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死神さんののんびり異世界散歩  作者: 水無うるふ
フリューゲルの森編
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フリューゲルの里②

書き溜めがあるので投下します

 シェロの見送りが終わり、その後は特に宴とかやるわけでもなく解散となった。

 俺たちは宿屋にでも行こうかと思ったが、シャーロットの厚意によりシャーロットの家に泊まることになった。

 そして現在居間にてシャーロットと対面している形で座っている。


「改めて、森を助けていただきありがとうございました」


 頭を下げるシャーロット。


「ああ。俺たちもあの木に用があったからな。気にするな」

「それにもう帰ってくることがないと思っていたシェロまで・・・」


 そこまで言って目尻に涙を溜めるシャーロット。


「・・・シェロがどういう状況にあったか、知りたいか?」

「マスター。それは――」

「いえ、お願いします。ノアさん」

「わかった」


 俺はシェロがどの様に捕らえられていたか。そして、クリフォトの養分にされていたことを伝えた。


「そう・・・だったんですね」


 俺が話しているうちに、溜まった涙はその許容量を越えて溢れるようにテーブルへと流れ落ちていった。


「そんな辛い目に・・・ごめんなさい。ごめんなさいシェロ」


 顔を手で覆い俯きながら泣くシャーロット。

 やはり、クリフォトが現れる前に何かあったのだろう。


「・・・私とシェロは五年前にこの世界にやってきました」


 何があったのか聞くべきか迷っていると、シャーロットが話し出した。


「私たち姉妹はゲームだった時からこの里を拠点に活動していました。なので、こちらに来た時、最初にいたのがこの家でした。そこからの事は長くなるので省かせていただきますが、前任の長が亡くなってしまったので私が次の長となりました」


 プレイヤーであるシャーロットが長をやっていたことに疑問があったが、なるほど、長を引き継いだのか。

 確かにシャーロットのような人なら任せられるだろう。


「長となってからは忙しく、シェロを構ってやれる時間も少なくなってしまいました。そんな折です。彼女は変な木があると教えてくれました」


 その変な木というのがクリフォトなのだろう。


「私は長の仕事で疲れていたせいもあり、彼女の話に耳を傾けませんでした。彼女はそんな私に怒り、私たちは喧嘩してしまいました。聞けば、里の者たちも彼女の話に真剣に聞かず、話半分に聞いていたそうです。フリューゲルの森に限ってそれはないと言って」


 よくある話だ。

 子供の話を大人は話半分で聞き、それが本当だった時に後悔する。


「喧嘩した次の日。外に行ったシェロは夜遅くになっても帰ってきませんでした。私たちは彼女の捜索のため、里の者総動員で探索しました。そして、あれを見つけたのです。木は既に周りの木々を汚染し始めていました。そこで私たちは、彼女の言っていたことに耳を傾けなかったことを後悔しました。その後、結局シェロは見つからず、探索組と木の調査組で別れたのですが、調査組の方から森の動物が木に寄生されて襲ってきたことを聞き、探索を中断。里の者たちは森の外へ避難させました。私は避難させた後、何度もシェロの探索を一人でおこなっていましたが、木がどんどん大きくなり森への被害が広がっていくのを見て、私はレグルスさんに連絡しました」


 シェロが行方不明になった日。そこで彼女はクリフォトに取り込まれたのだろう。

 話を聞く限り、クリフォトの成長もそこから早まっているみたいだし。


「そして、今に至るわけだな」

「はい」


 ずっと涙を流し続けるシャーロット。


「辛いのに話してくれてありがとう。今日はもう寝るといい」

「そう・・・しますね。どうぞゆっくりしていってください」


 シャーロットは立ち上がると、自室へと向かった。


「・・・今日は静かだな」

「うちだって空気位読めるよ」

「ほぉん。ギルとフィズは?」

「リーちゃんが寝室に連れて行ったよー」

「あぁ、それでリーリスもいないのか」


 彼らも空気を読んでくれたのかな?


「それにしても、ここに来てプレイヤーの死に直面するとは」

「いつか来るって覚悟はしてたけど・・・」

「ああ、いざこうして相対するとちょっと考えさせられるな。ゲームの時みたいに戦っていいのか」

「マスター。昼間にも言ったけど、考えすぎないでね? それマスターの悪い癖だよ」

「ああ、悪い。気を付けるよ」


 やっぱり、ゲームの時とは印象が違うな。

 高校生とは思えないほどしっかりしている。昼間も彼女が思考の海から引き上げてくれなければ悪い方向に考えが進んでいたはずだ。


「カプリス」

「んぅ?」

「いつもありがとな」

「にしし! どういたしましてー!」


 笑顔で返してくるカプリス。

 それはとても可愛らしく、そして元気が貰える笑顔だった。




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