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死神さんののんびり異世界散歩  作者: 水無うるふ
水の都ルーセント編
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カラミティスノーマン②

 色々と魔術や武器を試してみたが、ダメージらしきダメージは入らなかった。

 ただし、最初に試してたような一撃が鋭く速い攻撃は風の影響を受けなかった。


ピコン

well:属性ダメージは風に付与されてる魔力で阻害されてる

well:力ずくが一番かも

noah:考えるのめんどくなったな?

well:否 落として

noah:あーね



 戦闘がめんどくさくなるからやりたくはなかったが、ウェルがそう言うならば現状での最善策なのだろう。


「”Sol q(落ちる)ue cae(太陽)”」


 一つの魔術を発動する。

 直後雪だるまの頭上に煌々と輝く巨大な火の玉が出現した。

 その炎は凄まじい熱量を有し、辺りの雪や氷を溶かし始める。

 この魔術は名前の通り模擬太陽を出現させ相手に落とす、殲滅を目的とした魔術だ。



ピコン

well:熱い

noah:我慢して

well:あい



「落ちろ」


 それを合図に燃え上がる模擬太陽が雪だるま目掛けて落ちた。

 模擬太陽は雪だるまを飲み込みながらカルデラ湖へと吸い込まれていく。

 氷が溶け、水が蒸発していき辺りが水蒸気で覆われてしまった。

 俺はその場で浮かびながら雪だるまがいた方を見つめる。


「”El viento(吹き荒れる) sopla()”」


 後ろでウェルが風の魔術を起こし水蒸気を飛ばす。

 カルデラ湖に張っていた氷は全て溶けていて、水も三分の二位蒸発していた。

 そんなカルデラ湖の中心に半身を水に浸けた状態で半溶けの雪だるまが立っている。

 水面が凍り付け始めているが、見る限り風は止んだようだ。


「ここまでしないと風を止められないのかよ」


 さすがにこれはめんどくさい。だが、これで周回できるようになったな。

 周回するような敵ではないけども。

 ユグドラシル・フランベルジュを装備して雪だるまに急降下。

 雪だるまは残っている右腕の木で反撃してくるが、俺の後ろから飛んでくる火焔により阻まれてしまう。


「Laaaaaaaaaaaaaaッ!!!!」



 雪だるまは咆哮を上げると俺が到達する前に爆発する。


「ぬおっ!?」


 俺は爆風で後ろへ飛ばされるが浮遊の力でブレーキをかけて下がりすぎないように調整した。

 自爆による攻撃で辺りに雪だるまの残骸が飛び散っていた。


「終わりか?」


 そう呟きながらカルデラ湖の淵に降り立つ。


「まだ。核が壊れてない」

「力片か?」

「うん。ほら」


 ウェルが指さす方向――雪だるまのいた場所には雪だるまのしていた首輪が落ちていて、その首輪についている宝石のような玉は輝きを放っていた。

 その力片に集まるように飛び散った雪が蠢いている。


「ちょっと行ってくるわ」

「ん。てら」


 淵から跳躍して首輪の所に降り立つ。

 一向に役目の来ないユグドラシル・フランベルジュを使って力片を真っ二つにする。

 一瞬の眩い光を残して力片は輝きを失う。それとともに近くまで来ていた雪ダルマの残骸が動きを止めた。

 力片を拾い上げてアイテムボックスにしまい、ウェルの元へと戻った。


「これで終わりだな」

「ん。元通り」

「に、なるといいが」

「戻ろ」

「ああ。そうだ、宿に戻ったら展望台に行こう」

「スクショ厨」

「うっせ」


 ウェルを小脇に抱えて宿へと戻る。

 カプリスたちの部屋に向かうと彼女は起きていた。


「うちを置いていくとはどう言う了見なのかなー?」


 そして現在、カプリスの部屋でテーブルを挟んで対面中。

 彼女は拗ねているようで言葉の端に棘が垣間見える。


「寒いの嫌いだろ? ちょっとした気遣いだ」

「むむ、そう言われると怒れないじゃん。マスターとデート出来たウェルちゃんが羨ましいなー」

「戦闘だ。戦闘。はぁ、それよりも日の出が近い、展望台に向かうぞ」

「あ、行く行くー! あっこの景色好きなんだよねー!」


 カプリスが行く気になったので、俺達は宿を後にして展望台へと向かった。

 空は曇天だったのが嘘のように雲が薄くなり、水平線より漏れ出る日の光がうっすらと空に色を付けていた。

 展望台に登った頃には日の出間近だった。


『ほう。これはいい』

『ええ。優しい光ですね』


 漏れでる光は太陽本来の光よりも少し和らいでいて、見ているだけで心が洗われるようだ。


「昇りますよ」


 リーリスの言葉に直ぐ様スクショ待機。

 少しすると日が昇った。

 水平線より顔を出す太陽は煌々と輝き、海にその光を反射させる。

 ゆらゆらと光が反射する海。

 港付近に残る氷を優しい光で包み、テラコッタの用いられた建物が赤みを帯びていく。

 俺が見たかった光景であり、氷や雪が残っているためその美しさは五倍増しだった。

 俺は連写してその光景を収めていく。

 一秒足りとも取り逃しがないように。


「綺麗ですね」

「うん。うちも一枚撮っとこうかな」

「撮った」

「早いね!?」


 女性陣もスクショを撮っているようだ。

 いいぞ。どんどん撮るのだ!


『気持ちのいい光だ』

『ここ一週間浴びてませんしね』


 ギルターは展望台の外壁の上でお座りをしており、日の光を浴びながら尻尾をゆらゆらと揺らしていた。

 一方フィズリールは日の光を全身で浴びるためか両翼を広げていた。

 二匹とも久々の日の光が気持ちいいようだ。


 俺達は日が昇りきるまでその場で景色を楽しんだ。




お読みいただきありがとうございます。

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