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死神さんののんびり異世界散歩  作者: 水無うるふ
水の都ルーセント編
93/95

白き水の都白き④

 しばらく飛びながら周辺を見渡す。

 麓周辺に異常は見られないため、上へと登っていく。


「あれ」


 頂上付近を飛び回っていると、ウェルが下を見ながら指差した。

 ホバリングして、俺もウェルの指差した方向を見る。


「え?」


 雪で被われた山は真っ白なため気がつきにくいが、山の頂上。休火山であるこの山にはカルデラ湖があるのだが、そのカルデラ湖も真っ白に染まっていて、丁度のその中心付近に巨大な何かがいた。

 その何かも白いため、周りと同化して見つかりにくかったみたいだ。


 その巨大な何かを確認するために俺は降下した。

 近づくにつれてその全貌が明らかになった。


「えー・・・」

「雪だるま」


 その正体は巨大な雪だるまだった。

 愛らしい顔が貼り付けられ、手として木の棒──否、木が刺さっていた。


「あれが原因か?」

「おそらく。あれから風が吹いてる」

「近づいてみるか?」

「守って」

「言われなくとも」


 雪だるまから少し離れたところに降り立ち、徒歩で近づいていく。

 近づくにつれて空気がどんどん冷えていくのを感じた。それと共に風も強くなっていく。


 距離としては三十メートル位だろうか。それくらいまで近づいたところで雪だるまに動きがあった。

 雪だるまの側面から近づいたのだが、俺たちの気配を感じたのかこちらに向きを変えた。

 そして、俺達を視認すると笑顔だったその口元が変化し、キザキザの歯を剥き出しにした笑顔になった。


「可愛い」

「え?」


 予想外の言葉につい聞き返してしまった。

 こんなデカくてギザギザ笑顔の雪だるまが可愛いとな?

 そんなことを考えていると、雪だるまに変化が起こった。

 腕を模した部分が弾けとび、内側からムキムキの雪で出来た腕が出てくる。木はその手に握られている状態だった。

 次に足が生えた。こちらもまたムキムキの雪で出来た足。見ると、ピエロが履いているような、足先がくるんとしている靴を履いていた。

 そんな面白おかしい姿に変化した雪だるまに対してウェルは何て言うのだろうか?


「キモい」

「ですよねー」


 うん、さすがにこれはないわぁ。


「さて、原因はこいつで決まりだろうな」

「うん」

「どうする?」

「撤退」

「あいよ」


 ウェルの言葉を聞き、了承した俺はウェルを小脇に抱えてすぐさま飛ぶ。

 直後、俺達のいた場所に木が叩きつけられ、カルデラ湖の氷が深く削られていた。

 さすがムキムキ。見せ筋じゃなかったか。


 山から離脱してウェルの小屋まで戻ってきた。

 ウェルを下ろし、とりあえず中へ。

 テーブルに対面に座ると、ウェルは紙とペンを持ってこちらを見てきた。


「ノア」

「ん?」

「アレみたいなのと戦ったと聞いた。知っていることを教えて欲しい」

「了解」


 鮫とクリフォトについてと、風の精霊王に聞いたことを教えた。


「神生物。魔物が姿を変えた存在」

「オリジン級の力を持ってるから注意喚起したんだ」

「そう」


 俺の言葉に頷き、紙に聞いたことを纏めていくウェル。


「力片。多分首輪に付いていた宝石みたいなのがそれ」

「そこまで見てなかったな」


 あの短時間でよく観察してるなぁ。

 俺なんかあの変形後の姿が面白いとしか認識してなかったのに。


「戦闘力はノアのみで対処可能なはず。問題は寒さと攻撃」

「寒さは死神シリーズで対処できるぞ」

「さすが」

「攻撃パターンは、さすがに戦ってみないとわからないな。そうそう死ぬようなステータスしてないから様子見ながら戦うしかない」

「傲り」

「傲っちゃいねーよ。前二体との戦闘経験による予想だ」

「それでも万全で」

「ああ。未知の敵だからな。気を付けるよ」


 いざとなれば溜めに溜めてきたポーション類を全て解放する気だ。

 バフ盛りで挑むのもありだな。

 ユグドラシルには相乗するバフアイテムがいっぱいあるからな。盛りまくるとステータスが最大四倍まで上げられる。

 あ、いや、俺カンステだからステータスもう上げられんわ。

 ならデバフ付けまくろ。


「貴方に死んでほしくない」


 対策について考えていると、唐突にウェルがそう言ってきた。

 その表情は本当に心配で不安な表情だった。


「死なんよ。運営公式の最強を嘗めんな」

「うん」


 俺の言葉に少しは安心してくれたのか、彼女は少し、ほんの少し微笑みながら頷いた。

 うん。クッッッソ可愛いなぁ、オイ。


「さて、俺は宿に帰るな」


 俺は立ち上がってそう言う。


「そう」


 ウェルも頷いて立ち上がり、出口まで一緒に向かった。


「あ、一緒に来るか? 見た感じ、プレイヤーと会うのは久々だろ?」


 扉を開けたところで振り向き、提案する。


「いいの?」

「おう。ウェルが泊まる分の金も出してやるしな」

「それは悪い」

「気にすんな。一人増えた所で無くなるような量じゃねぇ」

「ん、なら甘える」

「おう。甘えろ甘えろ」


 ウェルの頭を優しくポンポン叩き外へ出た。

 少し頬が赤みを帯びたウェルだったが、うん、見なかったことにしとこう。

 小動物みたいで可愛くてついやってしまった。反省はするが後悔はない。


 鍵を閉めたウェルと共に宿へと戻った。




お読みいただきありがとうございます。

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