護衛依頼②
川原で休憩することにした俺達は、現在火を起こして肉や野菜、魚を焼いている。
魚はアルフから買ったものだ。
商人としてしっかりしていらっしゃる。
「このお肉美味しいですね。なんのお肉なんですか?」
と、綺麗な食べ方で肉を食べるアルフが口元を隠しながら聞いてくる。
「エンゲルバードの肉だったかな。適当に選んだからわからん」
何種類も肉があるので、適当にぽいぽい選んだ。
項目の下の方にあったので、新しく仕入れた肉であるエンゲルバードの肉であってるはずだ。
「エンゲルバードっ!?」
アルフは俺の言葉に驚きの声を上げる。
驚いたと言うことは魔物の肉はタブーなのか、それともエンゲルバードの肉が高いのか、どっちだろうか。
「エンゲルバードって、あの天空のダンジョンにしか生息しないって言うあのエンゲルバードですか!?」
「あ、ああ。と言うかそれしかいないだろうよ」
詰め寄ってくるアルフに引き気味に答える。
商人の目になっているため、この後彼が言うであろう言葉は容易に想像できた。
「あの高級食材をこんな所で食べられるなんて・・・!! はぁ~! 感激ですっっっ!!!」
やっぱり高級なのかー。
まぁ、この味で狩りにくい場所にいて、尚且つ強いからな。高級食材認定されても可笑しくはないか。
「そうか。ならどんどん食え。うちのギルが全て食いつくす前にな」
皿に乗っけた肉を、わんこそばのようにペロリと食べきり次の皿を要求するわんころを見ながら言う。
それを見たアルフは目の色を変えて食べ始めた。
俺とカプリス、フィズリールはそこそこ食べてやめる。食い過ぎてもいいことないからな。
暫く、一人と一匹が食い終わるのを待っていると、近くの林からこちらを伺う奴がいることに気が付いた。
「ちょっと行ってくるね」
「・・・大丈夫か?」
「ダメだったら慰めてね」
「あいよ」
立ち上がったカプリスはシーフのスキルである"疾風"を使用すると、フッとその場に微風を残して消えた。
そして、林の方からは男の悲鳴が十数個聞こえてきた。こちらを伺っていたのは盗賊ってわけだ。
まぁ、のんきにバーベキューしてる俺達は、奴等にとって鴨ネギだからな。
「カプリスさんもお強いんですね」
「まぁな」
元トップギルドのメンバーだからな。
暫くすると、林の方からカプリスが歩いてきた。
その身体に返り血は付いていない辺りさすがだと思う。
俺だったら血まみれだろうな。
「おかえり」
「ただいま。やっぱり人間相手はまだ慣れないかな」
「慣れる必要はない。むしろ慣れたらおしまいだよ」
「・・・そっか、そうだよね」
隣に座ってくるカプリスの頭をぽんぽんと優しく撫でてやる。
「人殺しに慣れたらそれこそ人じゃなくなっちまうからな。その気持ちを忘れるなよ」
「・・・うん」
その点、人殺しに慣れてる俺──ノアは人じゃないのかもなー。いや、アバターだけどさ。一応人の心として俺が入ってるわけだし・・・。
・・・難しいことを考えるのはやめよう。
「・・・ふぅ、ごちそうさまでした。行きましょうか!」
食べ終わったアルフ。
アルフは立ち上がると元気よくそう言う。
このしんみりとした雰囲気を変えようとしてくれてるらしい。
しんみりとした旅はつまらないしな。ここはアルフに乗っておこう。
「おうよ!」
「・・・うん!」
『・・・食い足りない』
まだ食うつもりかこのわんころは。
しょんぼりなギルターの前にある皿を回収して、火の後始末らや何やらやって出発した。
残り1日半。何もなければいいな。
ん?




