魔王軍の殲滅
また5日かけてエイブレイル神聖国首都に帰って来た俺達は、その足で未だ均衡状態が続いているフレイドリッチ砦へと向かった。
本来ならばアルフを首都に置いてくるべきなのだろうが、本人たっての願いで一緒に向かうことになった。もちろん騎士達は大反対していたが、聞く耳を持たないアルフ。最終的に皇帝に話が行ったらしいのだが、反対されるどころか、癒し手として行ってこいとのことらしい。
娘を戦場に向かわせる親ってどうよ?
そんなわけでアルフもいるわけなのだが、もちろん騎士達もいる。
砦まではおおよそ3日。
まあ飯当番の始まりであった。
7度目の食事が終わって二時間ほどで砦に到着。
激しい戦闘音と血生臭さが辺りを覆い、砦からなのかはわからないが、煙も出ている。
「この騒々しさ・・・ギルド戦争を思い出すなぁ」
ギルド同士の戦争。
領地拡大のために戦争を行うのだが、大型ギルド同士ともなると、うるさいし重いしのガチ戦争となる。重すぎてPCが死んだやつもいるとかいないとか・・・。
今聞こえる戦闘音がまさにその戦争時の音に似ている。
砦の中に入ると負傷者を介護するヒーラー達が忙しなく動いていた。
「アルフ。ここは頼んだぞ。向こうは俺達の領分だからな」
「わかりました。どうか、お気をつけて」
「ああ」
アルフと騎士達に砦内を任せて、俺達は戦場へと赴く。
「うわぁ・・・」
横で引き気味に声を上げるカプリス。
まぁ、数えきれないほどの魔物が蠢いていればそう声も出したくなるよな。
「・・・召喚陣がありますね。おそらくあそこから湧き出てるのでしょう」
設置型の召喚陣でこの規模を召喚するとなると膨大な魔力が必要になると思うんだがなぁ。
もしかして、霊脈とかそう言う類いの奴でも使ってるのか?
レグルスの本には理論上は可能ってあったし・・・。
もしかしたらあの召喚士が仕掛けたものかもしれない。
こんなことなら連れてくるべきだったな。
「まぁいいか。リーリス、一発デカいのぶちかませ」
「わかりました。全てを焼き払うは数多の雷、我が力を糧に仇なす者を穿て"ラミエル"」
詠唱しながら魔力を練り、魔術を行使するリーリス。
彼女の声に答えるように空が暗雲で包まれた。
そして、幾つもの光が激しい音ともに戦場に突き刺さる。まぁ、雷が降り注いでるだけなんだけども。
と言っても雷だ。当たれば一たまりもないし、それに攻撃魔術だから当然ステータスに依存するわけだ。オリジンヒューマン───否、魔術職として育てたサブキャラであるリーリスがこの魔術を使うとするならば、それはもう一発一発がえげつない威力と化すだろうよ。
でもま、魔封じされたら終わりなんだけども。
リーリスがあの召喚士に負けそうになってたのは、魔封じを使われてしまったかららしいしな。
ん? となると、リーリスのステータスはサブキャラとしてのリーリスの方に依存してるのか。
本来のオリジンヒューマンならば肉弾戦も得意としてるしな。と言うか二段階目は近接戦闘だった。
魔術をバフの方に回して襲ってくる。
リーリスは魔攻と魔防は高かったが、攻撃力とかはからっきしだったからなぁ。
魔封じされたら手も足も出ないさそりゃ。
光と轟音が収まる頃には、蠢いていた大群はほぼほぼ黒焦げと化していた。
と言っても押さえている前線はそのまま。味方に当たったら元も子もないからな。
「さて、殲滅するぞー」
「あいあいさー!」
『見れば結構な上物が残ってるな。楽しめそうだ』
『いつもの狩りとそんなに変わらない気がしますけどね』
各々返事をしながら戦場へと駆けていく。
オリジン達からしたら手こずるような相手ではないので、好きにさせよう。カプリスも然り。
「さて、俺達は召喚陣の破壊だ。行くぞ」
「はい!」
戦場の真っ只中を歩いて進む。
時々来る魔物どもを殴ったり蹴ったりしてぶち転がしながらなので、一応ペット達も出してある。
「GAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaッッ!!」
「リーリス」
「はい。"フロストエッジ"」
黒い外皮で身を包むサイクロプスことヘルサイクロプスが来たのでリーリスに頼む。
ヘルサイクロプスは足元から生えた氷の刃によって、真っ二つに切り裂かれた。
「威力からしてやっぱりリーリスの方のステータスに依存してるのか」
「いえ、割合としては私8のオリジンヒューマン2位の割合ですよ」
「へぇ、だとすると威力が上がってる理由がわからないな」
「おそらくはパッシブスキルの【原初の加護】のおかげかと」
「ふむ、効果は?」
「各オリジンの性能に合うステータスの上昇です。私の場合は魔攻と魔防なので」
「なるほど。っと着いたな」
原初の加護。興味深いスキルではあるが、とりあえず目の前のことを済ませてしまおう。
召喚陣を破壊しようと手を伸ばすと、それを阻止するように地面が揺れた。
一度召喚陣から離れ様子を見ることに。
召喚陣の周りの地面が持ち上がり、ドーム状となって召喚陣を覆ってしまった。
次に現れたのはゴーレム。
通常種である岩のゴーレムではなく、人工的に作られたであろう金属製のゴーレムだった。
地球人からみたらゴーレムと言うよりロボットと言った方がしっくり来る見た目をしており、なかなかに強そうだ。
「GYARARARARARARARARARARARARAッッ!!」
お、鳴くのか。




