穢れた白き森
森までやってくると、その異様さがよく分かる。
森の外まであふれ出る瘴気。
美しかった森はどこへやら。
残った白き木々たちも瘴気にやられているのか、どこか萎れているように見える。
「酷いな」
「うん、思った以上だよ」
「魔物の発生はこの瘴気が原因のようですね」
『瘴気はいわば魔力の霧だからな。魔物の発生条件を満たしている』
「発生条件?」
そう言えばスポーン条件とか気にしたことも無かったな。
『はい、魔物と言う物は魔力から生まれ出るのです。魔力が多い土地ほど魔物は発生しやすく、より強力な魔物が生まれてきます。あなた方プレイヤーが言うスポーンと言うのはこの現象のことですね』
「なるほど。繁殖の設定とかはどこに行ったんだか」
『いえ、もちろん魔物も魔力から生まれたとはいえ生物ですからね。雌雄がありますし、繁殖しますよ。私たちみたいな特殊な魔物以外、ですけどね。私たちオリジンはあの聖域のみでしか生まれることが出来ませんからね』
「お前らみたいな魔物がポンポン生まれてこられても困るけどな」
オリジンが繁殖とか恐ろしいわ。
あ、でも、繁殖して増えてくれればレベリングが楽そうだな。
『ふおっ!? 今素敵なこと考えませんでした!?』
「答えはNOだ」
察知すんな。
『おい、来るぞ!』
「何が・・・ッ!?」
ギルターに言われて、森の方を向くと狼のような魔物が飛び掛かってきたので、下から首を引っ掴んで地面にたたき落とす。
狼みたいな魔物はジタバタと暴れたが、力を込めて絞め殺す。
「なんだこいつ」
見たことも無い魔物。狼の身体から植物が生え、体中を覆っている。
「うーん? これ元々はホワイトウルフじゃない? ほら、この部分とか」
と、カプリスが魔物を観察しながら言う。
指さされた場所を見ると、確かにホワイトウルフと思われる真っ白な毛が覆っている植物の間から見て取れた。
「となると、寄生型の魔物か?」
「かもね。気を付けないと」
「ああ」
寄生型は、ゲーム時代ではプレイヤーに害はなかったが、NPCの中に寄生型の魔物に寄生された人もいたからなぁ。
リアルな身体だから寄生される可能性もある。
考えただけでもゾッとするな。
「とりあえず、フリューゲルの里に向かおう」
「ういうい」
「ええ、そこなら原因がわかりそうですしね」
と言うことで、瘴気漂う森へと足を踏み入れた。
フリューゲルの里は森の中心部に位置する。幸いなことに巨木からは離れている。もしかしたらフリューゲル達がまだいるかもしれない。そう信じて。
「さすがにいないか」
「まあ、避難してるよねー」
里までやってきてみたが、まあもぬけの殻だわな。
「瘴気も薄いし、今日はここに泊まらせて貰うか」
「そうだね。日も傾いてきたしー」
『少し辺りを見てくる。何かあれば報告に戻る』
『あ、私もついて行きますねー』
「了解」
ギルとフィズは里の奥へと向かう。
「私たちはどうします?」
「そうだな。確か、ここら辺は宿があったはずだけど」
フリューゲルの里は入り口付近に宿屋が置いてある。
だから、このあたりのはずなんだが・・・。
「お、あれだあれだ」
「なんか場所が奥まってるね」
「ああ、いや、建物が増えたのかもな。この家とか見たことないし」
「なーる」
そりゃ150年も経ってれば拡張くらいするよな。
「まあいいさ。とりあえず、部屋借りよう」
「ういー」
「ですね」
宿屋へ向かう。
フリューゲルの里の建物は全て木造。ホワイトウッドが使われているため耐久性に優れ、劣化もし難い。と言う設定らしい。
事実、150年経っているとは思えないほど使われた木材が綺麗だ。
「俺とギル。カプリスとリーリス、フィズで別れよう」
「一緒でもいいんだよ?」
接近して上目遣いで言うカプリス。
おお、可愛いな。スクショ。
「一緒だと狭いだろ。ここ大部屋ないんだから」
「そっかー。それは残念!」
にひー! と笑顔を作るカプリス。
「冗談はさておき、勝手に借りていいのかな?」
「浄化し終わったら帰ってくるだろうし、その時に一言伝えて金払おう」
「そうだねー」
そんなわけで、二階の二部屋を借りることにした。




