港町フィルズ
到着した俺たちは、船から降りる際に色々な人から感謝の言葉を貰うことになった。
船長からは、船を守ってくれたお礼として船長秘蔵の酒瓶を五本も頂いてしまった。断ったのだが、船長も譲らず、結局俺が折れることになってしまった。まぁ、ここ最近酒なんてろくに飲んでないし、ありがたく貰っておこう。
「うちもお酒飲んでみたいなー」
「未成年だろうが」
「むぅ、せめてアバターだったら二十歳越えてる設定なのになぁ・・・」
「ん? 嬢ちゃん未成年なのか? 16は越えてると思うんだがなぁ」
話を聞いていた船長がカプリスを見ながら言う。
「16から成年なのか?」
船長の言葉に疑問を抱いたので聞いてみた。
「なんだぁ? お前さんらはどこの田舎もんだ? ったく、16から成年なのは常識だろうが」
「そうなのか。如何せん世離れしていたからな。常識に疎いんだ。ありがとう船長」
「世離れって・・・。まぁいい。そういうこった。嬢ちゃんが何歳か知らんが、おそらく飲んでも法に引っ掛かることはないだろうよ」
「ふむ」
「んじゃ、俺は仕事に戻る。また船に乗るようなことがあれば頼ってくれ」
「ああ、その時は頼む」
「おうともさ」
船長が船に戻っていくのを見届け、町の方に行こうと振り向くと、そこにはキラキラと期待したような目で俺を見てくるカプリスがいた。
「・・・はぁ。法に触れないなら今度一緒に飲むか」
「やったー!」
異世界と地球は色々違うのは知ってたが、まだ成長期である彼女に飲ませていいものか悩むところだな・・・。まぁ十代からしたら酒なんて不味いもんだし、飲んで酒離れしてくれることを祈っておこう。
「さて、とりあえず組合に行って渡航手続きと、適当な護衛依頼でも探すか」
「渡航手続きはわかるけど、なんで護衛依頼?」
と、カプリスからの疑問。
ユグドラシルでは海を渡った際、渡航先の港町で手続きをしなければならないのだが、ゲームの時から思ってたけど、このシステム要らなくねーか?
「たまには依頼も受けとかないと、と思ってな。最近、冒険者なのにまともな依頼を受けてなかったからな」
依頼を受けても組合長直々だったり、王直々だったりとまともじゃないものばっかだったしな。
「あー、確かに。あ! 護衛依頼なら馬車に乗れるじゃん! 乗ってみたかったんだよねー!」
てなわけで、この町の組合に向かった。
木造建築であるこの組合は酒場兼宿場として機能しているようで、酒場には昼間にも関わらず酒飲み冒険者達が集まっていた。
働けと言いたいところだが、この時間から飲めるってことは結構稼げている冒険者なんだろう。どう稼いでいるかは別としてな。
因みに、ギルターとフィズリールは外で待ってもらっている。
「おう兄ちゃん。可愛い子連れてんじゃガフッ!?」
お決まりなのかは知らんが、酔っぱらいが絡んできたので伸しといた。
「お約束だねー」
「もうちょい行儀よく飲んでてほしいものだ」
倒れた酔っぱらいを放置して、受付へと進む。
「いらっしゃいませ。ご用件をどうぞ」
「渡航手続きを頼む」
「かしこまりました。お二人様分お願い致します」
「ああ。カプリス、渡航手続き頼むわ。俺は依頼見てくる」
「ういういー」
手続きをカプリスに投げて、俺はクエストボードに近付く。
クエストボードにはランクごとに依頼が分けられており、護衛依頼は銅級か銀級に振られている。
その中から王都行きの物を選んで受け付けに持っていく。
「よし、書けたー! お願いしまーす」
丁度書けたようだ。
「依頼の受理も頼む」
「かしこまりました」
暫くして手続きと依頼の受理が完了した。
水晶級のカードと名前を見て驚く受付嬢であったが、直ぐ様表情を戻していたので、優秀な子なのだろう。うむ、こんな子がもっと増えてほしいね。
「護衛依頼ですが、明日の朝8時出発となりますので、時間に遅れないようお願いします」
「ああ、気を付けるよ。っと、そうだ。宿泊の手続きも出来るか?」
宿を見つけるのもめんどくさいし、宿場も兼ねてるここにしちまおう。
「かしこまりました。お部屋はどうしますか?」
「二部屋で頼む」
「かしこまりました。二部屋で4000シルバーになります」
言われた通り4000シルバーをカウンターに置く。
「確認しました。こちらがお部屋の鍵となります」
「ありがとう。あと従魔もいるのだが、部屋にいれて平気か?」
「問題ありません」
「わかった。ありがとう」
「ごゆっくりどうぞ」
カウンターから離れて、カプリスに鍵を渡す。
「一部屋でいいのにー」
「そのうちなー」
前もこんなやり取りをした気がするな。
外で待たせていた二匹を呼んで、部屋へと向かう。
カプリスの部屋にはフィズリールに行ってもらうことにした。
一人じゃ寂しいだろうし、何かあった時はフィズリールに守らせるためだ。まぁ、カプリス自体オリジンまでとはいかないが、強すぎるからその辺の心配は要らないと思うがな。
「さて、一休憩したら、飯屋でも探しに行くか」
「うい!」
『飯っ!』
『そう言えばお腹減りましたね』
この後、目茶苦茶食事した。




