フリューゲルの里⑤
炎の化身ことフランベは炎系統の魔術を極め、その装備も炎特化のものばかりを扱う変わり者。
ジョブは魔剣士と言う魔術と剣を使うバランスのとれたジョブを使っている。
武器は北欧神話で有名なレーヴァテインと言う剣を使っており、炎属性最強の武器と言われている。
この武器はオリジンバード──すなわちフィズリールを倒すことでドロップする特殊武器だ。
俺も腐るほど持っているので、レーヴァテインがどれほど規格外の強さを持っているのかも把握している。
防具もエンシェントフェニクスと言う特殊な物で、炎属性の攻撃にプラス補正が掛かるものばかりで、尚且つ炎耐性も付いている。
面白いのが攻撃した相手に対して、一定の炎攻撃が入るのだ。その反撃にも炎属性攻撃とみなされプラス補正が入るので、ダメージもバカにならない。
その他にもアクセサリー等の補助装備も全て炎系統の物ばかりを揃えている。
ここまで一属性愛しているのも珍しいが、正直な話暑苦しいだけだな。
そんなフランベだが、ギルド【白】の創設初期メンバーである。と言っても、創設初期は俺とフランベだけしかいないんだがな。
シルファも誘ったのだが、彼女はすでにギルドを創設しており、そこそこのメンバーが居たため断られてしまった。
その後同盟を組んだのであまり関係なかったけどな。
いやー、懐かしいな。もう十年前のことなのか。
こうしてこっちに来ていると言うことは元気にしているのだろう。
「なーにしてんのー?」
昔のことを思い出していると、声をかけられた。
「カプリスか」
UIから視線を外し前を向くと、カプリスが立っていた。
彼女は俺が気付くと隣に座ってきた。
ほんのりと顔が赤くなっていて、酒の臭いが横から漂ってくる。
「酒飲んだのか」
「飲んだよー。あんまり美味しくないね」
「最初はそんなもんだ。俺も飲み始めた頃は苦手だったしな」
「そっかー」
そう言いながら肩に頭を乗せてくるカプリス。
普段はこんなことしてこないので酔ってるのだろう。
「結構酔ってんな? お前」
「かもしんない」
「・・・はぁ。まぁいいや」
可愛いから許す。
「んで、何やってたの?」
「フレンド欄にフランベが表示されててな。昔のことを思い出してたんだ」
「フランベも来てたんだね」
「俺も驚いたよ。向こうから連絡がないから元気でやってるだろうけど」
「だろうねー。あ、じゃさ。次の目的地はフランベが居るとこに行こうよ。内緒でさ」
「お、それいいな」
UIを表示してフレンド欄からフランベを表示。
ユグドラシル・オンラインではフレンドのいる場所をフレンド欄から確認することが出来るので、それを使う。
「フィアルード王国のムスペル火山帯近くの街にいるみたいだ」
「フィアルード王国って第三大陸だっけ?」
「そうそう。砂漠とか火山とか熱帯雨林とか、比較的暑い気候の島だな」
「暑いのいやー」
「会いに行きたいって言ったのはお前だろうが」
ペシッと頭を軽くチョップする。
「まぁでも、オリジンホエールがいるのは第三大陸だから暑かろうが行くんだがな」
「うへぇー」
『オリジンホエールと言ったか?』
そんなのんびりとした会話にギルターが参入してきた。
フィズは彼の頭の上で眠っているようだ。
「言ったぞ。次に会いに行く相手だからな」
『どんな奴なんだ?』
やはりオリジンとして興味があるのか、俺の前でおすわりし尻尾をゆらゆらと左右に振るギルター。
その頭には鳩サイズのフィズが寝ているのでなんかシュールだ。
「一言で言うならばただただデカい」
「魔物で一番大きいんじゃないかなー」
「だろうな」
『そんなにか?』
「ああ、体長百メートルは越えてるんじゃないか?」
「唯一の部位破壊でダメージ与える系の魔物だしね」
『想像できないな』
「会えばわかるさ」
『楽しみだ』
尻尾をぶんぶん振っているので、本当に楽しみなのだろう。
「そういやリーリスは?」
『酔い潰れていたので部屋に置いてきたぞ』
「酔い潰れたのか」
『ああ、酔い潰れていた』
オリジンだからって調子のって飲んだな。あいつ。
「了解。ありがとうギル」
『うむ。私は肉の続きに行ってくる』
「わかった」
肉の続きとは。
ふと、静かになったカプリスに目をやると、俺の腕に自分の腕を絡ませて静かに寝息を立てていた。
「はぁ」
まぁ、いいか。起こすのも悪いし、しばらくはこのまま寝かせてやろう。
酒を飲み干し、近くにおいていた瓶から注ぐ。
「第三大陸に行くなら途中で彼処に寄ろう」
次の絶景ポイントを思い浮かべながら、星空のもと静かに晩酌を続けた。
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