魔王軍の殲滅⑤
魔法陣が停止してからは早かった。
数に押されていた神聖国は、暴れまわるオリジンズとカプリスの介入により優勢になった。
勢いを付けた神聖国は魔物達の数をどんどん削っていき、たった今最後の一匹が崩れ落ちた。
魔物達の死骸が折り重なり、死屍累々の戦場に人間達の歓声が響き渡る。
「おー、嬉しそうだこと」
「当たり前ですよ。劣勢から勝利、喜ばないわけがないじゃないですか」
「それもそうか」
リーリスと共に、喜ぶ人々の方へ歩いていくと、途中でギルに乗ったカプリスが、肩にフィズを乗せてやって来た。
「おつかれ」
「うぃー! 1レベ上がった!」
「お、マジか。おめでとう」
「にひひー!」
撫でろとばかり寄ってきたので、頭を撫でてやると、嬉しそうに笑顔を作るカプリス。
レベルが上がったってことは、相当の量を狩ったってことか。
「ピィィー!」
「っと、そうだった。お前らもお疲れさん。戻っていいぞ」
リース達をペット用のアイテムボックスにいれてやり、項目をタップして餌を与える。
今日のはちょいと豪華な課金ペットフードだ。
『久々に暴れたな』
『少々疲れましたね』
「おう、お前らもおつかれ。アルフに言っていい宿で休ませて貰おうぜ」
『ふむ、ならば肉が美味い宿だな』
『私は食べられればなんでもいいです』
「その辺も頼んでみるか」
しばらくは国をあげての祭りになりそうだし、人が泊まり始める前には宿を決めたいところだな。
「さ、戻るぞ」
首都に帰って来た俺達。
途中、カプリスとオリジンズが冒険者達や騎士、兵士達に囲まれていたので少し時間がかかった。
リーリスのところにも魔術師達が集まっていたが、俺のところには誰も来なかったのはちょっと悔しいかもしれない。
いや、まぁ派手に戦ってないからしょうがないけども。
まぁいいさ。
こいつらの活躍で何かしらの褒美が出るだろうしな。お金だったら俺も何か買うべ。
心の中でグチグチ言ってたら、気付くと城の前だった。
『主。良からぬ気配がする』
『ええ、私も感じます』
「・・・わかった。急ぐぞ」
門番の騎士はこの前護衛で一緒になった人だったので、快く迎え入れてもらえた。
ギルとフィズが感じた気配のことも伝えたので、すぐに警戒態勢に入るだろう。
アルフがいる場所を聞いておいたので、急いで向かうことにした。
城内を走り、謁見の間までやって来た。
立派な扉を勢いよく開く。
「ちっ・・・もう来たのかぁ」
謁見の間では、召喚術士の聴取が行われていると聞いていた。
てっきり良からぬ気配と言うのが召喚術士のことだと思っていた違ったようだ。
俺が来たことに対し舌打ちをしたのは、全身を黒いローブですっぽりと隠した人。声からして男だろう。
そいつの前には手を縛られた召喚術士が跪いており、その横には騎士が二人、血を流して倒れていた。
視線を更に奥に向けると、玉座に座る皇帝と皇后、そして皇女であるアルフがいた。が、彼らは黒いロープ状の何かで玉座に縛り付けられている。
「問おう。お前は何者だ?」
視線を男に戻し問う。
俺の後ろではカプリス達がいつでも飛び出せるように臨戦態勢を取っていので、俺は話に集中することにした。
「うーん・・・あの程度のゴーレムごときに時間かけてた君に答える必要あるかなぁ?」
ふむ、こちらの力を目で見て判断しているので、誤魔化しは効きそうだな。このまま弱いことにしておこう。
「まぁ、でも、そうだねぇ。ゴーレムを倒したご褒美に答えてあげようかぁ。特別だよ?」
勘に触る喋り方をするやつだな。
「僕は魔王。この世界を統べる王さ」
「・・・へぇ。お前が魔王か。んじゃ、平和のために死ねっ!」
一気に近より斬りかかる。
が、どうやら幻影のようで、すぅっと消えてしまった。
『残念。それは幻影。そんなに戦いたいならそこの子と戦ってなよ』
「うぐっ!? がっ!? ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」
男がそう言うと、召喚術士が苦しみだし叫び声をあげた。
すると、彼の筋肉が急激に膨れ上がり巨大化していく。五メートルを越えたあたりで成長は止まった。
それはオーガと言われる魔物。人喰い鬼として有名な魔物だ。しかも、こいつは通常種ではない。
「ユグドラシルオーガ・・・? いや、アイツはこんなにデカくないしな・・・」
『はは! そいつの名前はネグロ・ユグドラシルオーガ。この世界の魔物を更に強化した魔物さ! あのゴーレムの十倍は強いから頑張っ───』
「──カプリス、足の腱を切れ」
「あいさー」
「リーリス。デバフ」
「はい。"ディフェンス・ブレイク"」
カプリスが腱を斬って体勢を崩し、リーリスの魔術で防御力を下げる。
そして、俺が───
「ッ!」
──斬る。
すっぱりと真っ二つになったオーガ。何やら切り口が蠢き出したので、更に細かくしといた。
「Suspiro de Diablo」
これで再生されても困るので灰にしてやった。
『・・・へ?』
あっけない終わりに男が間抜けな声を出す。
「仮にも魔王を名乗ったんだ。覚悟しとけよ?」
『こんな馬鹿なことあってたまるかぁぁっ!!!』
聞いてねーな。
自称魔王は叫ぶだけ叫んで回線が切れたようにぶちっと言う音ともに静かになる。
それと共に王族達も解放されたようだ。
お読みいただきありがとうございます!
感想、ブックマーク等していただけると励みになりますのでよろしくお願いします!




