彼女との再会
開かれた扉の先、そこには一人の男と真っ黒い魔力を噴き出しながら佇む巨躯の魔物。
あのサイズが入れるような扉ではないため、おそらく召喚魔術だろう。
その一人と一匹の前、そこには一人の女性が片腕を押さえて膝をついていた。
俺は彼女に見覚えがある・・・が、とりあえずアイツらを退けないとな。
アイテムボックスから一本の槍を装備する。
「そぉいッ!!」
そして、巨躯の魔物目掛けて全力投槍。
槍はバリスタの比ではない速度で魔物を貫く。槍が通ったあとは余波もあり、大穴を空ける。
致命傷を受けた魔物は、その重さで部屋を揺らしながら力無く横たわった。
「なにッ!?」
轟音と共に倒れた魔物に驚き、こちらに目を向けた男。
オリジンに膝をつかせる男には見えないが、もしかしたらプレイヤーだろうか?
「チッ・・・虫が入ったか」
こちらに敵意を向ける辺り、味方って訳ではないようだ。
ならば蹴散らそう。
脚に力を込めて前へ跳躍。後ろで何やら凄い音が聴こえたので床が凹んだかもしれないな。
流れる景色を横目に、男へ接近し、目の前で急停止をかけて、停止をかけた足を軸に回し蹴りをくれてやる。
「ガハッ!?」
反応できず、もろにくらった男は吹き飛び魔物に激突するも勢いは止まらず、魔物ごと壁まで飛んでった。
「大丈夫か?」
これで倒せたとは思えないので、飛んでった方を警戒しつつ女性に声をかける。
「はい、助かりました。えと、ノア」
「・・・はぁ」
見覚えがあると思ったらやっぱりそうだ。
「なんでサブキャラのリーリスがいるのかねぇ」
彼女は俺のサブキャラであるリーリス。
真っ白なボブヘアとピンクの瞳、152センチの低身長と言う俺好みに作られたキャラクターだ。
サブキャラ用の装備と服が無くなってると思ったら彼女が着てたわけか。
呼び捨てな理由はわからない。
「オリジンヒューマン様っ! 今治しますね!」
遅れて駆け寄ってきたアルフがリーリスに回復魔術をかける。
治りが早いところを見るとアルフはヒーラーとしても優秀のようだ。
ん? つかリーリスがオリジンヒューマンなのかよ。確かにリポップする度に見た目は変わるが・・・。でも、俺を俺と認識しているあたり記憶でもあるのだろうか?
と、考えながら回復の様子を見ていると、吹き飛ばした方で瓦礫が弾けとんだ。
「クソがぁッ!!」
怨嗟の声を吐き出しながらこちらに歩いてくる男。
やっぱり生きてたか。
だが、見る限りダメージはかなり入っているようだ。うーん、割りと殺す気で蹴ったんだがなぁ。
「俺達の邪魔をするんじゃねぇッ!!」
激昂した彼は右手に持つ杖を横に振る。
すると、魔法陣が無数に出現して、そこから多種多様な魔物が湧き出てきた。
やっぱり召喚術士か。だが、いっぺんにあの数を召喚するとはな。中々の使い手のようだ。
「フィズ。焼き払え」
『かしこまりました』
フィズリールに命令すると、彼女は肥大化し全身を炎へと変えた。
そして、全長五メートルを越えたところで、前に向けて羽ばたいた。
巨大さ故に発生した強風に炎が乗り、瞬く間に魔物達を飲み込んでいく。
これがフィズリールの通常攻撃。広範囲攻撃なので防ぐのにかなり苦労する。
辺りを肉が焼ける臭いが充満する中、男は第2第3と魔物を放出し続ける。どうやら彼は物量戦がお好みのようだ。
騎士達も炎から逃れた魔物達を狩りはしているものの、数は増すばかり。
「さすがにウザいな。"ホワイトジャベリン"」
光の魔術で無数の槍を精製し、放出。
物量には物量をだ。
こちらの方が精製速度は速いため数はどんどん減っていく。
「カプリス」
「あいさー!」
カプリスの名を呼ぶと、彼女は数多の攻撃の中をすいすいーっと駆けていき、男に刃を向ける。
「邪魔だッ!!」
「きゃっ!」
だが、その刃は届かず、カプリスの側面に出現した魔物の突進により彼女は弾かれてしまった。
『っとと、危なかったな』
「ギルちゃん、ありがと」
弾かれたカプリスは直ぐ様ギルターが回収。
カプリスでダメなら俺が出るしかないか。
俺は大剣を装備して、横に振った。




