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死神さんののんびり異世界散歩  作者: 水無うるふ
水の都ルーセント編
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カラミティスノーマン

 宿で一泊した俺は、ムキマッチョ雪だるま戦に備えて準備を始めていた。

 アイテムボックス内を整理して、回復アイテムを瞬時に使えるように配置。

 武器も炎系を上位にセットしといた。

 大鎌でも事足りるだろうが、楽に倒すなら属性ダメージも考慮しておきたい。

 炎系の範囲魔術であの一帯を燃やしても良いのだが、景観の事を考えると最後の手段だ。

 それに、仮にも神生物なのだから弱点属性に対する何らかの対抗手段を有していると見て良い。

 魔術よりも直接属性ダメージを与えられる武器の方が相性は良いはずだ。


「よし。とりあえずこんなもんか」


 防具は死にたかないし、寒さ対策のためにも死神シリーズ一択だな。


「さて、と」


 準備も終わったのでちゃちゃっと終わらせてしまおうか。


「行くの?」


 食堂の席を立ったところで声をかけられた。

 そちらに目をやるとウェルが立ってこちらを見ていた。


「早いな」

「いつもこのくらい」

「そうか」

「行くの?」

「ああ。準備も出来たしな。いい加減元のルーセントも見たいし」

「そう。カプは?」

「どうせ寒いから行かんだろうよ」

「そう」

「んじゃ、行ってくるわ。カプリスに伝言頼む」

「ダメ。行く」


 伝言を頼もうとしたらウェルは首を横に振り、そう言った。


「ウェルも来るのか?」

「うん。久しぶりに見たい」

「俺の戦闘をかぁ?」

「うん」

「・・・まぁ、好きにすればいいさ」


 ダメって言っても付いてきそうだし、それに、本人は戦闘力が無いとは言ってるが、レグルスに次ぐ魔術師だ。

 援護として頼りがいがある。


「援護は頼むぞ」

「任された」


 少し微笑みながら小さく頷くウェル。

 それを確認した俺は、ウェルと共に宿を出た。

 時刻としてはまだ日も昇らない早朝。

 暗い道を歩いていき、港の方まで行ったところでウェルを小脇に抱える。


「ごー」


 だらんとなったウェルが握った拳を前に突きだし、ゴーサインを出したので飛んでいく。

 一直線にムキマッチョ雪だるまのところまで飛んでいく。

 ムキムキな腕と足は収納されており、歯を剥き出しにした笑顔も今は普通の笑顔。


「ウェルは援護できる距離で、お前がやりたいように動いてくれ」

「うん」

「パーティーも組んでおくか」


 そう言いパーティー申請をすると、すぐに許可された。


「俺のHPは見えてるか?」

「うん」

「よし。んじゃ、やりますか」

「うい。"Heat aura(ヒートオーラ)"」

「さんきゅ」


 寒さを防ぐ魔術がかけられたのでお礼をいって雪だるまの方へ向かう。

 近くまでいくと、歯を剥き出しにした笑顔になり、ムキムキな腕と足が生えた。


「GULA-HAHAHAHAHAHAッ!」


 俺が戦闘体勢に入ったところで、雪だるまは盛大に笑い声をあげる。

 なかなかに渋い声だ。

 俺は炎属性ダメージ最強と言われる片手剣──ユグドラシル・フランベルジュを装備する。

 フランベルジュとは、刀身が波打つ剣の総称で、確かフランス語で炎を意味するflamboyant(フランブワン)にちなんで名が付けられた。

 通常のフランベルジュは波打っているだけの剣なのだが、このユグドラシル・フランベルジュは波打つ刀身の周りを炎が揺らめいている。


 レーヴァテインが総合的な火力で最強なら、ユグドラシル・フランベルジュは属性火力に特化した剣だ。

 属性値はレーヴァテインをも優に越える。まさに炎属性最強の剣だ。

 相手の弱点属性が炎ならばそれはもう信じられないくらいの大ダメージが出る。


「GULAHAーーーッ!」


 武器を装備したことろで雪だるまが手に持つ樹木を叩きつけてきた。

 それを横に跳んで避け、雪だるまへと向かって走る。


「HA-HAーーーッ!」


 デカ物の定石である懐に入り込む戦法だが、雪だるまから突風が吹き、後ろへ飛ばされてしまった。


「近づけさせない気か」


 近接を避けるような戦いかただ。

 試しに魔術も使ってみよう。


「"Fire lance(ファイヤー・ランス)"」


 炎で形作られた槍を生成し、投げつける。

 炎の槍は一直線に雪だるまへと向かうが、雪だるまから発する暴風により掻き消されてしまった。


「あの風をどうにかしないとか」


 じゃないとこちらからの攻撃が届かないだろうし。

 と言っても、本体から風が出ているためどう止めるかは悩み所だがな


「GULA-HAAAAAAAAAAAッ!」


 雪だるまは天に向けて樹木を掲げる。

 次の瞬間、上空より直径二メートルはありそうな氷が降ってきた。それも一つや二つではない。

 雹のように降り注ぐそれを避け、破壊しつつ思案する。

 特殊な守りを持つ魔物も、何かしらの対処でその守りを消すことができる。

 フィニックスなんかがそれにあたる。

 フィニックスの場合は常時炎を纏っているのだが、氷魔術や水魔術で大ダメージを与えると怯ませることが出来、纏っている炎を一時的に消すことが出来る。

 そうすれば近接戦闘に持ち込むことが出来るようになるのだ。

 だが、こいつはどうだろう?

 試しとは言え、遠距離魔術を軽く防がれてしまった。

 おそらく弓での攻撃もあの風によって防がれてしまうのがオチだろう。



ピコン



 次の手を考えていると、チャットが届いた。

 未だに降り注ぐ雹を躱しながらチャットを開くと、ウェルからのチャットだった。



well:炎以外の魔術使ってみて、一通り

noah:了解



 ウェルの指示通り魔術を行使する。


「”La ira de(神の) Dios(怒り)”」


 属性は雷。

 この魔術は落雷を発生させるものだ。

 条件に天気が曇りの時にしか発動しないと言う物があるが、現在の天気は雪。条件はクリアしている。

 上空で雷鳴が響き、直後雷が落ちた。

 落雷は雪だるまに直撃するも、ムキムキな左腕が飛んだだけで属性ダメージは入ってなさそうだ。

 飛んだ左腕も瞬時に修復されてまたムキムキ。


「雷も効かず、即時修復とはなぁ」


 こりゃあ、強敵だな。




お読みいただきありがとうございます。

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