魔王軍の殲滅②
「GYARARARARARARAッ!」
ゴーレムは俺を敵と認識しているようで、握られた拳を俺に向けて降り下ろしてきた。
重量のあるその一撃を左手で軽く受け止め、握力のみで拳にヒビをいれる。
「レベル的には6000後半くらいか?」
受け止めた際にダメージが1入ったので、おそらくそれくらいのレベルだろう。
防衛目的だし強く設定してあるみたいだ。
あー、こんなことになるんだったらアナライズ取っとくんだったなぁ。殆どの魔物のレベル覚えたから取らなかったんだが、こうもレベルにばらつきがあると欲しくなる。
狩り場なら一定のレベルだからやり易いんだけどなぁ。
そんな事を考えながら空いた右手でUIを弄って大鎌を装備し、ゴーレムの右腕を肩から切断。
少し抵抗があったが、まだ斬れる範囲だ。
腕がなくなったゴーレムは、その巨体に似合わない機敏な動きで後ろへと下がる。
そして、瞬時に腕を再生させた。
だが、素材が土のため右腕だけ茶色だ。
「これだからゴーレムは・・・」
ゲームだと、再生と共にHPも少量だが回復するため中々厄介な敵だった。
「GIGIGI」
何か言葉を発したゴーレムの右手に先程斬った腕が飛んでいき、それを掴むとバチバチと電と共に音を立てて形を変えていく。
「リーリス。ちょっと下がってろ」
「はい」
念のため、リーリスには下がっててもらおう。
音が止むと、ゴーレムの手には巨大なそば包丁のような武器が出来上がっていた。
「GYARARARARARARARARARARARARAッッ!!」
天に向けて咆哮すると、その俊敏さを活かして向かってきた。
初撃は馬鹿正直に正面から。
それを鎌で弾いて腹を斬りつける。
「GYARARAッ!」
斬りつけられたことなど意に介さず、踏み込んで二撃目に左拳を叩き込んできた。
俺は大鎌をくるりと一回転させて握り直し、肘から先を斬り落とす。そして、勢いのまま屈んで右足を軸にして一回転。
遠心力を乗せた一撃で、踏み込んで力の入っている右足を斬った。
バランスを崩したゴーレムだが、右手を軸にして回り体勢を戻したあと、バク転宙返りしながら距離をとった。
ちょいと身軽すぎませんかねぇ?
「GIGIGI」
再び何か呟くと、ゴーレムは自身の身体を自壊させていく。
不思議な行動だが、大きな隙が埋めれたので踏み込んで一息でゴーレムに近づいて横一文字。
すっぱりと横に二分割されたゴーレムだったが、その手応えは無し。先程感じた抵抗感もなかった。
どしゃりと落ちた上半身が、鉄のトゲとなって攻撃してきたのでバックステップで回避。
「GIGIGIGIGIGIGIGIッ!」
なんとも耳障りな音を上げたゴーレムは、自壊し形すらなかった下半身のドロドロとした金属を吹き飛ばして姿を表した。
その姿は人間サイズで、全身鋼鉄鎧で身を包む騎士。両の手には先程のそば包丁のような武器を持っていた。
まさかの第二形体で、さすがのノアさんも呆然としてしまった。
どうやら身体の大きさを人間サイズにすることで、こちらの動きに対応できるようにしたのだろう。
ゴーレムなのによく考えてらっしゃる。
いや、むしろゴーレムだからか? 戦闘によって学習し、最適解を導きだす。ゲームにいたら対応に困る敵だな。誰かしら運営に文句言うレベルだ。
「GYARARARARARARARARARARARARAッッ!!」
また天に向けて咆哮したゴーレム。
それに答えるように、奴が吹き飛ばした金属が宙へ舞い上がり様々な武器へと変化していく。
「おいおいおい。デタラメすぎやしねーか?」
「加勢しますか?」
「いや、いい。なんか楽しそうだから一人でやらせてくれ」
「た、楽しそう・・・ですか?」
「ああ、手応えがあって楽しそうだ」
「そう、ですか。わかりました」
難しい顔をして再度後ろに下がったリーリス。
俺、何か変なこと言いましたかね?
斬っても再生して、こちらの戦いかたを学習し戦闘方法を変えてくるなんて面白い。それに合わせて強くなっていくならやりがいがあるってもんよ。
こんなの楽しくないわけないじゃないか!
「なぁ、ゴーレム ?」
「GIGI・・・?」
いや、え? って反応しないでくれないかな。




