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死神さんののんびり異世界散歩  作者: 水無うるふ
フリューゲルの森編
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クリフォトと浄化

 クリフォトの最後を見届けたあと、俺は担いでいるフリューゲルの女性を近くの木を背にして下ろした。


「この人は?」


 悲しそうな顔で聞いてくるカプリス。


「クリフォトに取り込まれていたんだ。おそらく、最初の養分としてな」


 フリューゲルは人種の中で、エルフに次いで元の魔力保有量が多い。

 ちなみにだが、レグルスの種族はエルフで、俺の方がレベルは高いが、魔力保有量はレグルスの方が圧倒的に多かったりする。

 彼女がどれくらいのレベルだったかはわからないが、クリフォトが取り込んだと言うことは、相当魔力量が多かったのだろう。

 それか、たまたま通りかかった所で運悪く取り込まれてしまったのかもしれない。


「家族に会わせてあげたいね」


 手を合わせ終わったカプリスがそう言う。


「そうだな。とにかく、まずは森の浄化を始めよう」

「だね」

「アイテムの使い方でしたら私が知ってますよ」

「頼む」


 オリジンヒューマン──またの名を【神の叡智】。

 神に作られし最初の()()であり、神から叡智を授かった唯一の賢人だ。

 アイテムの使い方なんて脳内検索で一発だろうさ。


「【浄化の水晶】。使い方は魔力を込めて割る。以上です」

「雑だな」

「そう言う説明ですので、私に言われても」

「悪いな」



ピコン

caprice:草www

noah:草に草生やすな



 リーリスの説明通りに魔力を込めてみた。

 すると、水晶は淡く光だしたので、あとは割るだけみたいだ。


「あ、割るなら中心地の方がいいみたいです。効率が」

「均等に浄化されるからか。よし」


 ってなわけで、再びクリフォトの中へ。


「この辺だな」


 戦闘をしたフロアの中心。

 ちょうど、年輪のど真ん中を狙って叩き割る。

 水晶が割れた瞬間辺りに眩い閃光が広がった。

 近くでそれを喰らった俺はもちろん目が痛い。ビックリだわ。


 光が収まり、辺りが見えるようになった。が、フロア内は特に変わった様子はないので、外へ出てみることにした。

 開けた出口から跳んだところで、周りのを景色が変わっているのが一目見てわかった。

 俺はそのまま浮遊して上へ。

 ある程度の高度まで行き、下に視線を向けて俺は言葉がでなかった。

 黒く染まっていた木々が、まるで波紋の広がる様に白く変わっていく。その光景は現実では見ることが叶わず、ゲームでも叶わなかったであろう。

 そんな光景に俺は声も出せず、ただ見惚れ、スクショを撮るのに意識など必要なかった。

 動画録画機能もあれば良かったのだが・・・。

 まぁ、それはさすがに贅沢言い過ぎだな。

 完全に白に染まるところまで見守ったあと、仲間たちの元へと下りた。


「ズルい!」


 下りた直後にそう言われてしまった。


「悪いな。考えるより先に身体が動いたんだ」

「この、スクショ中め!」

「ありがとう。誉め言葉だ。あとで撮ったスクショ見せるから許してくれ」

「美味しいご飯付きでよろしくね!」

『肉っ!』


 飯に反応するんじゃない!


「とりあえず、フリューゲルの森の異変はこれで完結だな」

「ですね。あとはフリューゲル達が戻ってくるのを待つだけです」

「どこに避難したんだろ?」


 そこが問題だ。

 解決したことを伝えるにしても、どこに避難をしているのか皆目見当がつかない。

 翼を持つ彼らならば、世界中何処へでも行けるのだから。


『む?』

「どした?」


 何かに気がつき、空を見上げるギルターに声をかける。


『どうやら探す必要はなくなったようだ』

「それって──」


 どういうことだ? と、紡がれる前に翼をはためかせる音が聞こえた。

 俺たちはその音を聞いて空を見上げる。

 直後、一人のフリューゲルが俺たちの見上げる空を通過した。

 飛び去った一人を追うように数多のフリューゲル達が続々と飛んでくる。

 その光景は白い渡り鳥達が群れで飛んできたかのような美しい。

 彼らは枯れたクリフォトの周りを旋回すると、集落の方へ飛び去っていった。

 その群れから一人、こちらへと舞い降りてくる。

 銀糸のような真っ白な髪にサファイアのような綺麗な青い瞳。白い衣を纏ったひとりの女性だった。

 彼女は、俺達の前へと優雅に舞い降りてきた。

 その様子はさながら天使が舞い降りたような、そんな神々しさすら感じる。


「初めまして冒険者ノア様。私はフリューゲルの長、シャーロット・フィーリースと申します。この度は我らが森をお救いいただき、感謝申し上げます」


 彼女は優雅な動作でお辞儀をしてきた。


「ああ。俺もあの魔物に用があったし、気にしなくていいぞ」

「それでもです。ありがとうございました」


 再度頭を下げる女性―――シャーロット。



ピコン


「ちょっと失礼」


regulus:シャーロットから連絡があった。どうやら解決したようだな。



 受け答えしようとしたところでレグルスからチャットが来た。


noah:そのシャーロットって人が今目の前にいるのだが、レグルスの知り合いなのか?

regulus:ああ、シャーロットもプレイヤーなんだ。最初に私の所へやってきたのも彼女で、今回の情報元でもある。

noah:なるほど

regulus:解決したならそれでいい。ゆっくり観光してくるといい。

noah:そうするつもりさ。情報収集の方は頼んだぞ

regulus:そちらの方は任せておけ。では

noah:おう



 チャット欄を閉じてシャーロットの方へ視線を戻す。


「失礼した。レグルスより話を聞きました。森の情報は貴女からだったのか」

「ええ。なのでこうしてお礼を言いに参った次第です」

「そういうことか。そうだ。今回の異変の経緯を聞きたいのだが・・・」

「でしたら私どもの里へ参りましょう。これと言ったおもてなしは出来ませんが、休むには丁度いいでしょう」

「助かる。それと、彼女は知り合いか?」

「彼女?―――ッ」


 シャーロットは、萎れてしまったフリューゲルの女性を見るなり口を押え、涙を流しながらも彼女へ駆け寄って抱きしめた。


「ああ、あぁ、シェロ・・・」


 シャーロットはフリューゲルの女性。シェロを強く抱きしめる。

 そんな彼女を俺たちは見守ることしか出来なかった。

 おそらく身内か近しい人だったのだろう。


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