつらを彼等に渡してしまおうよ」


 俺達は戦闘態勢を取ったまま、その場で待つ。

 するとその一団が俺達を認め、大声で呼び掛けて来た。

 

「おお~い、我々はヴァレンタイン王国騎士団だ。こちらで戦闘が行われていると通報があって来たが、どうしたぁ!? もし我々に歯向かう気なら容赦しないぞ! 武器を持っているなら速やかに捨てて投降しろ~!」


 どうやら治安維持の為に巡回中であった王国の騎士達らしい。

 ジュリアの言った事はビンゴである。

 

 彼女は「にこっ」と笑い、親指を立てた手を俺に突き出して見せたのであった。

いつもお読み頂きありがとうございます。

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